本の紹介102冊目 『ヨハネの議定書』
こんにちは、TAKUです。
今日紹介するのは、
古河陽さんの著書『ヨハネの黙字録』です。
この本は、宗教学博士である訳者が、
「新約聖書」の最後に配された聖典の中で、
中で唯一預言書的性格を持つ『ヨハネの黙字録』の全訳に加え、著者の視点からの解説が綴られた一冊です。
【『ヨハネの黙字録』の著者である、ヨハネについて】
ヨハネの黙字録を書いたと言われる使徒ヨハネは、新約聖書に登場するイエスの使徒の一人です。
ヨハネは聖人の概念を持つ全ての教派で、
聖人として崇敬されています。
著者のヨハネは、その幻視を旧約聖書やユダヤ教黙字という伝統世界で知られた表象や象徴を利用して語られており、ヨハネの自由自在な想像力を本書を通じて読み取ることができます。
この想像力については、
本書では図解として訳者が紹介しているので、
当時の人々がイメージしていたものを
絵として垣間見ることができます。
【訳者の古河陽さんについて】
著者は、宗教学博士です。
国際基督教大学を卒業した後に、東京大学大学院を中退しています。
現在は、立教大学名誉教授で関東学院院長でもあります。
主な著書として、『イエスの言葉』
『マタイ福音書神学の研究』(ともに教文館)
『旧約の完成者イエス』(講談社)
『パウロとペテロ』(講談社選書メチエ)などがあります。
【ヨハネの黙字録とは?】
まず、『ヨハネの黙字録』とは、
「新約聖書」の最後に配された聖典であり、
・この世の終末と最後の審判
・キリストの再臨と神の国の到来
・信仰者の勝利
などの預言的内容を、ヨハネと呼ばれる
イエスの使徒が、世界の終末についての
自分の幻視を物語った書です。
本書が書かれた当時、
ヨハネはローマ帝国による支配があり、
著者をはじめとしたキリスト者たちは、
皇帝よりも神を礼拝したため、激しい迫害にあっていました。
まず、著者はエーゲ海にある
パトモスという島に流されます。
ここでヨハネが受けた神の黙示が本書になります。
本書では、小アジアにある七つの教会に、
手紙としてこの世界の終わりを象徴的に描き出し、サタンに対するキリストの完全で永遠の勝利が綴られています。
そして、
世界の終末についての予告にとどまらず、
創世記に始まる神の救いの約束が叶い、
完結するという壮大な幻視を物語った書になっています。
【天上界での神の栄光とその賛美】
物語の途中で著者は天上に開かれた扉を見つけます。
そして、パトス島で聞いた声が
ラッパの様な声で自身に語りかけるのを聞きます。
そこでは、
「ここまで上がってこい。そうすれば、私は今後起こるはずのことをお前にお見せしよう」
と言っていたといいます。
すると、そこには天に玉座が据えられていて、
その玉座の周りには24人の長老たちが座っていました。
さらに、その玉座の周りには4匹の生き物がいて、
それらは昼も夜も休むことなく、
「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
全能者なる神、かつて在し、現在も在し、
またこれから来る者」
と続けて言いました。
そこで24人の長老が、
「主よ。われらの神よ。あなたは、栄光と誉れと力とを受けるにふさわしい方です。あなたは万物を創造し、あなたのみこころゆえに、万物は存在し、また創造されたのですから。」
と言います。
これから分かるように、
神から認められた存在を物語として示すことで、土地を支配したり、『シオン賢者の議定書』のような現代に通じる権力者の支配にも読み取れます。
【最後に】
本書は、宗教学博士である訳者が、
「新約聖書」の最後に配された聖典の中で、
中で唯一預言書的性格を持つ『ヨハネの黙字録』の全訳に加え、著者の視点からの解説が綴られた一冊です。
ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!
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