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エッセイの書き方

今回はイギリスの大学院におけるエッセイ(論文)の書き方のコツを自分なりにまとめて紹介したいと思います。(今後イギリス留学される方/する予定の方は必見です!)


イギリスの大学院の評価制度

まず以前の記事でも紹介したかもしれませんが、イギリスの大学院 (Postgraduate)の成績は、[Distinction, Merit, Pass, Fail] の4段階で評価されます。大学や学部によって評価幅は変わりますが、基本は70%以上でDistinction(日本での「優」)、60%~69%がMerit(日本での「良」)、50%~59%がPass(日本での「可」)で49%以下がFail(日本での「不可」)になります。

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Distinctionは大学にもよりますが、かなり難しくクラス全体の10%~15%ほどと言われています。今回運よくDistinctionをとることができたので、その時に意識していたことやアドバイスなどをまとめてみました。

Marking Criteria(採点基準)は以下の4つです。大学によって違うと思うのであくまで参考程度に見てください。

1. Knowledge/Understanding
2. Critical Thinking/Analysis
3. Reading/Research
4. Presentation/Communication

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1. Knowledge/Understanding

Knowledge/Understandingはその言葉の意味のとおりで、どれだけその分野に関する専門知識があるかどうかを問われています。要するに課題となっているトピックについてどれだけ知っているかということです。これはもちろん授業をしっかり聞いて内容を理解することが一番です。内容を知ったうえでさらに深い考察をしたい方は、そこからそのトピックに関連した文献を漁っていくといった感じです。

専門知識を蓄えることも必要ですが、それと同じくらい重要なのはその課題が何を聞いているかをしっかり捉えることです。いくら専門知識があっても質問の意味を理解せず的外れな答えをしても高得点にはつながりません。聞かれていることについて、ちゃんと簡潔に答えられてられているかどうかを意識しましょう。そのためにも普段の授業からクラスメイトや教授とのコミュニケーションが重要です。

ちなみにコロナ渦の中では、基本的に全ての授業がオンラインでした。オンライン授業では、対面授業と違い発言をコメントやチャットですることができます。なので、授業中に発言するのが気まずい人や質問したいけどスピーキングに自信がない人とかにとってはオンライン授業の方が比較的優位に働くと思います。来学期以降どういう体制で授業が行われるかは分かりませんが、オンライン授業であればそういったメリットを活用していきましょう。

2. Critical Thinking/Analysis

Critical Thinking/Analysisとは日本語に直すと批判的思考および分析のことです。「批判」とは、物事のよしあしを批評し正当性などを判定、誤りを指摘し正すべきであるとして論じることを言います。日本語の文章ではよく構成を「起承転結」にするといいと言われてますが、Criticalに当たるのはまさに「転」の部分です。これは非常に重要なのですが、多くの人が苦手としているところでもあります。

当たり前ですが、物事には必ずメリットとデメリットがあり、両方をしっかり議論したうえで人は判断を下します。ただ闇雲になんでも批判すればいいというわけではなく、そのデメリットはどのように乗り越えられるのかまでも論ずる必要があります。あるべき姿と照らし合わせて建設的な批判ができているかどうか、それともただの悪口を言うクレーマーになっているかどうかを考えてみましょう。

3. Reading/Research

Reading/Researchは自分の考えや主張を裏付ける文献をしっかり使えているかどうかが基準になります。理由もない主観的な主張は正しいとは言えません。何事にも根拠が必要です。

わたしのコースでは、参考文献の引用や索引の仕方について2時間まるまる使って説明する授業がありました。それほどまでに参考文献は大事なのです。ただ参考文献は多く使えばいいというわけではありません。あくまで自分の主張をちゃんと裏付けているかどうかが判断基準なので、量ではなく質にこだわりましょう。

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正しい引用と裏付けできてなかったりすると、フィードバックで上のようにコメントで指摘を受けたりします。おそらくこれは減点対象です。

ちなみにこちらの大学はplagiarism(盗作)にかなり厳しいです。インターネットに書いてあるものをそのままコピペしようものなら、ある特殊なソフトですぐに検知されてしまいます。わたしの友人でplagiarismに引っかかった人がおり、かなりの減点をくらっていました。なので、文章をParaphrase(パラフレーズ:他の言葉で元々の文や一節を言い換えること)するスキルも身につけておきましょう。

4. Presentation/Communication

Presentation/Communicationはどれだけそのエッセイがよく書けているか(文章の構成、正しい文法や洗練された語彙が使われているか)が見られます。特に日本人や他のアジア系の生徒はここは得意分野なはずです。
ただし、ぶっちゃけここはあまり他の人と差がつかないです。なぜなら今の時代はテクノロジーが発展しているおかげ(せい)で、文法の間違いや語彙はそれ専用のアプリを使えば、ネイティブとほぼ変わらない質のものに校正できちゃうからです。差をつけるなら外見ではなく中身で勝負しましょう。

他のコツやアドバイス

わたしが一番おすすめするのは、とにかく一冊なんでもいいので、その授業の内容に関連する本(できる限り浅く広く書いてあるやつ)を図書館で借りてきて、その本を読破することです。一言一句全部読む必要は全くないですが、あなたがエッセイを書く際に土台となる基礎があるかないかだと大違いです。わからないことがあれば都度その本に立ち戻ってみるようにすると迷うことが少なくなると思います。

もう一つはLimitation(制限)やAssumption(前提条件)をしっかり記載することです。筋が通っているエッセイを書くときには有効な手段なのですが、意外にできている人は少ないです。例えば、自分の研究内容が日本国内では適用できるがヨーロッパ諸国等では適用できない場合にはそのことを事前に書いておくべきです。ある一定の条件下でないと妥当性や信頼性が保証できない場合には、絶対にこれらは記載しておくべきです。

最後に

エッセイはテストと違って時間をかけて作成できるため、要領さえ覚えれば最も得点が期待できるところだと思います。エッセイは英語能力ではなく一貫性のある文章がかけるかどうかなので、日本語でも怪しいと思う人は英語のライティングだけでなく、ロジックを組み立てる訓練をしてみるといいと思います。

イギリス大学院のことについて書いてほしい内容があれば、リクエスト受け付けますのでコメント等もらえると嬉しいです。それでは、また今度。

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