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心配してくれる人 【83/1096】

もうだめかもしれない
なんて無価値な
このまま生きていても意味もなく
もうダメだダメだと
自分を追い込む波がくる
以前はゆるやかだった波の
押し寄せてくる幅がせまく
深くなりつつある
外の冷静な自分は冷めた目でみている
また来たね その波 今度のは大きいよ

きみのそれより浅いけど
自分にとっては重い波 深い揺れ
心が閉じていく まぶたも重くなる
体はだるくなり
この先どう生きていこう
生きていくのはむりかもね
どう消えたらよいのか
考え始めるときがくる
どう消えるか いつ消えるか

ピンポーン
インターホンがなる
お届けものです
それは近所の優しい方だった

わたしの好きな植物をくださる
なぜか 焦った様子で持ってきてくれる
なにも知らないのに
突き動かされたようなひらめきで
誰かの遣いのように
わたしに元気を気力を届けてくれる
ありがとうございます

闇の縁に沈みかけ落ちそうなとき
かならずどこからか
お知らせがやってくる
自分を喜ばせてくれるもの
自分を励ましてくれるもの
まだ生きていていいよ
きみはそのままでいいよ
きみの人生をつむいでいいよと
メッセージが運ばれてくるんだ
そうか まだ生きていていいのか

今日のお届けものは
さすがに涙が出そうになって
泣かれても困るだろうと困惑し
重たく受け止めてほしくないあの人に
きちんとお礼が言えたか記憶が定かでない

ありがとう
ほんとうにありがとう
悲しんでいいのだね
やっと悲しむ気持ちが出てきたよ
そばにいなくてさびしいよ
ただいてくれたらよかったよ
きみの悩み方はまちがいだったよ
望まれてここに来たんだよ
ずっときみを想って見守っていたんだよ

悲しいね 悲しいことだ
悲しい以外なにがあるだろうか

今日もありがとう
いつかどこかで恩返しができる人でありたい
近所のあの人のように