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外国語教育_at my desk

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2021年5月の記事一覧

『デジタルで変わる子どもたちー学習・言語能力の現在と未来』 読了。

『デジタルで変わる子どもたちー学習・言語能力の現在と未来』バトラー後藤裕子

週末の保護者会で生徒たちのネット依存問題について少しだけ話をしなければいけないということもあって,何か知見を得られればと急ぎで読破。
途中までは(本来の目的通り)保護者会で話せそうな内容を探しながら読んでいたが,後半,特に第7章「デジタル時代の言語能力」は数年先に英語(国語)教師をしていることが予想される全人類に読まれた

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『学習と生徒文化の社会学 -質問紙調査から見る教室の世界-』読了。

『学習と生徒文化の社会学 -質問紙調査から見る教室の世界-』読了。

『学習と生徒文化の社会学 -質問紙調査から見る教室の世界-』須藤康介 (2020).を読みました。

大規模な質問紙調査を基に,昨今の教育界を取り巻く言説の真偽を明らかにしている。と言っても,そんな壮大でラディカルな感じを纏うこともなく,淡々とした書き振りで,かつ思慮に富んだ考察も各章で丁寧に置かれている。
学校教育に関するあらゆる言説を一度冷静に見つめ,生徒への声掛けや生徒指導・入試広報のあり方

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『やりすぎ教育 商品化する子どもたち』—英語教育の圧倒的な罪深さ。

『やりすぎ教育 商品化する子どもたち』—英語教育の圧倒的な罪深さ。

武田信子先生の『やりすぎ教育 商品化する子どもたち』を読んだ

全体を通して自分のこれまでの教師としての言動・振る舞い・考え方を批判的に問われ続け,教師という職業の中では比較的筆者の言う「エデュケーショナル・マルトリートメント」に理解があると思っていた自分も,よくよく思い返せば「成功」を目指した教育の一端を積極的にになっている部分もあることを否めないことを自覚した。
第3章には乳幼児期の話,第4章

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『学校英語教育のコミュニケーション論』に救われた話

『学校英語教育のコミュニケーション論』に救われた話

去年の夏に買ってこの春休みにようやく『学校英語教育のコミュニケーション論』(榎本, 2019)を読んだが,本当に読んでおいて良かった,軽く命を救われたレベルの話。

本の内容をざっくり自分程度にざっくり話せる内容の本ではないけど,学校で行われる英語の授業の中で本当に起きている「コミュニケーション」とはどのようなものなのかを,著者である榎本先生が実際の高校の教室に入り込んでつぶさに観察したもので,英

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