文章力アップの3ステップ【社会人向け】

社会人として最も必要な能力として「文章力」が挙げられることは非常に多いです。
あらゆる会社の報告は文章によってなされるからです。
例えば、身近な例で言えば、上司が部下に求めているのは、ほとんどの場合細かな「知識」ではなく「文章力」であると言えます。文章力がある人は、自分の思考の整理ができているひとが多いため、「計画力」や「報告力」もっと言えば「業務遂行能力」に長けている場合が多いからです。

ちなみに、ここでは「文章力」を社会人に必要な能力として「わかりやすく相手に物事を伝える力」と解釈しています。例えば小説家のような、耽美で、読む人を魅了させる文章についてはここでは触れません。

というわけで、社会人三年目の私も文章についての勉強をしています。私もご多分に漏れず、社会人になり文章は書く機会は非常に多く、文章の書き方について考えることも多くありました。いくつか文章力に関する本を読んだりもしました。今回は、そんな私が考えた文章技法について、まとめていこうと思います。

具体的に文章技法について言うと「文章力にはいくつか種類がある」ということに気が付きました。また、同時にそれらを学んでいくことこそが「文章について学ぶこと」なのだと気が付きました。

ステップ①意味の通った文章をかけるようになる
ステップ②論理的に筋が通った文章をかけるようになる
ステップ③新しい文脈で文章をかけるようになる

以下で、それぞれ説明していきます。

① 意味の通った文章をかけるようになる

「何を当たり前のことを言っているんだ?」と感じるような人もいるかも知れません。ただ、少なくとも私ははじめから意味の通った文章は書けませんでした。

「意味の通った文章」というのは、もっと噛み砕いて言えば「一文ごとに読み手にストレスを与えない文章」です。なぜなら、文章とは「相手にわかりやすく伝えることを目的」としたものだからです。

例えば、次のような文章です。

この部品は、別のねじで側面を締めこむことによって、互いに締結される。

書いた本人であれば、意味はわかると思います。ですが、読み手からするといくつかの疑問が生じてしまいます。

1)「この部品」とはどの部品か?
2)「別のねじ」とはどのねじか?
3)「側面」とはどこをさしているのか?
4)「互い」とは、何と何のことをさしているのか?

ここで、文章を改善するための方法は次のようになります。

1)「この部品」→「天板用板材」と明言する
2)「別のねじ」→「大きさ4mmのねじ」と明言する
3)「側面」→「上面と下面」と明言する。あるいは図示する。
4)「互い」→「互いの板」と明言する。

さらに言うと、私が「①意味の通った文章をかけるようになる」ために考えているのは次の2つです。

①指示語は極力使わないあるいは排除する。
②各名詞ごとに「〇〇って何?」と確認する。つまり、名詞が出てきたら「この名詞の目的語(「互い」という言葉で言うところの「板」)は明記されているか」を常に確認する。

②論理的に筋が通った文章をかけるようになる。

「論理的に筋の通った文章をかけるようになる」の「論理」という言葉を聞いて、

「論理とかわけわからない」
あるいは
「論理的に文章を書くなんて当たり前だろう」

どちらかの感想を持った話です。それは当たり前です。論理的かどうか、というのはある感覚を知識として持っているかに依存するからです。簡単に言えば、論理的な文章とは極端なことを言えば、以下のような文章です。

もともと二人の人がいました。そこに三人が加わって六人になりました。

上の文章は算数ができればだれでも間違いに気が付きます。ですが、論理というのは、結局の所この程度のことに帰着します。知識を持った人だけが論理を判定できるからです。逆に言えば、知ってさえいれば、理屈の正しさは判定できます。

「論理」を知るための勉強ももちろん大切です。ですが、論理的に正しい文章を書くだけでは、相手に伝える文章とは言えません。

では「相手に伝えるための文章」とはどのようなものでしょうか。

よく指摘を受けて気がついたのですが「論理的な文章を書け」と言われて自分の文章を読み直し「間違っていないのになあ」と思う人もいるかもしれません。この場合、悪いのは指摘をした側の文章力のなさなのですが、一旦おいておきましょう。

「相手に伝えるための文章」を書くためには「論理的に正しい」ことにくわえて、さらに「筋が通っている」必要があります。

「論理的であること」と、「筋が通っていること」について以下の例を用いて説明をします。

例えば、あなたが飲み会の幹事を企画するとします。お盆で会社全員参加の企画なので100人ぐらいの出席を見込んでいるとします。そこで、あなたは「たくさんの人が入れて」「会場費が安い」BBQを企画しました。(現実ではここまで議論することは少ないと思いますが、、、)BBQをメリットとする内容を羅列して書くと次のようになります。

「会場が広い」
「会場費が安い」
「各自が料理を持ち込める」
「バリエーションに富んだ料理を食べれる」
「たくさんの人が入れる」
「食費が安くすむ」
「レクリエーションが楽しめる」
「小さいお子さんでも楽しめる」
「大声を出してもいい」
「時間を気にせず楽しめる」
「会場が近いのでみんなが集まりやすい」

このようにバラバラとした、一つ一つにまとまりが欠けた内容になります。

これらのバラバラな要因をまとめあげ、文章を作る際に、『論理的に筋が通った文章を書く』ことを意識しなければなりません。

上記の内容をまとめていくと、一例として、
「会場が広い→たくさんの人が入れる」
という因果関係がかけます。これは、論理的にも正しいですし、筋が通っているように見えます。

ですが、ここで、
「会場が広いから、レクリエーションが楽しめるし、大きな声を出せるし、だから、小さいお子さんでも楽しめるぞ!」と考える人もいるかも知れません。

ですが、「会場が広いから、『周りに響くものもなくて、迷惑を掛ける人も少ないだから』レクリエーションが楽しめるし、大きな声を出せるし、だから、小さいお子さんでも楽しめるぞ!」という一部の理屈が欠けている場合があります。

つまり「風吹けば桶屋が儲かります」と言っているのとあまり代わりがありません。論理に飛躍があり読み手はついていくことができず、心が離れていくでしょう。これが「論理的」の部分です。

次に「筋が通った」の部分ですが、「会場が広い→だからBBQ会場」ということを言いたいのなら、あなたが言うべきなのは、

沢山の人が入れる

というメリットしか文章では言ってはいけません。それ以外は「他にもこんなメリットが」という体で伝えるしかありません。あくまで補足事項に過ぎないのです。

「とにかく自分のBBQという選択が正しいことを相手に伝えたい」という思いが強すぎるとどうしてもたくさんの内容の羅列になってしまいます。

具体的には以下の点について気にしながら文章を書いていきます。

「今、何の話をしているか?(例でいえば会場の広さ)」
「論理的に飛躍はないか?」

まずは、上記2点をセルフチェックしながら文章を書くことで、論理的に筋が通った文章をめざしていきましょう。

ちなみに、よく言う「論理的思考力」ですが、これを鍛えるために、次のような本で「フェルミ推定」について勉強しました。おかげで「どこまでやれば仕事が終わるのか理解している?」とか「そもそも君は何をやりたかったんだっけ?」と言われるような機会が減りました。

③新しい文脈で文章をかけるようになる

よりよい文章を正確に書くためには「新しい文脈で文章をかけるようになる」必要があります。

なぜなら、(あなたが延々と報告書など単一の文章を書くような仕事をしていればこの項目は要りませんが)それぞれの文章によって必要とされる文章構造は異なるからです。

例えばPREP法という一つの文章の書き方(文脈)があります。

PREP法(例:
Point(主張):今度の飲み会はBBQにします。
Rreason(理由):なぜなら前提として参加人数が多く、BBQ会場はそれらを収容可能だからです。
Example(例):例えばA会場は200人を収容可能です。
Point(主張):だから今度の飲み会はBBQにします。

PREP法の他にも様々な法則があります。PREP法は特に何かを主張し、さらに、主張したいことをまとめるのには有効な方法です。
ですが、実際に文章を書いてみるとわかりますが、すべての文章が、PREP法にあてはまるわけではありません。何かの主張ではなく、報告である場合や、内容をより詳細に説明したい場合など、文章の種類が千差万別である以上、そこにはそれぞれ異なったルールが存在しています。中には文法法則がまとまっていないものもあるでしょう。

そこで、このような文法法則がまとまっていないものに対しても対応できる万能の法則があります。あたり前のことかもしれませんが『新しい文脈で文章を書く』ことが、その法則です。

新しい文脈で書く方法は次のステップをたどります

1)良いと言われている文章を読む
2)文章がどのような意図で書かれているのかを理解する
 例)「これは例を言っているんだな」「これは概要を説明しているんだな」等
3)同じ文脈で書く(オリジナリティを排除する)

以上の方法で自分の意見ややったことをまとめると、大きくハズレないものができあがるはずです。

具体的には以下の点を気にしながら文章を書いていきます。

「今、自分が書こうとしている文章はどのような文脈で書くべきか?」
「自分が書いている内容は『正しい文脈』に沿っているか?」

まとめ

まとめると、以下のようになります。

①意味の通った文章をかけるようになる
②論理的に筋が通った文章をかけるようになる。
③新しい文脈で文章をかけるようになる


チェックポイントは以下のようになります。

・指示語は極力使わない。というか排除する。
・各名詞ごとに「〇〇って何?」と確認する。つまり、名詞が出てきたら「この名詞の目的語(「互い」という言葉で言うところの「板」)は明記されているか」を常に確認する。
・「今、何の話をしているか?(例でいえば会場の広さ)」
・「論理的に飛躍はないか?」
・「今、自分が書こうとしている文章はどのような文脈で書くべきか?」
・「自分が書いている内容は『正しい文脈』に沿っているか?」

さらに、今回の話をギュッとまとめてしまうと、文章技法を向上させるためには、以下の2つしかないのではないか、と私は思います。

・チェックポイントを増やしていく。
・チェックポイントを判定できる目を自分で養う

とくにチェックポイントを具体的にしていく作業が必要です。極端なことを言えば「文章がわかりやすくなっているか?」というチェックポイントだけがあればよいのですが、抽象的すぎて、それだけでは行動に落とし込めません。

(同様に「わかりやすい文章を書け」「読み手のことを考えた文章を書け」というアドバイスは何もアドバイスをしていないのと同じことです。もしも、人に文章の書き方を教える立場の人がいましたらぜひ気をつけてください)

さらにその下に

・使える語彙を増やす

というのがつくかもしれません

今の段階で、文章について思いつくことは上記のとおりです。また今後、発見があれば新たに追記、記事を執筆していきます。

・補足

最後に、私自身が学んだ文章力の本について10冊中特に参考になったものを1冊提示します。
この本は「嫌われる勇気」を書かれた著者の「文章講義」です。
「嫌われる勇気」自体はすごく読みやすい本なのですが、なるほど、文章について深く考えた方なのだということがよくわかります。
文章自体は一生仕事の道具となるものです。ランチ代程度のお金を文章力に見出だせる方はぜひお手にとって見てください。

「論理的思考力」を身に着ければ、例えば「このコンビニの売上ってどれぐらいなんだろう?」という問題を即時に答えられる様になります。
上でも説明しましたが「論理的思考力」を養うためには「フェルミ推定」の考え方を知っておくと便利です。
「それぐらい知っているよ」という人も、以下の本で、例題や効果的「地頭力の鍛え方」を知ることで、より賢い「全体感を持って答えを導き出せる人」になります。


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