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ジェフベゾスに学ぶ企業成長の秘密

はじめに

この本はアマゾンの創業者(ジェフ・ベゾス氏)が、いかにしてアマゾンを成功に導いたのか、その要因は何だったのかということについて、実際の本人の証言を元に紐解いていきます。

そしてそれは、現在あなたが置かれている状況にも十分使えるヒントになるでしょう。

経営者の方から会社員の方まで、必ず読んで欲しい本です。

仕事上のリスクも投資の一つ

アマゾンが大切にしている指標の一つ、リスク利益率(ROR)があります。

リスク利益率とは、リスクにかかるコストと、それに対するリターンです

当たり前ですが、アマゾンは過去に様々なリスクを取ってきたので、現在の姿があります。しかしベゾスは、決して社運を脅かすようなリスクを犯したことはないと言っています。過去に取ってきたリスクは、全て意図的に取ったことです。

その証拠に、アマゾンでは新規事業に投資するときは必ず、投資金額として損失分も予め計算されているようです。

リスクは取るが、その分リスクマネジメントをしっかり行うのです。

失敗したときの損失も計算することで、予想外な損失を極力抑えることができるでしょう。

実験を繰り返せ

アマゾンは創業以来、実験を繰り返してきました。

もちろん実験には失敗がつきものです。

むしろ、失敗の方が多いです。

ベゾスは、過去のインタビューで失敗がいかに、極めて困難な職務かについても説明しています。

そして、失敗が多い中、ベゾスは10回失敗しても1回成功すれば、その失敗は取り戻せると言っています。

そして、またベゾスは世の中にはいい失敗があることを信じています。

いい失敗とは、失敗から学んだことがあり、その学びを今後に生かせるような失敗。

いい失敗をすることは、決して無駄ではありません。むしろいい失敗を重ねて、全てを取り戻すということです。

絶好のタイミングで実行する

ベゾスにとってリスクとは無分別に取るのではなく、賢く取るべきタイミングを待つことです。それまでは我慢が必要なのです。

そして、タイミングが来たときには、そのアイデアに大きく賭けるのではなく小さく賭け、実験を繰り返し大きく賭ける

その好例がアマゾンの実店舗です。

アマゾンは以前、実店舗やらないと思われていました。

しかし、株主総会でベゾスに以下の発言があります。

事業を拡大すべきですが、今は我慢しています。実験段階でほぼ全て失敗しているからです。

この発言からベゾスは、まだその方法を発見していなかったのです。

しかし、その後時が来たとき、アマゾンブックス、アマゾンゴーなどをオープンし、最初は小さく賭けましたが、その後最終的には134億ドルを賭けました。

有名なアダムグラントさんの著書(ORIGINALS)でも、新規事業を成功させるためには、タイミングが非常に重要な要因と言っています。

徹底的な顧客目線

アマゾンの競争相手は競合他社ではなく顧客です。しかし、その対応は日本人が考える『お客様は神様』ではありません。これは単なる社交辞令で、積極的な顧客にこだわるとは違います

顧客対応の好例として、米国アマゾンはある一人のプライム会員ユーザーがプライムビデオで映画を視聴中に、何度もフリーズ(画面が固まること)していました。

当時は、まだ4Gなどの高速インターネットが整備されていなかったのが原因です。

それをアマゾンは、ユーザーからクレームが入る前に、その状況に察知して、すぐにお詫びのメールを送りレンタル代(日本円で約300円)を返金しました。

アマゾンでは常に顧客がアマゾンから離れていく原因は何か?

と問いかけることを徹底して、常に顧客の期待を上回るカスタマーエクスぺリエンスを提供し、お客様にすごいと言わせることを心がけています。

ベゾスは最後にこう言っています。

顧客なしで成長できる企業など一つもない

決定は迅速に行うが、慎重さも忘れない

アマゾンでは、事業の決定事項は、迅速に行われます。

迅速なスピードは、企業の成長速度を加速させるからです。

そして、ベゾスには決定に対する独特の考えがあります。

それは1型2型です。1型とはリスクが高くて一度決めてしまうと、後戻りできないような決定事項(企業買収や売却など)です

2型は、やり直しが可能な決定(現在の手順を変えるなど)で、上手くいかなければ、やり直せば良い決定です

この2つを念頭に、アマゾンは意思決定を行います。そして、たいした結果にならない問題に関しては、すぐ決定を下します。

そのためなら「間違った」決定になるリスクもいとわない姿勢でスピーディに決定します。

重要なポイントとして、アマゾンはアイデアや意思決定に対して満場一致の賛成を求めてはいません。それに加え、仲間のアイデアは尊重されるべきものと考えています。

その証拠に、2型(やり直しのきく決定)の場合はアマゾンの全社員が独自の判断で行うことが権利として与えられています。

その決定力と、スピード感が今のアマゾンに成長したのでしょう。

徹底的な顧客目線が、いき過ぎてしまった結果

皆さんはアマゾンのフラストレーション・フリー・パッケージをご存知だろうか?

従来までは、ネット通販で注文すると煩わしいまでの、開封作業が強制的に顧客に突きつけられていました

ある一人の女の子の物語ですが、ネット通販を利用して、おもちゃを購入しました。

届いた箱は、しっかり梱包され、ハサミやカッターを使用しないと開封することができません。これを知ったアマゾンの社員は、子供が怪我をする可能性があることに気付き、生まれたのがアマゾンのフラストレーション・フリー・パッケージだ。

フラストレーション・フリー・パッケージとは、お菓子の箱を開けるときのような『キリトリ線』を利用するか、もしくはのりで蓋の部分が張り付いている箱です。(開封時に、顧客が怪我をする可能性のある、ハサミやカッターを使用する必要はありません。)

しかも、配送中の箱の強度も保ちつつ、再生利用可能な素材の段ボールを使用しているのです。

そして、ベゾスはある雑誌のインタビューで次のように言っています。

顧客にとっていいことはアマゾンにとっても地球にとってもいいことです。

テクノロジーによる時間短縮

テクノロジーの発展で、企業の成長スピードは格段にアップしました。

一昔前までは、起業するのに多額の資本が必要でしたが、現在はクラウドファンディングなどのサービスも始まったので、少額で起業や夢を実現できるようになりました。

しかし日本は、まだ役所の手続きがオンラインに移行できないことや、請求書、レシートなどの紙文化がまだまだ根付いています。

これは相手が拳銃を持っているのに、まだ刀で戦っているのと同じ状況です。勝敗は明らかです。

そして、ベゾスの突き刺さる一言です。

現代社会でITを駆使しないことは会社の死を意味する。

社員のマインドは会社のオーナーでなければならない

ベゾスは、オーナーシップを非常に大切にしています

社員一人一人が、雇われているという意識ではなく、自身がアマゾンのオーナーという意識で日々仕事に取り組むことを要求します。

一言で、所有者意識です。

その証拠にアマゾンはRSU(譲渡制限付株式)を給与の代わりにもらうことができます。これは簡単に行ってしまえば、一定期間を超えた社員は、RSUをアマゾンの株式と交換することができる制度です。

社員は、自社株式を所有することによって所有者意識が高まり、自社の株価を高めようとする結果、長期的な目標を追い求めるようになります。

この制度自体が、長期的な制度なので、毎月の給与をもらうよりも遥かに価値の上がった株式を、所有することの方が賢い選択でしょう。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。
ハッキリ言って、まだまだ紹介しきれてないので、もっと勉強したい方はぜひ一度読んでみてください。


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