見出し画像

本の紹介71冊目 『論語と算盤』

こんにちは、TAKUです。

今日紹介するのは、
渋沢栄一さんの著書『論語と算盤』です。

この本は、
「日本資本主義の父」とも呼ばれる著者が、

「利潤と道徳を調和させる」という、
経営哲学のエッセンスを綴った一冊です。

著者は、
明治期に資本主義の本質を見抜き、
約480社もの会社設立を成功させています。

経営や労働、人材育成の核心をつく
経営哲学は今もなお色あせず、
未来を生きる知恵に満ちています。

それでは、紹介していきます。

【著者の渋沢栄一さんについて】

著者は実業家であり、
約480社もの企業の創立・発展に貢献しました。

また経済団体を組織し、
商業学校を創設するなど
実業界の社会的向上に努めました。

他の著書に『論語講義』などがあります。

【明治維新後、日本は西洋的な価値観な染まってしまう】

明治維新後、政治の世界では、
日本という国の基礎を作り上げたのは、
大久保利通や伊藤博文、井上馨といった
政府高官たちでした。

このとき、
「実業界の父」とも呼ばれる著者は、

「資本主義」「実業」が内包していた問題点を見抜き、
その中和剤をシステムの中に織り込もうとしていました。

当時は、
「資本主義」「実業」において、

・自分が金持ちになりたい
・利益を追求したい

といった、欲望をエンジンとして、
前に進んでいく面がありました。

このエンジンは、しばしば暴走して、
大きな惨事を引き起こしていきます。

だからこそ著者は、
「資本主義」「実業」には、

暴走に歯止めをかける枠組みが必要だと
考えました。

その手段が、『論語』です。

【『論語』とは?】

『論語』とは、
中国の春秋時代末期に活躍した孔子と、
その弟子たちの言行録です。

これは、その卓越した内容から、
後世にわたって、中国や日本、韓国、
ベトナムなどの各国に影響を与えたものです。

いずれの国においても、

「人はどう生きるべきか」

「どのように振る舞うのが人として格好いいのか」

を、学べるのがこの論語でした。

ここでの教えを、
実業の世界に植え込むことによって、
エンジンである欲望の暴走を防ごうと
しました。

【算盤について】

一方で、
本書のタイトルにもある「算盤」とは、

科学技術を学び、
会社で仕事をして価値を生み出し、
国を豊かにすること
だと言います。
 
また著者は、

「一個人の利益になる仕事よりも、
多くの人や社会全体の利益になる
仕事をすべき」

という考え方を、実業を行ううえでの
見識としてきました。

そのうえで、
多くの人や社会全体の利益になるためには、
その事業が着実に成長し、

繁栄していくように心がける必要があります。

ここで、福澤諭吉さんの言葉に、

書物を著したとしても、
それを多くの人が読むようなもので
なければ効率が薄い。
著者は常に自分のことよりも、
国家社会を利するという考えで
筆をとらなければならない

といったことを述べています。

実業界もこのことわり(ことわり)と
同じであり、社会に大きな利益を与えるものである必要があるのだと学びました。

【社会と学問の関係】

もともと人情には、
陥りがちな欠点があります。

それは、

成果をあせっては、
大局を観ることを忘れ、
目先の出来事にこだわってはわずかな
成功に満足してしまうかと思えば、
それほどでもない失敗に落胆する。

このような者が多く、
この誤った考えを改める必要があると言います。

だからこそ、人生の「志」を立てて、
一貫した生き方をしていくことで
自身の才能に磨きがかかっていくのだと
語られています。

【最後に】

本書は、 
日本の実業界で480社以上の創立に関わった
「日本資本主義の父」とも呼ばれる著者が、

「利潤と道徳を調和させる」という、
経営哲学のエッセンスを綴った一冊です。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?