_ミナ2B8AB3C7-A52F-465A-9E48-88F081904495

「つづく」

「100年」とは、長いのか短いのか。

「ミナ・ペルホネン/皆川明 つづく」のオープニングセレモニー・鑑賞会のレポート。「目次の森」の言葉をつなげながら読んでいただければ。文末にはメディアレポのリンクも貼ったので、ぜひ足を運んでみては。

(写真は撮影可能エリアのものを掲載)

「せめて100年つづくブランドに」
ものづくりに在る「つづく」と、
人の心に繋がる「つづく」
(皆川明氏のことばより)


画像1

「目次の森」

▶︎100年つづく森と

ファンであるかたも多いだろうブランド「ミナ・ペルホネン」。「ミナ」はわたし「ペルホネン」は蝶々。テキスタイル分野のみならず、食器などのプロダクト、ひいてはデザイン画や挿絵、建築や環境までにからむデザイン、とりわけ蝶が静かに飛ぶような皆川氏の言葉を好んでおり、そのあたりの作品までが会場の隅々にちりばめられているのがうれしい。

ファッションデザインの視点から、華やかなメルヘンとイメージされるかもしれないが、私見はどちらかというと、すこし翳りのある光と陰ある、適度に湿り気ある記憶の森のような気がする。

では、100年以上つづく森とは。


▶︎支える鳥のさえずりは

今回の展示は、皆川氏の作品のみならず、会場構成や、展に付随するもろもろのデザインもすばらしい。会場構成は建築家・田根剛氏、グラフィックデザインは葛西薫氏。

会場は「8つ」の自然界名称で構成されている。

「風」のスペースで流れる映像作家・藤井光氏の作品もすばらしい。皆川氏がいう「特別な日常服」が風に流れる様子は必見。ミナのテキスタイルを貼ったイスに腰かけて観られるのもうれしい。どことなく「土」の香りがするのは、「森」に展示された服から流れてくるものだろう。

「種」は、ウッディな香りのなかでおもちゃ箱をのぞくみたいな楽しいスペース。たくさんの言葉もちりばめられている。皆川氏の構想宿「シェル ハウス」が建築家・中村好文の手により実現されており、木で組まれたギイギイ鳴く床を歩ける。

「根」では「日曜に想う」のやさしい挿絵も必見。

画像2

画像3


▶︎「種」から「実」へ

「8つ」の自然界名称がついたスペース。ものづくりの営みを自然界にたとえたという皆川氏とは、僭越ながら心の中でがっしり握手させていただいた。(いや、快く写真を一緒に撮っていただいた)

大きな共通点に感激したので、最後に、自身の工房コッチョリーノの紹介をさせてもらっちゃおう。断然のレベルちがいを承知で語るが、わたし自身の工房名「コッチョリーノ 」は地球のかけら=「タネ」「根っこ」「実」を意味している。なかでも「土鍋コッチョリーノ」は、「耕す」「種をまく」「芽をだす」「花がさく」「実がなる」という植物の営みを模したプレゼンテーションで紹介させていただいている。

画像4


▶︎そして「つづく」

パーティの最後のごあいさつでも、人の心につながる「つづき」を語られていた。静かに、すこし陰りを持って。

画像5

「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」
会期:2019年11月16日〜2020年2月16日
会場:東京都現代美術館 企画展示室 3F

美術手帖「2095につづくブランド」
東京都現代美術館 「つづく」


あとがきコッチョリーノ 

▶︎縄文土器やヨーロッパの建築、代々つづく老舗や職人技術。悠久な時間は比べるものではないけれど。家系に陶芸家をもたないちっぽけな一代目であるわたし自身は独立工房からたった「20年」。▶︎「ミナ」を設立して以来「25年」の皆川明氏の口からでた「100年」という言葉に勇ましさを感じたことから鑑賞メモを残しました。▶︎皆川明氏のあいさつが妙に沁みました。「100年つづく」という言葉はいやみのひとつもなく。さらには氏の「空想の扉」「デザインは心が写した景色の具象」という表現は、わたしの胸をジンと熱くさせました。(たま)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?