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キャンベル読んでみた。動物の生殖について。

せっかく夏休みになったので、生物の勉強としてキャンベルを読んでみようかと思い立ちました。
『キャンベル生物学』とは、生物学徒なら皆、名前くらいは聞いたことあるはずの王道中の王道の専門書。生物学を浅く広く全体をカバーしてあります。(浅くとはいえど、1700ページくらいある笑)

先輩も何かに書いてましたが、院試の対策になるくらいなので読んどいて損はない一冊みたいです。復習・学び直しがしたかったのでちょうどいい機会だと思い、読み進めることにしました。
範囲は夏休み前に少し勉強していた動物発生学と生理学から始めようかな。

ということで、このnoteではキャンベルを読んでいて特に記憶に残ったこと、興味のままに調べてみたことなどについてまとめてみたいと思います。

今回は動物の生殖について。46章から。
まず、動物の生殖については有性生殖無性生殖があり、前者は2つの配偶子(精子と卵子)の接合によって受精卵が形成される形式、後者は生殖相手を必要とせず一つの個体から新しい個体が生み出される形式である。
無性生殖には、親個体とほぼ同じサイズの新個体が生じる分裂と、親個体のごく一部から生じる出芽といった形式がある。加えて、プラナリアのようにいくつかの部分に断片化し、それぞれが完全な新個体として再生する場合もある。
精子を必要としない卵から発生が進むことから、単為発生(一部のミツバチやアリなど)は無性生殖にカテゴライズされていたが、サイトによっては減数分裂を経るので有性生殖であるとする考え方も見られた。
ミツバチの生殖形式は、単為発生によって生まれたオスは生殖能を持ち、受精卵から生まれたワーカーは生殖能をもたず、女王バチのみが産卵できるといった特徴がある。
脊椎動物においても単為発生の例は存在するが(コモドオオトカゲなど)、個体数が少なくなった時など生殖相手を探すコストが高まった時に限定されている。(普段は有性生殖)

有性生殖の謎。
有性生殖と無性生殖の繁殖効率をシンプルなモデルで考えた時、前者ではオスを産む必要性から、産卵のコストが倍かかることになる。
そのコストを払ってでも有性生殖を選ぶメリットがあるのか。
1つには有性生殖の場合、父親と母親から遺伝子を受け取ることになり遺伝的多様性が高まるため、という理由が挙げられる。しかしこのメリットは、生存に有利な変異が起こりやすく、かつ個体群が小さい場合に限られるため、当てはまる例は少ないと言えそうだ。(基本的に突然変異は生存に有利にも不利にもならない中立変異が多いとされる)
もう1つ挙げられるとすれば、劣性(潜性)変異を排除することができる、というものである。
「恋愛に効率を求めたら終わり」、というのはこういう面でも的を射ているのかもしれない。

ヒトの生殖器の構造とホルモン制御について。
①男性生殖器
精子は、精巣の中にある精細管で作られる。まず始原生殖細胞(核相:2n)から分化した精原細胞(2n)が有糸分裂(体細胞分裂)を経て、一次精母細胞(2n)となり、減数分裂第一分裂を経て、二次精母細胞(n)となり、減数分裂第二分裂を経て精細胞(n)、分化して精子(n)となる。
(精子の産生は卵と異なり、連続的に行われる。)

精子の構造は主に3つの部分に分けられ、と受精時に利用する先体をもつ頭部と、尾部にある鞭毛を動かすためのエネルギー産生に使われるミトコンドリアが中部に位置する
精巣には、精細管内で精子細胞の支持・栄養補給など、多様な役割をもつセルトリ細胞や、精細管外の間質からアンドロゲンなどを分泌して精子産生を促すライディッヒ細胞などが存在している。

精巣は精子の正常な産生のため、筋肉質の構造に覆われており、体温より2℃ほど低い状態にキープされている。このため、日常的に高温の風呂に入っている男性は機能的な精子が産生されにくいということもあるらしい。(サウナーの方々、お気をつけて)

精巣で作られた精子は6mほどもある精巣上体を3週間ほどかけて移動し、その間に運動能を獲得し、射精時には筋肉質な輸精管によって送り出され、精子が泳ぐための栄養を含んだ精液や、尿道に残った酸性の尿の中和に用いられるアルカリ性の液体を伴って体外に排出される。
精子の受精能は、女性の体内の化学的環境によって獲得される。(異種間生殖のストッパーの1つ?)

ホルモン調節。
生殖ホルモンの中枢は間脳の視床下部にあり、ここから生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が放出され、脳下垂体前葉に作用する。ここで卵胞刺激ホルモン(FSH)黄体形成ホルモン(LH)が放出され、それぞれセルトリ細胞とライディッヒ細胞に作用して精子形成が促進される。その一方、セルトリ細胞で作られたインヒビンとライディッヒ細胞のアンドロゲンが負のフィードバック調節を行い、過剰な精子形成を防いでいる。

②女性生殖器
減数分裂の形式は精子と同様だが、卵子は大まかに2度の分裂停止を行う。一度目は自身の誕生前のタイミングで、一次卵母細胞が前期Ⅰで停止している。そこから思春期で性機能の成熟とともに分裂が再開し、受精待ちの段階として二次卵母細胞が中期Ⅱで停止する。
また、卵の減数分裂の特徴として、娘細胞のうち1つにほとんどの細胞質をつぎ込み、他の細胞は極体となる。第一極体は分裂することもあるが、いずれにせよ第二極体で退化する。

卵の形成についても、FSHが発達中の配偶子に栄養を届ける細胞(卵胞)に作用し、LHが配偶子形成を促進する性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の産生を刺激することは精子と共通。性ホルモンを通じて卵巣周期や月経周期を同調させる。
(細かい機構は複雑かつめっちゃよく出来てるので、再読されたい)

以上、昨日読んだ範囲はこんな感じでありました。
今見返したら、雌雄同体や体外受精・体内受精の話、出産時のホルモン制御についても書かれていましたが、今日はこれくらいで。

これを読んでくださった有識者の方、もし誤認識等あればコメントでお知らせくださいますと助かります。


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