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ゲームビジネスはもとよりDXである(2)〜サブスクリプションモデルとか〜

前回の続き。

ここで一旦サブスクリプションについて触れる。
新聞や電気、ガス等インフラのような毎日ほぼ必然的に利用する分野では古くから月額サービスは存在するが(新聞の必然性は今は失われている)、現在インターネット、クラウド技術、スマートフォンなどの普及に伴い、デジタルによるユーザーとの継続的な接点が形成可能となったため、サブスクリプション型サービスが注目を集め続けている。
AdobeのPhotoshopなどのサービスやMicrosoft Officeなど、もともと数年に一度新しいパッケージを開発し販売していたものを、都度アップデートによる更新していくサービスを提供するサブスクリプションモデルに転換したことは有名な話だ。

一方で前回触れた通り、サービス業化したゲームはFF14のようなサブスクリプションモデルのビッグタイトルはあるが、市場の大半を占めるのはF2Pモデルである。
それはゲームの特性上、ゲーム内において自アカウントのデジタル資産自体が付加価値となっており、デジタルな資産であるがゆえにいくらでも蓄積できる、つまり払おうと思えば際限なく課金できる仕組みに設計できるからである。
さらに、そのデジタル資産を見せびらかせる多くの無課金ユーザーの存在も同じく重要な要素となる。

ゲームはこのような特性により、サブスクリプションよりF2Pのほうがビジネスモデル的に主流となっているが、前回記載したF2Pにおける「付加価値に対する課金」でいうブランドもの(贅沢品)をF2Pでは都度課金させているものを、サブスクリプションではサービス設計のバランス的に継続利用目的のほうに寄せているだけで、双方のビジネスモデルにおいてサービスの「継続利用」が最も重要となる点において、ほぼ違いはない。

スマートフォンが普及した2010年代において、多くの産業でデジタルを利用した顧客との接点設計はデジタルマーケティングツール的、CRM的なものであった。
それは商品の販促的機能として一定の役割を果たしたが、それだけでは継続的に安定的な収益となるサブスクリプションライクたり得ない。
サブスクリプションライクにするためには、商品やサービスなどのブランドにまつわる付加価値に着目したデジタルコンテンツ、サービスを生み出し、それをアップデートにより価値を高めていけるものであることがポイントだ。
そして、もともとある商品やサービスの購入があまり気にならないほど、付加価値サービスのKPIの重要性が高まったときに、そのブランドはスブスクリプションライクになったといえる気がしている。

商品の製造から販売まで行っているメーカーなどCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)が長めの業種においては、特にデジタルサービスによるマネタイズはかなり需要がありそうに思える。

最近私のSNSの広告はキリンビールのサブスクリプションサービスだらけだ。
このあたりも諸々語りたいことが蓄積しつつあるので、それはまた今度まとめたいと思う。

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