２話：👽は言った。「中でオシッコしてもいい？」

　「それから」（夏目漱石サマ無許可）　　

　誰が何と言っても、というのは、まこと君は私の友人間、とはいっても、セフレ間と申しましょうか。そういった面々の間で非常にに評判が悪かったのであるが、私は今でもとてもかっこよくて、いい男だったと思っている。私は男性の一般化とか、恋愛関係の一般化なぞ、大嫌いである。そら男性女性のジェンダーの差による、脳みその違いからの、恋愛への意識の違いとか、それによって対となった時の関係性であるとか、そういった本質的なプロブレムｗは、あるだろう。けれど、webにあふれる「こんな女子がモテ女子❤」、「重い女って嫌われるorそれとも？」、「今人気！Ｓ男君の大好物はこんなタイプ」あるいは、「セックスの時、こんなＮＧしてない？あなたは大丈夫？セルフチェック！」あるいは、「ベッドでたまにはこんなセリフを言ってみて！　彼はもうあなたから離れなれない下半身になっちゃうぞ❤」………という一般化が大嫌いなのだ。ｗｗｗｗｗ。その活字を目で懸命に追い、脳内にインプットし、インプットしたものはアウトプットすると、記憶として残りやすいという、ＳＮＳにあふれる、金で何かを買うというより、数字がふえることが趣味である、奇妙な起業信者とか、あるいはホリエモンｗ、の言うことを信じすぎている彼女らは、学校あるいは会社でつまびらかにその記事の内容を、漏らさず友だちとシェア。あるインテリジェンスあふれる女史は、その子をバカかしら?　とメガネのフレームを少し持ち上げるなどの現象すら起きてしまい、つまり私が何を言いたいのかというと、なんにょの関係を一般化するのはとてもアホらしいことです、と言いたさのあまりに、空間を大いに使ってしまったというわけである。それはGoogleによる一般化であるのだけれど、私はGoogle童貞説を常々唱えていて、Googleは童貞故、妄想癖が発達気味だ。Ｓ男君は、いつもはしっかりしていて、自分を持っている女性を「落として」、「従わせる」のが大好き。ｗｗｗｗｗｗｗｗｗ。とこんな風だ。
　であるからこそ、私は、男友だちというか、セフレたちのまこと君の評判、評価、または悪口を一切気に留めなかった。あの時。私はあの絶望に子宮の奥の壁まで突かれているのでは？　と思いながら、セックスをし、私の肩をつかみながら、貧乏サーファーがウっといったのち、さっさとシャワーを浴び、その日に限っては、不思議なくらいソフトにそおっと局部を、弱い水圧のシャワーをかけつつ、手で洗い、白いバスタオルで抑えるように、ポンポンと局部の水分をおさおさ怠りなく、吸い取ると、何やら、そこは蛍光灯ではない、けれど、白熱灯にも見えない、そんなけったいな明かりに照らされた、舞台の上の装置のようにも思え、だからと言って、誰かに見られているなどという被害感が起きたわけでもないけれど、不思議――――な気持ちになり、なんとなく、時計仕掛けのオレンジのワンシーンがンが脳裏をかすめたかと思えば、きょとんとしてみたり、それは確かに面白く観たし、フェイバリットな映画ではあるけれど、だからといって楽しい気持ちになるわけでもなく、裸ん坊の私を鏡で見ると、なにやら、老衰した鶏のようにも見えるし、胎児期の火星人にも見えるという矛盾も感じ出していて、とにかく、何もかもが「おもしろくないもの」で構成された劇場にいる気分になり、まあ、そこに客でもいれば面白かったかもしれないが、現実問題、客がいるわけもないのだし、とにかく私は面白くない気分で、鏡から目を逸らすと、いつもはさすがに裸にバスタオルくらいは撒いてはみるが、変な場末のやけっぱちな、スロットをするデブ女みたいな心持になったのだろうか？　裸のまま手をプラプラと振りながら、ベッドへ戻っていき、靴下、ショーツ、ブラジャー、という順番は覚えているが、以降忘れた、そんな風に着衣し、ソファに座った。貧乏サーファーは、ゴムをティッシュで包みさえせず、ごみ箱に捨てたのは、確かにシャワー前に目視しているが、その後は、風呂場にくるわけでもなく、何をしているかと思えば、灰皿にタバコを置きながら、ホテルにありがちである、ティースプーンで、ビニール袋の中のカレーを掬っていた。それのみではもちろんなく、口中にカレーを運んでいたのである。私の胸には何やらワナワナワナワナが去来した。けれど、それを表情に出す私ではない。今後会うことは100パーセントないとは言い切れないだろう。そらそーだろう。しかしかなりの高い確率で今生のお別れは数分後に近づいているこの男に対し、憤りを、はっきり言ってしまえば、私は憤りを感じていたのに、関係性の悪化を私は望まないのだ。それはどうしてなのだろう？　その憤りの理由を、今、私に問うてみる。そこには何もないのである。そして、そのホテルにいたその時も、私は同じことをした、胸にワナワナの原因を探ったのだ。しかし、やはりそこはカルフォルニアの青い空よりもさらにからっぽと言え、もしくはさらに例えるならば、空を描くことが天才的だと私が思っているみゆきを書いた、もしくはタッチを書いた、あだち充の空よりも、からっぽで、とにかくからっぽであった。
　まあ、そんなシーンが印象的ではあるが、だいぶ前のことだ。ほとんど忘れている。絶望は確かに子宮から、私の身体へと侵入したし、私の胸にも絶望は、しみこんだ。そうか、国民年金。国民年金の絶望とは、と少し考えてみようと思ったのは、アパートで、やっと、テーブルの前に体育座りをしながら、インスタントの甘いコーヒーを飲んでいるときであったが、すぐにばからしいという気持ちがわきいづり、やめてしまった。それよりもと思ってしたことは、まこと君へのラインだった。罰の悪さなど感じていなかった。ただ、ラインしたいな、それだけだった。
「たらいまー！」
すぐに既読になる。
「おかえり。してきたの？」
「ううん。だって、行くなっていうから」
「本当に？」
「本当」
「表参道行ったの。知ってる？　ローズバッドのモーテルっていうブランド。ワンピース買ってきた」
私は滑らかに嘘をついた。とても滑らかに。けれど、背中の神経を、取り出して、直接触られているような気分になっているのが、自分でも理解ができないままだ。それから、まこと君は、とつとつとというよりも、命令をするように、私にこんなことを言い出すのである。
「くみには、おそらくやる相手？　セフレ？が大勢ると思う。けれどもうやるな。会うなとまではいわないし、ラインもするなと言わない。けれど、やるな」
「うん」
「そして、毎日、俺にラインしろ。毎日っていうよりも、いつもいつもだ。間を開けずにね。俺が仕事をしているだろうとか、そんなことは気にしなくていい。常にラインするんだ」
「はい」
私はそれから、ご飯をあまり食べなくなったし、水分もあまりとらなくなった、ただ、ラインはしていた。寝てる。つまんない。音楽聴いてる。ゼニゲバ。そう。短文の今現在進行している己の行動を、報告しているみたいなものだ。日記にもなりゃしない。メモくらいならその機能は果たすのかもしれない。誰とも会うことはなかった。ただ、ラインはした。セフレたちに。今、付き合っている人がいる。セフレではないのだ。まだやってない。そして、とてもいい男である。なぜそう言える？　イケメンか？　と問われれば、それがわかるわけがないだろうが、会っていないのだ。けれどもいい男だ。どうして会ってもいない、やってもいない男をいい男だと、断定できる？　カクカクしかじか………。と私は、ヒマでヒマでヒマであったから、そのころ、つまり日々、ラインしかしていない。だから、どのセフレに同じ質問を受けても、飽くことなく、詳細に、まこと君との出会いから、現在の状態まで、カクカクしかじか………と答えることを厭わないわけだ。そして話は少し戻ってしまうが、一般的な男性像や、なんにょ像に基づいて、いろいろまこと君に対する評価や、批判、それだけでなく、私に対しても、くみちゃんも意外とありきたりなバカだよなあ、であるとか、そんな関係すぐ終わるさ、明日空いてる？　であるとか、そして、くみちゃんって案外普通の女なんだな、騙されやすい、と言われて、私は、「？」という文字と言えるのだろうか？　いや、記号かな？　そんなものが、脳裏をいっぱいに占めるという現象を経たのち、
「そうだけど」
と答えるのが最初のころの恒例で、繰り替えすごとに、その「？」で脳裏が占められるという症状は薄らいでいき、私は、機械的にその問いに対しても、飽くことなく（気づいた。ＡＩの特徴は飽きないという点でもある）、「そうだけど」と答えていた。

　けれど悲劇は起きた。

　まあ、毎日毎日、引きこもっている毎日。さすがに私も考えるところがある。外に出るべきではなかろうかｗ？　さらにはたまには、電車に乗ろうかなｗ？　などである。どうしようか………と電車に乗る理由を考えてみる。楽しいというか、気が向くことを見つけなければ、今の私は駅まで歩けそうにないｗ。まず考えてみたのは、「本当にしよう」というアイディアだ。何を本当ににしようというのかというと、まこと君へ言った言葉である。表参道、ローズバッドのモーテル。そこでワンピースを買ってやろうか。ウソが本当になるじゃあないかあ。けれど、そのアイディアにそれほど、浮き立つわけでもない、あの時ついた嘘。ウソをついたという事実をいまさら、ワンピースを買ったからといって、論理的に考えたとき、そこには何の変更も生まれないではないか。そして、ケータイが鳴ったので、見てみたら、Spotifyからのお知らせであった。リキッドルーム。電気グルーヴ。これだああああああああああ！！！！！　私は見つけてしまった。そう、沸き立つものを。心踊るもを。しかしそれは悲劇につながっていることを、その時私は知らなかったったのであるｗｗ。我ながら、古臭く、通俗的に過ぎる表現技法を使ったものだ。しかしだよ？　ナポレオンの軍靴は、歴史を何周も回って、おしゃれなブーツとして私んちのげた箱にも収まっているよ？　この表現技法が、未来のいつかの時代に最先端の表現となっていますように！　と祈念してみる。
　ところで、私は歩いて駅へ行き、電車にガタゴト揺られて、リキッドルームに着いたわけだが、そこで、踊っていたら、ゆらゆら揺れる、若い男性が近づいてきて、自分の口をバカでかく開けたかと思うとフリスク状の形状をしたものをポンと口中に投げ入れ、にこにこしながら、一つつまんで、私の口許へ、近づける。私は愛想がいいほうだ。昔っからそうだったし、これからもそうだろう。そんな確信めいたものがある。私も男と同じく口をバカでかく開けてみると、そのフリスク状の形状の物質を、その男は、私の口中に放り込んだ。ポンっと、である。そして、そのフリスクマンとクラブの隅でお酒を飲んでいたら、私はセックスがしたくなってきた。しかし、まこと君に禁じられている。やめておこう、そう思う。尿意を催した。そこで、男に、「トイレ行くわ」と言って、トイレへ向かうと、男も何を言うわけでもないが、当然と言った風に、ついてきた。私がトイレの個室に滑り込む。すると、男も滑り込む。私は何が起こるのかだいたいわかっていたし、ストロークスのＭＶ「ジューシーボックス」かな？　を思い出し、なんか、かっこいいシチュに思えてきて、酒にも酔っているし、さらにはストロークスのシチュにまで酔わされ、私はとうとう、おしっこを済ませた後、フリスクに
「ねえ、犯して。お願い」
とついつい言ってしまったのだ。

第３話：👽は言った。「中でオシッコしてもいい？」に続く！