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英語科教育法の歩み

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かわむらが勤務校で担当する英語科教育法の取り組みについて、授業者としての振り返りや実践のログを残すことを目的として記事を書いていきます。理想的には毎回の授業について書いていきたい…
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#英文法

教師の即興的意思決定

教師の即興的意思決定

英語科教育法IIの学生の模擬授業の振り返り。

今期は模擬授業に先立って指導案を書いて提出してもらっている。
生徒役の学生には指導案を見せず,私と授業者だけが指導計画を把握している状態で模擬授業が進む。

今回の模擬授業では終盤に指導案に書かれていない場面が見られた。
元々の予定では「理想の恋人について考えよう」というテーマ(このテーマについては今回は踏み込まないが,色々考えたいことはある)に沿っ

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文法の意味・機能を活かす活動

文法の意味・機能を活かす活動

英語科教育法IIで学生が行った模擬授業の振り返り。

今回は「受動態」に焦点を当てた授業。
その中で行われた活動について、受動態という文法項目の意味的・機能的特徴との相性という観点から振り返りたい。

生徒は先生から配られた英文(1文)を読んで、それを絵にする。
英文は、A soccer ball was kicked by Keisuke Honda.や、Chihiro was bitten b

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教師教育者の意図

教師教育者の意図

英語科教育法IIの振り返り。
いつもは学生にも授業を思い出してもらって、更に思考を深めてもらえればみたいな気持ちも持ちながら書いているが、今回は完全に自分のための省察としてのみの目的で書く。
まぁ、教師の省察を実際に見せたり聞かせたりすることも教師教育者の仕事なので、そういう目的もなくはないが、それでも今回は見せすぎではないかという気がする。

英語科教育法IIは「問い」に基づいてディスカッション

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楽しく効果的な英文法指導とは?

楽しく効果的な英文法指導とは?

英語科教育法IIの授業記録。
今回もまた壮大な問いが設定されているが、学生にそれぞれの考えを持ち寄って交換してもらいつつ、適宜理論の補足をしていくスタイル。

今回の問いは前期にSVOとSVCの文の見分けの模擬授業から持ってきた問いだ。

当該模擬授業の検討会では生徒役が「分からん」「なんで(SVCとSVOの見分けを)やらなきゃダメなの?」と述べ、文法指導への納得感が理解の面でも、感情の面でも低い

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「ありきたり」な活動

「ありきたり」な活動

英語科教育法I,第15回(最終回)の振り返り。
第2週から14回に渡ってやってきた模擬授業もこの日で最後。

模擬授業の概要There構文をターゲット文法に指定し,福笑いのゲームを通してThere構文を楽しく使うことを目指した。

5人ずつのグループに分かれ,1人が目隠しをする。
それ以外の4人が英語で指示を出し,目隠しをしている生徒が紙に顔の絵を描いていく。

その過程で「〜に〇〇がある」という

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正しさを求めて…

正しさを求めて…

英語科教育法Iの振り返り。第13回。
履修者4名が毎回一人が模擬授業をする。今回で全員が3回の模擬授業をしたことになる。

模擬授業の概要今回の模擬授業は中学1年生を想定し,ジェスチャーゲームを通して英語を使わせる授業。

8人の生徒役が4人ずつの2チームに分かれて,ジェスチャーをする順番をチーム内で決め,ジェスチャーを見て何をしているところかを英語で言い当てる。言い当てる側は自由に相談可能だが,

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長い文と複雑な文

長い文と複雑な文

英語科教育法Iの授業ログ。
かなり間が空いてしまって、第何回の振り返りかはよく分からない。

この回から模擬授業は3周目に入り、なかなか挑戦的な内容に。

模擬授業の概要5人ずつのグループに分かれてのライティング。
スクリーンに表示された写真を見て、それを表す英文をみんなで考えて書く。
そして以下のルールを設定してゲーム性を持たせる。
① 単語数の多いグループに1ポイント
② 一番スペルの長い単語

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いつ、何に、どう注目させるか

いつ、何に、どう注目させるか

英語科教育法IIIの模擬授業第2回目。
指導内容は「リーディングのプロセス」
単純にPre-Reading、Reading、Post-Readingの3段階に分けて考えた時、今回はPre-ReadingからReadingまでの2段階に焦点を当てる。
(尚、この次はReadingからPost-Readingまでの流れ)

学生のスケジュールや興味のあるテーマを選んだ都合上、第2回目の模擬授業で早速A

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生徒のWANTとDON'T WANT

生徒のWANTとDON'T WANT

英語科教育法Iの第3週。
今日の模擬授業は高校1年生4月を想定して、SVCとSVOを見分けられるようになろうという授業。

生徒役としての経験が活きた模擬授業S=C、S≠Oという説明を手がかりに簡単な例文でSVCとSVOの文型を整理していく。(S=C問題については授業でもまだ扱えていないので追々。ただ、5文型の導入段階において「S=Cだと考えよう」と指導すること自体には私は現段階で反対しない。)

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脈々と受け継がれるPPP型授業

脈々と受け継がれるPPP型授業

英語科教育法IIIの第3回。
今回から奇数回にはその前の偶数回の講義テーマと関連させた模擬授業と対話型模擬授業検討会を実施する。

今回の模擬授業のテーマは「仮定法」
中学3年生に初めて仮定法を導入する授業を約30分に渡って展開した。

「実際にありえない願望や想像」という説明や直説法との対比など、仮定法のUse(使用)/Function(機能)を意識しつつ、確実にFormやMeaningを抑えて

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英文法を知ることと教えること【2022英語科教育法III #2】

英文法を知ることと教えること【2022英語科教育法III #2】

英語科教育法IIIの第2回の授業ログ。
第1回はこちらから。

今回から偶数回が講義(ディスカッション、ワーク等含む)、奇数回が模擬授業&対話型模擬授業検討会というサイクルに入る。

初めての講義回のテーマは「文法指導」

上の学生の授業後のコメントにあるように、「文法指導」と聞くとついついOne-wayのティーチング、いわゆる「チョーク&トーク」(死語?)のような授業場面が思い浮かべられるらしい

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