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四季彩事典 7月

7月 濃い青 : 藍色 (あいいろ) / インディゴ  


 ここ十数年くらい、夏になると浴衣を着る人が徐々に増えてきました。
 現代の浴衣は、色も模様もバリエーションが豊かで、レースやパール、ビーズをあしらったものや洋服のデザイナーがデザインしたブランド浴衣も人気があります。でも、浴衣で連想するのはやはり藍染ではないでしょうか。

 浴衣は、平安時代に上層階級の人々が入浴の際にまとう湯帷子(ゆかたびら)という麻衣が始まりです。江戸時代初期の頃には庶民の夏の普段着になっており、洗濯がきき、日光に強く、虫除けにもなるという実用面から木綿の藍染が一般的になりました。
 窮屈なイメージのきものですが、袖口や首まわりが圧迫されず、特に浴衣は素肌に直接着る気軽さが人気の秘訣かもしれません。寒色の藍色が涼を添えるのはいうまでもないでしょう。
 藍染めは太古の時代から世界中に伝わる染色法です。日本の歴史上では高い位の衣の色としては記録がなく奢侈禁止令(しゃしきんしれい)でも規制されていません。時代や 身分の高低を問わず広く親しまれた色です。     
 藍は日本を代表する色として知られ、別名「ジャパニーズブルー」ともよばれます。英語の色名辞典で、日本的な名称の色名の色は青系が多いというのも藍染に由来しているからです。


 一般的に広く使われてい た藍染は、何度も染を繰り返すことで見事な藍色になり、染の段階によってユニークな名前がついています。初期の段階のほんの少し青みが感じさせる色を 「白殺し」、染料の瓶をちょっとくぐっただけ、という意味の「瓶覗」、さらに「浅葱」「縹」「藍」「紺」と濃くなっていきます。

 インディゴはインド産の藍で 染めた色のことで、紀元前2000年頃エジプトに伝わったものが、ローマ帝国盛期にindicumの名でヨーロッパに伝わりました。 
 ブルージーンズは、アメリカの開拓時代に、リーバイス・ストラウスが馬車の幌布で作業用の丈夫なズボンを縫い、蝮(まむし)除けにインディゴで染めたものが始まりです。ジーンズもやはり染めの具合によって色の名前がそれぞれありますね。


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