見出し画像

フェミニズムの勉強を始めたい方へ、私からの推し本を。(専門書編)

私は、「フェミニズム」勉強したい!!けど、どこから手をつけていいのかよくわからん、、、と、当初とても困りました。そこで、フェミニズムに興味を持ってくれた人のお役に立てればな〜と思い、この推し本シリーズを書くことにしました!(最後にこれまでのシリーズを載せています。そちらから!という人は、目次から飛んでください)

では、今回は「専門書編(上級編)」と題して、フェミニズムについて学べる本の中でも以前の中級編から、もう少しアカデミックなフェミニズム色の強い本をいくつか紹介したいと思います。(この本もいいよ〜!といったご意見等、いつでもウェルカムです!コメントお願いします!)

なぜ、それが無罪なのか!?性被害を軽視する日本の司法

日本の性犯罪に関する刑法は、明治40年の制定以来110年ぶりとなる2017年にやっと、その内容が改正されました。

その改正内容は、以下のようなものでした。
・「強姦罪」から「強制性交等罪」という名称の変更に伴って、被害者の性別を不問にしたこと
・強制性交等罪の法定刑の下限を懲役3年→5年に引き上げ
・被害者の告訴がなくても起訴する事ができる「非親告罪化」された(これまでは被害者の告訴がないと起訴できない親告罪)

しかし、19歳の女性が14歳の頃から実父による性的虐待を受けてきたにも関わらず、無罪という判決が下された事件は記憶に新しいかと思います。

この事件は2019年の話で、2017年の法改正以降に起きた事件です。では、なぜ法改正により厳罰化されたにも関わらず、この事件は無罪となってしまったのでしょうか。

そこには、法改正後も残る課題がたくさんあるからでした。
法的な性的同意年齢が13歳のままであることや、準強制性交等罪にある「抗拒不能」の高いハードル。

日本の性犯罪に関する法律を、実際の事例が判決内容と共に紹介されています。

比較的わかりやすく書かれていますが、法律用語がたくさん登場する本なので、専門書、上級編に入れさせてもらいました。

家父長制と資本制ーマルクス主義フェミニズムの地平ー

フェミニズムの権威、上野千鶴子さんの代表作とも言われる一冊です。

難しいです。難しかったです。多分、あと数回読まないと全部理解できた!とは言えなさそうな内容でした。笑

とても1990年に出版されたとは思えないくらい、現代にも通じる議論が行われていることに驚きました。日本の価値観がアップデートされていないという点と、上野千鶴子さんの先見する力がすごいという点の、2点で。

資本制と家父長制から、日本女性が抱える諸問題を分析した内容になっています。経済思想史なんかを勉強して読むと、より面白く感じるかもしれません。

女ぎらいーニッポンのミソジニー

また、上野千鶴子さんの本か!!と言われそうですね。次も、上野千鶴子さんの本です。東大でのスピーチに感激して、上野先生が出版された本はほとんど読み漁ったので、偏りが出てしまっていて申し訳ないです。

本書も、上野千鶴子さんを代表する本でしょう。日本に根付いているミソジニー(女ぎらい、女性蔑視)について、論じられています。冒頭から、上野節が炸裂で私は読んでいてとても面白かったですが、男性読者には辛辣に感じる部分も多いのかもしれないな、、と感じる内容ではあります。

それでも、ホモソーシャルやホモファビアといった、男性の生きづらさを生む心理についても触れられていて勉強になると思います。

差異の政治学

これで、最後の上野千鶴子さんの本です。

フェミニズムのトピックとしては、60年代から80年代にかけての日本国内フェミニズム、いわゆる「リブ」の動きがまとめられています。なので、現代のフェミニズムの風潮を知りたい方には、もの足りないかもしれません。

『差異の政治学』というタイトル通り、”差異”に着目し、中立という立場を問うています。「フェミニズムは、一見中立を装う体制によって、誰が得をして、誰が排除され「ないこと」にされているのかを明らかにする学問だ。(要約)」という考え方は、興味深かったです。

そして、この視点を持つことは、男女だけでなく、障害者や外国人に絡む諸問題へ取り組む姿勢にも有用だと思います。

女性のいない民主主義

日本の女性国会議員比率は、193カ国中165位とG20諸国で最下位の値です。これほどまでに、単純に考えて人口の半分は女性なのに、男性にだけ権力が集中するのはそうしてなのでしょうか。
民主主義とは、国民が主権を持つ政治という意味のはずなんです。にも関わらず、国会議員に人口比率が反映されていない時点で、これは民主主義と呼べるのでしょうか。

政治学に詳しい方からすれば、「そうだよね」と納得感のある問題の切り取り方なのかもしれません。ただ、私は、政治学についてあまり詳しくないので、どの議論も「なるほど〜!」と思うものでした。

クオーター制の是非が議論されることが増えたけど、何故そもそも女性がこんなに少ないのかがいまいち分からなかったんです。

でも、この本で既存のシステムによって女性議員にガラスの天井が生じていることが学べました。

現代フェミニズム理論の地平―ジェンダー関係・公正・差異

これは、読みたいな〜!と思っている本です。

近くの男女参画センターの図書館で見つけて、まだ手をつけてないし、結構専門的に思えたけど面白そうでした!

本の紹介文は、こんな感じです。

フェミニズム理論を歴史的に検証しつつ,今後を展望したもの。研究論文をベースに加筆・修正した学術的著作。資本主義的家父長制に基づく社会的・文化的構造における「男性=主流、女性=周縁」という既存のジェンダー関係を解体し、ラディカル・ヒューマニズムに基づく男女とも抑圧のない社会の構築をめざすことに、フェミニズム理論の基本的な立脚点はある――という考え方のもとに、リベラル派、ラディカル派、マルクス主義派などのフェミニズム理論の展開を検証し、これからの女性学について展望している。
「女性学の歴史とフェミニズム理論の変遷」「経済的依存症とジェンダー」「フェミニズム理論の新しい動向と展望」というような論文が主軸になっている。様々な文献をベースにしての論述には説得力がある。白人主流フェミニズム批判の潮流や性差のない個人の個性と能力に応じた生き方などについての紹介や提言には、学ぶところが多い。男とは、女とは、性差とは、といった基本的な問いを投げかけている。

太字のあたりが気になってます。

第二の性シリーズ

有名な「人は女に生まれるのではない、女になるのだ。」が登場するシモーヌ・ド・ボーヴォワールの本です。私はここの新潮文庫のものを読んだだけなので(これも全巻は読めてない)、どの出版社のものがいい!とまでは紹介できず、申し訳ないです。

原本は1949年に出版されたもの何ですが、ボーヴォワールの指摘する問題や視点は現代にも通じるところがたくさんあるように感じました。

どうして、女性は男性より劣っている「第2の性」という位置付けに抑圧されたのか。これをあらゆる学問的視点で考察されていて、(難しいんですけど)勉強になりました。

これも全部完璧に理解してます!とは言えないけど、ファミニズムの古典として外せない一冊かと思います。

日本のフェミニズムシリーズ 「フェミニズム理論」

これはシリーズで、他にも『リブとフェミニズム』や『女性史・ジェンダー史』などについても出版されているんです。

全部手元に揃えたいですね、、、。

まだ読んだことないんですけど、編集に関わっている面々が豪華なのでいつか読みたいと思っています。

性の署名―問い直される男と女の意味

おそらくフェミニズムについて勉強を始めると、どこかで出会う名前があります。「ブレンダ」です。ご存知でしょうか。

ブレンダは、男性として生まれたものの割礼手術の失敗により性器を大きく失ったため、筆者ジョン・マネーにより、女性器への性器を転換させる性転換手術を施され、女性として育てられました。

しかし、ブレンダは幼少期から自分の性に違和を感じ、14歳で男性に戻るも、この手術の失敗は長年伏されてきました。

どうしてジョン・マネーがこのような手術を行ったのか。
性別を自己認識する要因は、先天性か後天性かという議論で、筆者は前者を支持していたため、このような手術を行った。

遺伝子の話など専門的な用語が多いし、最近では、性別を自己認識するのは後天性という議論が一般的なので、そういう事実があったんだと踏まえた上で読まれてみるといいかもしれません。

フェミニズムの名著50

そして、こんな本があることをこのシリーズをまとめている段階で知りました。もっと早くに出会いたかった、、、。

お高いのでお近くの図書館などで検索してみて、取り寄せてその中から気になった本を選んで購入してみてもいいかもしれませんね。

私も一度読んで、読んだことのない本に挑戦したいと思います。

本シリーズの過去noteと紹介本

・『82年生まれ、キム・ジヨン』
・『三つ編み』
・『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』
・『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』
・『世界を変えた100人の女の子の話』
・『Black Box』

・『ウーマン・イン・バトル』
・『スカートの下の劇場』
・『禁断の果実 女性の身体と性のタブー』
・『日本のフェミニズム』
・『何を怖れる――フェミニズムを生きた女たち-』

・『私たちにはことばが必要だーフェミニストは黙らないー』
・『説教したがる男たち』
・『バッド・フェミニスト』
・『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』
・『女性学/男性学(humanities)』
・『ぼそぼそ声のフェミニズム』
・『彼女は頭が悪いから』
・『壊れる男たちーセクハラはなぜ繰り返されるのかー』
・『世界の半分、女子アクティビストになる』

この記事が参加している募集

推薦図書