見出し画像

美しい薔薇には棘が、憧れの宇宙には生命を拒む闇がある。

今月、野口さんはまた宇宙へ向かった。
今度の船はイーロン・マスク率いる初の民間機 CrewDragon

デザイン性が高いと話題の宇宙船、熱を帯びた宇宙ビジネス、
それらに触れた「宇宙に行くことは地球を知ること」
読んでみたいにきまってる!!


本書はかなりの宇宙ファンである矢野顕子さんと野口聡一さんの対談形式。
読みはじめてみると初心者でもわかりやすいように基本的な情報や数値も書かれている。「第1章 宇宙で感覚や心はどう変化するか」

宇宙飛行士はアスリートのよう。ひたすら鍛錬鍛錬。5〜10年に一度のハレ舞台のために、訓練をひたすら繰り返す。
アサインされてからも800時間の訓練。
国際宇宙ステーションISSは地球上空約400キロメートルを秒速約7.8kmで飛行するし(ライフル銃の弾丸の数倍もの超高速、90分で地球を1周)、
宇宙では45分おきに昼と夜がくる。
なんか、頭どころか心が追い付かなそう。。。


全体を通して印象的だったのは死を意識するような話や、宇宙飛行士を「リスキービジネス」と表現した部分。
言われてみれば納得だけれど、宇宙飛行士は毎回飛行前に遺書を書くそうだ。

「指先が死に触れている」
「“絶対的な孤独”こそ、宇宙へ出たものだけが味わう特権なのかもしれません」
これらの文がグッときた。
宇宙飛行士は”選ばれし者だけがなれるすごい仕事”とただただ華やかなイメージが先行していた為、光と影に触れていた部分が印象的だった。

特に「2章 死の世界」では、コロンビア号の話をはじめ、野口さんが直面した苦悩や宇宙飛行士という職業の陰の部分が書かれている。
「自分の前に、この発射台から飛びたった仲間たちは帰ってこなかった。それでも君は行くのかと。」

それでも宇宙へ向かう理由が「第4章 3度目の宇宙へ」に記されている。
それはとてもシンプルで素敵な理由。

そして「第5章 スペースX イーロン・マスクと「宇宙新時代」」
イーロン・マスク率いるSpaceXのどこが凄いのか。
まずは”黒電話からスマートフォンくらい”の変化をおこしたデザイン力。
船内のタッチパネルひとつとっても、できるだけ簡単な操作で宇宙に行ける手段をつくるという理念をしっかり表現している。

そして失敗した時のリカバリーの早さ。現場主義の強さ。
宇宙服にしても、つくるときに採寸し仮縫いし訓練の度に修正した担当者が、打ち上げの日にはシートに乗り込むまでついてきて最終確認するそう。



また、”宇宙から見た生”についても、「第3章 生の世界」で触れられている。
「大気圏がなければ死ぬという事実を、地球の中にいる私たちは実感することは難しい。それが宇宙からは一目瞭然に見える。」

一切の生命を拒絶するような漆黒の宇宙の中で、命が躍動する地球という場所。


本書を読んでからよく見るようになったのが、
キューポラから地球を愛でる野口さんのTwitter
驚くほどシンプルな美しさを目にすることができる

「第6章 宇宙に飛び出すことは地球を知ること」

物理的に宇宙に飛び出せなくても、知ることはできそう。

自分を離れ観客の立場で自分を見ること
世阿弥のことば「離見の見」

野口さんのツイッターを見ながら、
手元だけではなく、遠く近くその奥行に思いを馳せてみようと、
一呼吸おいて穏やかな気持ちになれるから

今日の帰り道も、月を見上げて、ちっぽけな日々だけど頑張ろうって、思ってしまった。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
おかげさまでいい日になりました🙌🏻
4
92年生まれ、会社員、スペイン語を勉強中。穏やかにゆるやかにnoteします☺︎