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さようなら全ての90年代?

 そういえば、前作も公開初日に行ってぽかんとしたな。今日、月曜日が初日という変則的ロードショー。仕事を休む人もいれば、春休み直前の学生は余裕で見れたり、これでコロナ禍の興行の形態も変わるかもしれない。そういえば、自分も昼過ぎからの出勤なので、見れることは見れる。もう気になるなら行ってしまえ、と初日に見てきました『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。ただ、ものがものだけに内容に触れる箇所も出てくると思いますので、何とも言えない。でも書く。


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*以下、内容に触れる文章となりますので未見の方は読まない方がいいかと思います。でも書く。






 前作の絶望的な内容から一変、幸せなエンディングへと進む本作。もう人類はほとんど死に絶えたかと思っていたら、実はひっそりと集落を形成して生きていた! 前作が組織対組織の物語ならば、今回のその下で生きている人たちの様子を描く、庶民ゲリオン。まさか綾波レイがジブリ的農村風景で田植えをするなんて、言っても誰も信じないだろうという展開がしばらく続く。この緩やかな時間の流れが前作ラストで死ぬほど落ち込んでいた碇シンジの再起をも促すことになる。旧劇場版ではなかなか動かないので見ていて『はよエヴァに乗れ!』とイライラしたけど、今回は割と立ち直りが早い。

 そして色々あって最終決戦。相変わらずよくわからない用語と設定が続く中、シンジの父ゲンドウが南極でフォースインパクトを引き起こそうとする。ますます世界がおかしくなるぞ、後半はそれを阻止するヴィレとゲンドウのゼーレとの気が狂うような戦闘が続くのです。

 先日見た『ロボットガールズZ』で突然『それいけ!ロボット軍団』が流れた瞬間、アドレナリンが大放出したように、音楽の力というのは恐ろしいものがあります。それが自分の知ってる曲で、意外なところで使用されたらなおのこと。今回、ヴィレとゼーレの艦隊戦の最中に流れるのは『惑星大戦争』! 令和の世に、津島サウンドが劇場に鳴り響く! これでアドレナリン大解放、思わず身を乗り出してしまう。あかん、もう映画の筋とか結末とかどうでもよくなってきている。そしてさらに色々あって、クライマックスで流れる『さよならジュピター』主題歌『VOYAGER〜日付のない墓標』。小手先のお遊びではなくここぞというところに不意打ちのような選曲。アニメじゃない、東宝特撮じゃないか。エヴァ初号機対十三号機のミニチュアセットでのバトル、冒頭の操演のようなパリ攻防戦等々。特撮もアニメも作り手も観客も関係ない、使いたい表現は貪欲に使う、東宝も東映も円谷もジブリも飲み込んだ、全ての垣根を飛び越えるような演出。長尺も気にならない、あれよあれよの三時間弱。

 テレビ放送から25年、あれからみんな色々あった。いやなこともいいこともフラッシュバックで蘇る。でももう終わった。エヴァというか、90年代にケリをつけたような作品。いわゆる旧劇場版の焼き直しのようなラストも、以前と違い、全てすくわれるハッピーエンドに。結局ゲンドウの『死んだ奥さんに会いたいよ~』じゃないか。壮絶だけど多幸感に包まれる展開は、たぶん『会話』の比重が大きくなったのもその要因かと。はっきり伝えたいことを言う、すると相手も理解する。この基本的な行為がなく一方的に話が進んでいたのが今までのエヴァだったのではないかな、と。監督も丸くなった、いや、あのフェティシズム全開のメカ描写と狂ったような作画は以前よりも精度が上がっている。それを見ているのもまた楽しい。

『思ってたんと違う!』そりゃ人生思い通りに行かないよ、というメッセージを勝手に受け取り、90年代のええ年したチルドレンはええ加減大人にならんといかんよな、と思ったのでした。

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 それにしても、頭の中をぐるぐる回る『惑星大戦争』のテーマ。戦艦ごと特攻かけたんだから、あの時の葛城ミサトは池辺良であり、ゲンドウはヨミだったのかな。とりあえず吐きたいことはいたので、ここまで。




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