伊村香乃

学生。読むこと、書くこと、考えることがすきです。 2020,3,18~

伊村香乃

学生。読むこと、書くこと、考えることがすきです。 2020,3,18~

最近の記事

ペンを手に、秋の訪れを待ち望む

 涼しい日が続いて、大好きな季節が来るんだなぁとぼんやり考えていた。あと3月と少しに迫った最初の試験のことを、同級生らがしきりに話している。空を眺めて聞き流しているくせに耳から入る情報の力はそれなりで、胸の奥に仄かに不安を広げてしまう。そんなわけで、たまには他のことを考えようか、と。 **  ずっと前から日記を書いている。広くも狭くもないスペースに、黒のボールペンかシャーペンでさらさらと。  ふとした瞬間に思考や感情を書き留めるのは昔からの癖だ。文字を書けるようになった

    • いつもの夏ってなに

       通学路にひっくり返った蝉を何匹も見かけるようになった。ぴくりとも動かないのからじたばたと戻ろうとするのまで。毎日おっかなびっくり隣を通る。夏か、と唐突に気づいた。  高校生にとって夏休みなんてあってないようなものだ。それでも、本来なら今頃は夏休みなんだよなぁ、と思ってしまう。教室にはエアコンも扇風機も付いていて、快適な勉強環境が整っている。登下校さえ耐えれば良いのだから、何の問題もないはずなのだが。  今もいっそうの猛威を振るう件の感染症は、残り少ない学生生活を一変させて

      • 文章としての父と、幻想の過去

         父と離れて10年以上になる。年に一度は顔を合わせるものの、私の中での父という概念は未だ、幼稚園に通っていた時期のもののままだ。  ざっくり言うと一番の理由は父の仕事の都合で、そうなるまでには紆余曲折。書くほどでもないが。ともかく私は今も父と約800キロほど離れて暮らしている。数字としての距離はたった今Googleマップを開いて知った。なるほど、彼は案外近くにいるらしい。  幼い頃の私は、それなりに父に懐いていたと思う。平日は夜勤続きでほとんど合わなかったが、日曜の朝、目

      ペンを手に、秋の訪れを待ち望む