見出し画像

氷の海で陸を目指す

ずっと遠くまで灰色の空。その下は濃い紺色の薄い海がちろちろと。その間を、ブロックのように埋めていく、青っぽく真っ白な氷。

吹雪はやんで、風は穏やかに冷たい。ざらざらしゃぶしゃぶと凍った波の音のあいまに、きしきしきゅうきゅうと氷の集まる音がする。

あったかな長い毛が生えていても、寒いものは寒い。鼻先をぺろりとなめて、わたしは遠くを眺める。

陸におりたほうがあったかいのかな。おいしい、ごはんが食べられるかな。前方に薄い山が見える。あそこへ行ってみようか。

ぎゅうぎゅうと集まる氷は、しっかりしてみえていい加減。飛び移ったら、いきなり動き始まることもある。爪を出し、気をつけてギシギシ歩く。

それでも、少しずつ山が近づいてきた。春を迎えるなら、あのあたりがよさそうだ。氷がしっかりしている今のうちに。あの山までたどり着こう。

方向を、もう一度見ておこうと伸びあがった時、ころんと氷の隙間に落ちた。折悪く風が吹き、氷につぶされる。氷はかなりの重量だ。息が詰まる。苦しくなる。うううううう

***

「大丈夫か。今度はどこにもっていかれた」
「氷に押しつぶされた。飛ぶのしくじった」

夫の心配そうな声にゆりおこされた。わたしは、大きな声で、眠りながらうなっていたらしい。

「ごめん。起こそうとするとき、俺が一瞬体重かけた」

そっか。あの氷は、夫か……重かった。息が詰まるかと思った。

「うなってたのは、記憶にない。氷の上でクマになった」
「クマになるなら、今日は冬眠するか。おでかけの予定はいいのか」

時計を見ると、起床予定時刻を1時間以上過ぎている。驚く!!

#シロクマ #氷 #海 #夢日記

-----

本文上のイラストは、AKIRA / LIQUID DESIGN Ltd.さんのもの。夢の中、遠くまで続いてたあの氷は、レゴブロックみたいだったから。こんな風かと。

AKIRAさんが、このイラストを使っていた記事で、wordpressのページデザインを整える、テンプレートがあると知った。イラストきっかけで、知ることが増える。おもしろいかぎり。

イラスト、お借りします。ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?