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自然との対話で見えてくる世界

「上野公園の木々」

「私が森へ行くことにしたのは…死ぬ時に自分は本当の意味で生きてこなかったと思い知らされるような羽目にならないためだった」

ヘンリー・デイヴィッド・ソローは、引きこもりの哲学者ではなく、行動の人で、自己実験を行ったのだった。

「落ち着いて生き、人生の本質的な部分にだけ直面し、人生が教えなくてはならないことを学べるかどうかを確かめるため」森で2年に及ぶ自給自足生活を送り、その記録を本にまとめたのでした。

最近、ソローに傾向しつつある私は、タイムリーな美術展へ行ってまいりました。

東京・上野にある国立西洋美術館では、ただ今リニューアルオープン記念として「自然と人のダイアローグ展」を開催中です。

まだ始まったばかりで、かなり空いていてゆったりと鑑賞することができました。

それぞれの芸術家が、どの様に自然と対話し、何を描きたかったのか。そんな問いを持つと、作品を眺めるというよりは、作者の目線を体験する様な気持ちになってきます。

すると、ソローの言葉がよぎります。「本当の意味で生きてこれたのか?」と。
うう…目を覆いたくなる、恐ろしい問いですね。

モネは、光を描いた画家と言われますが、自然の中から立ち昇ってくるエネルギーを感じたままに色にしたのかもしれません。
空即是色の世界を描いた画家だと私は思います。

人は、自然の一部であるということをまざまざと思い知らされた展示会でした。人間の本来の姿は、自然の中にある美しい生命体なのですね。

ソローは、森の生活を終えた時に、次のことを学んだと記しています。

「夢の指し示す方向に自信を持って進み、自分の思い描いた生活をすれば、普段は思いもよらない成功を手にすることができる」

「天国は頭上にもあり、足元にもある。」

もっと私たちは、希望を持って生きて良い。
この実験的な自然生活からの智慧をソローは私たちに送ってくれたのです。




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