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少年の日の

noteを大量に書くと、何度も同じ話を取り上げているのでは、と気になる。今回も、どうもネタとしてはあったけど、書いたかどうか忘れたので「もう知ってる」という方はご容赦願いたい。

私の故郷は山口県防府市。律令時代は周防国府があり、史跡が多い。現在はマツダやブリヂストンの工場があり、中々の賑わいである。

防府平野の東に、壁のようにそそりたつ山々がある。てっぺんにはテレビ塔がいくつも建っているのでよく分かる。標高631mの大平山(おおひらやま)である。

この大平山の西側の麓を牟礼(むれ)地区と呼ぶ。昭和後期に宅地開発が進み、人が多く住んでいる。そして、牟礼地区の最も奥まった場所にあるのが東大寺別院阿弥陀寺である。

この寺の歴史は古く、平安時代末期に焼失した奈良東大寺を再建するために、重源上人が建立したとされる寺院である。

鎌倉時代からの国宝や文化財も多く残る。仁王門に残る金剛力士像は国の重要文化財に指定されている。

話は戻って私のこと。中学生の頃は休みの日に自転車を走らせるのが趣味であった。夏の暑い日も冬の寒い日も、暇があれば漕いだ。

私が阿弥陀寺を訪れたのは夏の暑い日。牟礼の奥地は傾斜がキツく、自転車を押しながらえっこらえっこら登った。

なぜ阿弥陀寺まで行ったのか、というと「気分で」となる。防府市内なら自転車で行けないところなんてない、という自負が「変なプライド」を産み出し、自転車を押し出してしまった。

家から1時間半ほどかけて、寺の前までついた。

門の前に箒を持ったおじさんが立っている。体も大きいが、仁王像よりもデカくて怖い顔をしている。

このおじさんは寺の道案内と門の前の掃除をしている方で、お互いを知っている仲であった。

私が自転車を押してくるのを見つけるなり、おじさんは叫んだ。

「おめー!ここは子供の来るとこじゃねーぞ!」
※注:山口弁で「ようこそお越しくださいました、どうぞお通りください」の意味

そこで私は自転車を置き「JET ON!」と言って門をくぐった。

寺の中は木々に囲まれてそよそよ風が吹き、心地よい。境内には川が流れており涼しく感じる。散策にはピッタリである。

参拝を済ませて境内でのんびり過ごした。 立派な寺らしく「極楽」に近づいた1日であった。

あの日の思い出はもう帰ってこない。夏は暑くなったし、もう自転車を持ってない。

それでも、少年の頃の日を思い出すたび、心にそよ風が吹くのである。

インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。