<一般講座> 姿勢と肩関節の負担

目次

1.今回の10秒まとめ

①姿勢によって肩への負担のかかり方は異なり、猫背のみが一概に悪いわけではないので、姿勢が良いから問題ないではなく、その方も注意が必要です。

②姿勢が良過ぎる場合は肩甲骨が寄り過ぎていることによる肩への負担が増加する。

③姿勢が悪い場合は肩甲骨が開き過ぎていることにより肩関節の負担が増加する。

④肩の負担のかかり方は姿勢によって異なるため、いつも同じ姿勢を取り続けるのではなく、必要に応じて姿勢を変えることが大切です。姿勢と肩関節の負担を理解して四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)にならないように姿勢に気を付けて生活するようにしましょう。

2.姿勢が良すぎる場合の肩関節の負担

 姿勢は良い方が一般的には肩を含めて身体に良い印象があるかと思います。しかし、姿勢が良すぎる場合も肩関節の負担は増加します。

 肩甲骨を寄せたままにしていると、僧帽筋という肩甲骨を寄せる筋肉が常に縮こまった状態となってしまい、肩甲骨を開く方向への動きが悪くなってしまいます。開きが悪くなると、万歳の動きが必要な肩甲骨の動きが制限されるため、徐々に万歳などがしにくくなっていきます。また、肩甲骨が寄った状態で動きが悪くなると遠くに手を伸ばしにくくなったり、反対の脇に手が届きにくくなったりします。

内転

 車の運転時などでは駐車券の発券機に手が伸ばしにくいとか、シートベルトを取りにくくなったなどが症状として感じることかと思います。

 トレーニングなどを実施する方はベンチプレスなどを行う時に肩甲骨を寄せて行うことが多いかと思いますが、押し出す時には肩甲骨はわずかに開くことが必要です。肩甲骨を寄せたままにしていると押し出した際に肩の骨と肩甲骨の骨の間で肩甲下筋と呼ばれる筋が挟まれて、肩を痛めることもに繋がる可能性があるので注意が必要です。

 また、意外と勘違いが多いですが、後ろのものを取ろうと手を伸ばす時に肩甲骨を寄せている方が後ろに手が届くように考えることが多いのですが、過剰に肩甲骨を寄せる意識をしたままで後ろのものを取ろうとした時は窮屈さを感じるかと思います。一方、寄せる意識を少し弱めると楽に届くかと思います。(※痛みがない方は試していただけるといいかと思います。)

 姿勢を正すことは大事な事ですが、過剰な場合、逆に遠くに手が伸ばしくくなったり、肩の前側に組織に負担を強いることになる可能性があるため、上記の症状があるような方は姿勢について見直すことをオススメします。

3.姿勢が悪い場合の肩関節の負担

 一方、姿勢が悪い場合は肩が前側に巻き込むようになってしまい、肩こりになりやすいという事が言われています。

 しかし、肩が前側に巻き込む動きが必要な動作もあります。例を挙げると下に落ちたものを拾う時に肩甲骨を寄せたままでは下のものを拾いにくいかと思います。上記で述べたように手を前に伸ばすような場合は肩甲骨を拡げる必要があるので、目的に応じて姿勢は変化できるようにしておくことが大切となります。

 寄せたり拡げたりが出来なくなり、姿勢が常時悪くなってくると肩甲骨を支える肩甲骨の上側や後ろ側の筋肉の負担が増してしまい、後ろの筋肉の張りが強まると肩の骨が前側に押し出されやすくなり、肩の前側の組織に負担がかかり、痛みが生じてくる場合があるので、そのような時は注意が必要です。

 また、猫背になると万歳がしにくくなってくるので洗濯物を干すのがつらくなってきたとか、吊革に手を伸ばしにくくなってきたとか、上から手を回して背中を掻くのがつらいなどの症状が日常である場合は早めに対応することが大切かと思います。

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4.まとめ

 このように肩の負担のかかり方や症状の出方は姿勢によって異なるため、いつも同じ姿勢を取り続けるのではなく、必要に応じて姿勢を変えることが大切です。姿勢を良くする意識がある方は、それが励みになり、意識が過剰になっている方も多くあるので、症状を感じる方は一度、姿勢について見直す事をオススメします。また常時姿勢が悪い方は肩だけでなく、他の関節や筋肉にも負担となるので、見直す事をオススメします。

 これを読んで、姿勢と肩関節の負担を少しでも理解し、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)にならないように姿勢に気を付けて生活していただければ幸いです。本記事を読んでいただき、ありがとうございました。


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