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本の紹介67冊目 『南極で心臓の音は聞こえるか』

こんにちは、TAKUです。

今日紹介するのは、
山田恭平さんの著書『南極で心臓の音は聞こえるか』です。

この本は、
第59次南極地域観測隊の一人として、
地に足を踏み入れた著者が明かしている、
非日常が日常的に起こる約1年4ヶ月の南極滞在記を記したものです。

それでは、紹介していきます。

【著者の山田恭平さんについて】

著者は、
長野県環境保全研究所飯綱庁舎環境保全特別研究員であり、
東北大学大学院の理学研究科地球物理学専攻博士課程後期を修了しています。

また、
国立極地研究所特任研究員であり、
第59次南極地域観測隊(越冬隊・気水圏一般研究観測)を経て現職です。

第59次隊においては、

・中継拠点旅行やドームふじ旅行
・南極大陸上での自動気象観測装置の設置
・ラジオゾンデ観測
・キャロム・ビリヤードに従事し気象隊員から菓子を巻き上げる

などをしており、
越冬中は内陸旅行時期以外のキャロム大会には 
すべて参加していました。

【再起をかけた国家プロジェクト】

まず国家レベルで言えば、
南極とは敗戦国が再起するための、
旗印となる場所でした。

第二次世界大戦の負けに
打ちひしがれていた日本は、
世界に劣らぬ国を作り上げるため、
科学的な探究を南極から始めます。

それが、敗戦から10年の1955年のことで、
当時はまだ日本の国際復帰に非難の声が
あったものの、
最終的に日本の主張は認められ、
南極大陸の一角を割り当てられました。

また、
現在まで続く日本の南極観測の
拠点である「昭和基地」は、
南極大陸の中でも到達不能と言われた
場所でもあります。

同年11月に、
南極観測が国家プロジェクトとして動き出し、
国全体の寄付と支援を受け、
翌年に最初の南極地域観測隊が出航し、
昭和基地を建設して帰ってきました。

それから60年、
日本は同じ場所で観測を続けています。

【心臓の音が聞こえる場所】

著者は高校生の時に、
南極観測隊のOBの講演会を受けました。

そこで覚えているのは、

1.南極に行きたいなら、金持ちになるか南極観測隊になれ。
2.南極観測隊になるなら研究者になるのが簡単だ。
3.南極大陸では自分の心臓の音が聞こえる。

これらの話がもとになり、
「南極のほうを向いて、南極に行くための
道を歩んできた。」
と著者は語られています。

【「しらせ」の船上生活】

「しらせ」は、

・全長138m
・満載排出量2030トン
・軸馬力3万PS
・最大速力19ノット

これらであり、
2009年に完成し51次隊から作戦行動に
従事しています。

「しらせ」での生活は規則正しく、
午前6時、艦内放送による「総員起こし」
という号令から始まります。

例えば食事の時間は、
「0615(朝食)」などと発声され、

食事はカーペット敷きの好室と呼ばれる
広めのスペースで、社食や大学食堂に
近い形で取ります。

また、
船内では隊員に2人部屋が割り振られて、
3食決まった時間に取るほか、
全体ミーティングや訓練なども
決まったスケジュールに行われます。

【帰国とその後の話】

著者は、
南極観測隊として活動した1年4ヶ月は、
「普通に仕事をする延長だったかもしれない。」
と語られています。

また、人間は順応が早いので、
だいたいどんな環境でも生きていく
ことができます。

南極はそう過激なものではなく、
寒さには慣れて、
夜討ち朝駆けの内陸旅行でもいつの間にか
普通になると言います。
 
そして、南極に行くというのは、

「進学して新しい学校に行ったり、
会社に入社したり、他部署に移ったり、
というような感覚かもしれない。」

語られています。

【最後に】

本書では、

南極観測隊の一員である著者が、
南極出発直前から約1年4ヶ月の
南極滞在記を綴った一冊です。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

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