見出し画像

<MICHAEL O'SHEA> マイケル・オシェイ

以前からディスクガイドなどで目にする機会も少なくなく、レビューを読むたび「どんな音楽なんだろう」と興味と期待は膨らむ一方でしたが、実際に耳にするのにえらく時間がかかった音楽。

世に出たのは1982年。僕が初めて耳にすることができたのは2015年頃、レコードでもCDでもなくインターネット。動画サイトで誰かがアップロードしたものでした。ジャケットにも写っている「モ・カラ」と名付けられた(我が友人という意味らしい)自作楽器は、姿形からしてハンマーダルシマーのようなものだろうと想像はしていたし、その音楽についてもおおよその予想はしていたのですが、耳にした音楽はその予想をまったく裏切るものでした。奏法としてはハンマーダルシマーと同じといっていいのですが、過激にかかったエフェクトのせいもあって、ダルシマーの穏やかな演奏と違い、その音楽は冷たい疾風のように吹きつけ、揺さぶるのです。そして何処にもたどり着かない音の地平だけが広がっていくのです。

驚きましたね。相当変な音楽に遭遇しても動じない程度には慣れっこになっていたはずなのですが(笑  

資料によれば根っからの自由人であったらしく、ビックネームとのレコーディングなどにも積極的にならなかったようです。不幸にも交通事故で亡くなるまでに残した音源はこのアルバムに残された5曲だけ。Don Cherry などとも共演経験があったらしいですし、なんとかレコーディングして欲しかった。ぴったりだったと思うのですよ。マイケルの作り出す音の地平にドン・チェリーのトランペットがふらりと彷徨うなんて光景は。

さてこのアルバム。なぜだか突然2020年に再発されました。某通販サイトで見つけた時、思わず「おおお!」と声が出てしまいました(笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?