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【ニュース読解】金融機関的な新聞の読み方とは?

はじめまして、フィナンシャルプランナーの黒猫文具店です。
フィナンシャルプランナーの仕事は多岐に渡りますが、ざっくり個人のお金の相談をしています。「お金の管理」には、投資商品や外貨建て資産も含みますので、日々の経済情報の収集・管理はマストです。

僕は日経新聞を当たり前に読んでいますが、一般的に経済誌をチェックして景気動向をウォッチすることは結構ハードルが高いことなのではと思いnoteを始めました。ご興味があればチェックして頂けると嬉しいです。


■金融機関的な新聞の読み方とは?
僕が金融機関に入社して、特徴的だなと思ったのは新聞記事の読み方です。そればズバリ、景気のモノサシを意識して記事を読むこと。
ここでの景気のモノサシとは国内総生産(GDP)です。GDPとは一定期間にある国がどれだけ儲かったかという値です。たとえば日本の2018年のGDPは536兆円。つまり年収536兆円ということです。

■GDPの使い方
GDPをどのように新聞記事の読み方に反映させるのか?それはGDPの内訳を参考にします。GDPは次の式で計算できます。

国内総生産(GDP)=①民間消費+②民間投資+③政府支出+(④輸出ー⑤輸入) 
①の民間支出は会社や個人等の民間部門がお金を使った金額の合計です。
②の民間投資は①と同じく会社や個人が「お金を借りて」消費した金額の合計です。
③の政府支出は政府がお金を使った金額の合計です。
④⑤は純輸出、つまり外国と取引して純粋にも受かった分です。輸出はモノやサービスを海外に売っているので国内の儲けです。輸入は外国からモノ・サービスを買ってお金を支払うので国内の出費です。輸出額から輸入額を引くと外国と取引した儲けが計算できます。

GDPが大きくなれば景気がいいということです。いま新聞に載っている記事は景気が良くなる=GDPが大きくなる記事でしょうか?その場合、GDPの式のどこが動くでしょうか?次の例を見てみましょう。

■例えば震災の記事を見て
日本は地震大国で、しばしば被害を受けます。地震による大規模被害は大変ネガティブなニュースですが、一般的にGDPは上向くため、景気は良くなると考えられます。

地震後のGDP=①民間消費↑+②民間投資↑+③政府支出↑+(④輸出ー⑤輸入)

地震が起きて家屋が倒壊したり大規模な損害が起きれば復興需要が起きるため、建物を再建したり、物資を買ったり、政府がお金を使ったりといったお金の出入りがあります。上の式では民間消費、民間投資、政府支出とも従前よりも増えると思われるため、GDPが前年に比べて増加、つまり景気が良くなるという構図です。一般的にはネガティブなニュースでも、経済的には景気が上向くこともあるということです。

■GDPを比較せよ!
上記の通り、単年度のGDPから景気の方向感がわかりますが、GDPを比較に使うとより深く経済情勢が計れます。

1.垂直比較
GDPを時系列で比較します。次の図をご覧下さい。

GDPの推移例

例えば、ある国の2017年のGDPが300兆円とします。2018年のGDPが312兆円なら4%プラスで景気は良くなっているということです。2019年のGDPが320兆円なら前年対比2.5%プラスなので景気は良くなりましたが減速しているということになります。

また、図の内訳で2019年は2018年より民間消費と民間投資が減り、政府支出が大きくなっていますね。これは財政政策で政府がお金を使って景気を支えたことを表しています。実態は景気が悪化しつつあると読み取ることができます。

このようなグラフは新聞には出てきませんが、金融機関がHP等で一般公開している経済レポート等には良く登場します。全く情勢を知らない外国のニュースでもGDPの内訳が表示されていれば見てみると、なぜいま景気が良いのか、もしくは悪いのかが分析できます。

2.水平比較
2018年の日本のGDPは536兆円ですが、GDP世界一のアメリカは2,219兆円。ざっと4倍くらいの年収です。このようにGDPはマーケット規模の違いを表すことができます。

■まとめ
いかがでしょうか。具体的な記事の読解については、後続の記事で投稿させて頂きます。
新聞記事の購読数は世帯あたり0.66(日本新聞協会調べ)部とここ20年で減少傾向です。しかし、毎日新聞を読んで世の中の動きをウォッチすることは金融機関に限らず、社会人にとって有意義なことだと思います。
当noteは僕の覚え書きも兼ねたものですが、ぜひ今後もおつきあい頂ければ幸いです。長文をお読み頂きありがとうございました(了)。