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今日の幸せ

 新型コロナウイルスの感染者数が増えていることもあり、最近は自宅で過ごす時間が長くなっている。そんなわけで、おうち時間を快適に過ごせるよう、部屋着を買ってきた。これまでの服より良質なものを選んでみたが、かなり心地よい。ストレスフリーとはこういうことを言うのかと感動している。「もっと早く購入すればよかった」と言いかけて、ふと子どもの頃の記憶がよみがえった。

 私の家はいわゆる貧困家庭だった。小学時代の6年間、そして中学時代の3年間は新しい服を買ってもらった記憶がない。いつも親戚や両親の知人からいただくお下がりを着ていた。子どもながらに、我が家の財政事情をなんとなく察していたから、服にかぎらず何かを買ってほしいとねだることもなかった。

 意外にもそうした状況を不幸だとは感じなかった。少々不便なこともあったけど、大切なお子さんに着せていた服を惜しみなく分けてくださる方々に感謝していた。しかも、きれいにクリーニングして送ってくださるのだ。すごくかわいい服ばかりで、嬉しかったことを思い出す。

 そして今、ある程度自由に好きな服を購入できることがありがたい。部屋着を買っただけでこんなにも幸せな気持ちになれるのだ。ハイメンテナンスな女性にはなれそうもないが、数千円で喜べる幸せも悪くない。


 


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