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最高のおやつはウソモノでした

きょうのお菓子です。写真の和菓子はホンモノ?ウソモノ?
そんなことなんて考えず、とにかく脳はオートマチックに「おいしそう」かどうか判断するでしょ?

器に注目するなんて二の次なんです。それどころかどんな器だったっけ?なんてメモリにも及ばないレベルだったり。それだけ食べ物にはタレント性があるのですね。器をつくるわたしだって、おいしそうなものには一直線ですから。


とにかく食いしん坊なのね

「ピンク色の和菓子と黄色い巾着寿司」
冒頭の写真は、むかし卒業制作課題でつくったパーティ皿セットの一枚。
なけなしのお金で、淡いピンク色の和菓子と黄色くて美しく包まれた巾着寿司を買ってきて、お皿に乗せて撮影したな。フィルムの一眼レフカメラとワープロでプレゼンボードをつくっていた学生時代。


「どうしたら器までおいしそうになるか」
当時からコンセプトはこれだった。今と変わっていないことに自身でもびっくりしているし、「旅する土鍋」的なパーティ感覚を演出するのも、この頃からの表現方法だったのね。よく言えばブレていない、翻せば解決していないということ。

実は、わたしは美大の陶磁器科のなかで下から2番目くらいのダメダメ劣等生で、卒業すら危うかった生徒でした。その後、ずっと陶芸を生業にして生きているのは劣等生のわたしだけらしいです。皮肉なものです。ヘナチョコだったからプライドもなく始められ、続けられているのかもしれません。


「おいしそうなウソモノ」
…というわけで、ここnoteは「器が主人公」という原則を掲げているので、作者のことまでちょっとしゃべりすぎましたね。何が言いたかったかというと、ダメダメ学生時代、ウソモノ陶芸家だったからウン十年も続けられちゃったんですと正直に言いたかっただけです。

とにかくはじまりはウソモノでもいい。
ウソモノでも、なんだかおいしそうな作家、いや器になればいいのです。

さて、これまた先ほどと同じ質問です。
上写真の大根はホンモノかウソモノか?

ちなみに、ふろふき大根はウソモノ、最初の和菓子はホンモノです。

友人Hからもらったふろふき大根です。
Hは食品サンプル会社のデザイナーで、日々食品サンプルの未来を考えている人。アトリエをとびだして食卓で大活躍しているお皿に乗せてみました。「あれ?冷たい!」きっと器も驚いていることでしょう。


食品サンプルも掟破りからはじまった?

…「1回だけおいしいもの入れました!こうやって」という写真を(WEBショップに)載せて、「このあとはあなたの番ですよ(その後は買ってトライしてみて)」みたいなバージン破りの方法で訴求してみようかな。知覚的カスタマーエクスペリエンス!?

(2016/02/07「おいしくあれ器」より)


「そうなん?掟破りなのか」

同じ文面を別のSNSに出したら、食品サンプルのプロであるHから「いいねそれ!おいしい経験をした器のキャリア!それって掟破りなん?(女性/大阪)」というコメントをもらったのです。うれしいね、名言や。

でもね、サイレントマジョリティは「やっぱりわたし新品がいいや、理由はなんでかわかんないけどぉ…」なんだろうな。あるいはどっちでもいいか、どっちも興味がないレベル…。「なんでかわかんないけど」の部分がポイントね。

食品サンプルも、器も、それ自体を食べさせるものではない。
「おいしそう」を演じる大役なのです。ウソモノ、ウソモノと連呼してしまいましたが、食品サンプルは「使命をしっかり果たすプロ=ホンモノ」なのです。そうそう、食品サンプルこそ、最初の最初は掟破りな発想から始まったのかもしれませんね。


「掟は誰がつくるのか?」
食品サンプルも、最初は「ウソモノじゃ食べたくならないよ」とか言われたんじゃないかな。「器に料理が一度乗っかっちゃったら欲しくないよ」と言われるのときっと同じようにね。掟というのは「わたしたち」という水流です。

そんな食品サンプルをみて、器が新しく流れていく方向、未来が少し見えてきたような気がします。Hさん、お題をありがとうね。


あとは、食品サンプルも、料理を一度乗せた器も、堂々といくしかない。その代わり逆に価値を上げるようなPRを考えねば。
(※下写真は、2015年ミラノ万博「日本館」で撮影したHがデザイナーを務める株式会社いわさきの食品サンプル。日本館の期間限定ブースはお役所が絡んでいたブースであったためか、展示の仕方はやや硬めでうーん?と腕組みしてしまったが…細かく説明されていたプレゼンテーションボードはかなり興味深かったし、イタリア人に注目されていたよ!)

株式会社いわさきのHPがかなり楽しくて、その中から3ページご紹介。

1.食品サンプルの効果のページ
「おいしそうのパワー」なんて、もうその通りね。そう「さそいこみ」なのよ。(ちなみにイラストも友人画)

2.料理撮影講座のページ

料理の会社じゃないのに料理撮影講座まで開いてくれてる!

3.リアルへの挑戦!のページ
これ、やってみて。ひっくり返るから。

みなさま最後まで長文におつきあいくださりありがとうございました。ここでようやく最初のタイトルの主が登場です。



最高の おやつはウソモノでした!

日本の食品サンプルが(イタリアで食品サンプル見たことすら初めて)ミラノでオシャレに使われていた「ベストシーン」をどうぞ!

Fondazione Prada Milano (プラダ財団のアート複合施設)に併設されているウェス・アンダーソンがデザインした Bar Luceにて。

ここでアペリティーボしていたときに発見したのです。思わずバーの店員さんに「こ、こ、この食品サンプルどうしたのですか?」と尋ねると、日本の物が大好きで、オーナーがたぶん買ってきたのよ!ですって。シチュエーションによってこんなにオシャレに!

やるな、日本のウソモノ!



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