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思っていたよりも、すぐそこに

「机の上を見てください、財布を忘れました」

いつもより早く家を出た夫からSOSのメッセージが来た。今日はどうしても現金が必要だから、財布も手元に欲しいらしい。

夫の机の上から財布を取り上げ、カバンの中へ大切に入れる。カバンにおさめるには少し工夫が必要になったが、夫の財布も私の資料たちもなんとかおさまった。

私のカバンはいつも、いっぱいだ。資料や手帳、財布など、その日に使うものだけを入れているはず。それでも、まだ減らす余地はありそうに思う。

最近は電子マネーの使える店も増えたから、財布を小さくして電子マネーを使うのもいいかもしれない。そうはいっても、電子マネーだけで暮らせる一日は、まだ先のことだろう。

そして、昼休み。夫と勤務先近くのカフェで財布の受け渡しをした。財布を受け取った夫は、昼食をとってからオフィスに戻るという。私は時間を調整するため、カフェに残った。

久しぶりにオフィス街にあるカフェに入った。いつもの私の行動圏とは違う場所で、いつもの資料を読んだりアイデアをメモしたり。ささやかな違いが、ひらめきと集中力を後押ししてくれる。いつもより、作業がはかどった気がした。

そして、何事もなく私は帰宅した。資料を清書しようとじぶんの机の前に座る……と私の財布がそこにあった。私はじぶんの財布を置いたまま、夫からのSOS要請(財布を届けて)に応えたようだ。

自分が財布を忘れていること、帰宅するまでに全く気付かなかった。その事実に驚いた。

電車はPASMOで乗った。2軒のカフェを使ったが、コーヒーチケットとPASMOで支払いはできた。現金を使うことなく、1日を過ごしたようだ。

これならば、もう現金は持ち歩かなくていいのかもしれない。電子マネーたちだけで、なんとかなるのではないか。

支払いを電子マネー中心にして、財布を小さくするときは、自分が思っていたより、すぐそこに来ていると知った。

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