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ケニアの島にインタビュー!現地パートナー/ケビン・オクム

みなさん、こんにちは!

いつもこのnoteには僕が感じた日常の些細な出来事をつらつら書いているのですが、今回は僕がケニアで行っている活動のことについてガッツリ書きました。

正確に言うと、書いたのは僕たちの活動に共感してくれてボランティアを申し出てくれた方です。現地パートナーのケビンとzoomで繋いで、インタビューをしてくれました。

ケビン個人の想いや、活動の流れなどがリアルに描写されているので是非ご覧ください!

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右がケビンです。ちなみに左は僕です。

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ーーケビンさん、今日は宜しくお願いします。では、まず初めに、ケビンさんが現在行っている活動にまで至った経緯を教えてください。

私は、地元の高校を卒業してから専門学校に行き、地域保健や公衆衛生について学び、卒業後に故郷であるムファンガノ島に戻ってきました。地域保健について大学で専攻したのは、純粋にその知識を使って地元コミュニティを支えたかったからです。

「慈善はまず家族から始めよ。」

というように、保健に関する専門的な教育を受けた後は、自分にとって大事な地元であるムファンガノ島で、より良い未来を次の世代に残すために活動したかったんです。地元に戻った後、ムファンガノ島にあるたくさんの社会問題の中から、まずどの社会問題に取り組むべきか考えたのですが、一番最初に取り組むべきだと思ったのはHIVとAIDSの問題でした。

ーー卒業後、ムファンガノ島に戻ってきてからすぐにHIVの問題に取り組み始めたのですか?

私がムファンガノ島に戻ってきた当時、あるアメリカの団体が島でヘルスセンターの建設プロジェクトを進めていて、その後、地域保健プロジェクトを島で始めました。その団体が行っていた活動内容は、まさに私が大学で学んだこととピッタリだったので、そこでの仕事に応募し、面接を経て、リサーチオフィサーとして働き始めました。

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アメリカの団体が建設したヘルスセンター

担当はリサーチ部門で、主な活動内容はデータの収集と分析でした。数年後、リサーチオフィサーからフィールドオフィサーに昇進して、島の水源に関する調査やコミュニティの調査、そしてHIV/AIDSに関する調査も行いました。また、ヘルスキャンプをいくつか設置して、島の住民に対する健康カウンセリングを行いました。

いろいろなグループの人たちに対して、保健の知識に関する教育も行いましたが、現場での活動を通して、ムファンガノ島に足りていなかったのは次世代の若者たちに対するアプローチだと気づいたんです。たしかに、島の大人たちはHIVに対する恐怖心から、HIVに関しての知識を得ようとしているのが見受けられましたが、大人たちから子どもへの知識の伝達、つまりHIVに関する教育が十分になされていませんでした。そこで、もし子どもや若者たちにHIVやAIDSに関する正しい知識を届けることができたら、健康的で経済的にも豊かな次世代を作ることができると考えました。

ーーなるほど。Service Beyond Horizonの共同代表である熊谷とはいつ出会ったのですか?

2019年に熊谷がムファンガノ島に来た当時、ヘルスセンターはたくさんの困難に直面していました。ヘルスセンターを運営していたアメリカの団体が、財政難の影響で資金の提供をストップしてしまったんです。ヘルスセンターを支援する団体がいなくなってしまい、持続的な活動が厳しくなってしまいました。

そんな時、私はムファンガノ島に来ていた熊谷と一緒に島のあるグループの調査に行きました。熊谷は、島の住人とのいくつかの質問を通した対話の中で、私と同じように現場の問題を理解しました。つまり、島内における、HIV感染率の高さと若者への性教育の不足についてです。

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若者が直面している問題はたくさんあるけれど、やはりその中でもHIV/AIDSの問題が深刻です。サブサハラ地域のケニアにおいて、HIV感染の現状は深刻で、ケニア内においても、ムファンガノ島のある地域は特にHIV感染が高い地域です。HIV/AIDSの被害は深刻ですが、一部の人たちは、どのようにHIVに感染したかを自覚していません。 なぜなら、HIVに関する正しい知識を持っていないからです。

また、若者が直面しているもう一つの問題は若年妊娠です。若い年齢での妊娠は、学校に行くのを止めてしまう原因になりうるのです。一度妊娠してしまうと、親から結婚を強制されてしまうことが多く、家庭に入ることを余儀なくされてしまうのです。

これらのことを熊谷と話して、自分たちには何ができるのかを相談しました。そして、自分の持っている知識をフル活用して、島の課題解決のためにアクションに移ることを決めました。Service beyond Horizonを立ち上げたのはその時です。

ーー団体名はどのように決めたのですか?

熊谷は日本に、そして僕はケニアのムファンガノ島に住んでいます。お互い地球の反対側に住んでいて、遠く離れているけれど、課題解決のために力を合わせている。たしかに、日本からはムファンガノ島の人々を直接見ることはできないけど、日本から地平線を超えて(Beyond Horizon)、島のHIV感染の問題の解決のために尽くしている(serve)。そんな意味を込めて、このService Beyond Horizonという団体名にしました。

ーーなるほど、団体名の由来にはそんなエピソードがあったんですね!立ち上げ後は、どのように活動を進めていったのですか?

立ち上げの次に必要なステップは協力してくれる人を探すことでした。まず最初に、私たちが住んでいる郡の委員長を訪問し、その後には地域の学校も訪問して、校長先生や先生たちに自分たちのプロジェクトを説明しました。先生たちは、自分たちの活動に深く共感してくれて、このプロジェクトを高く評価してくれました。そこで、私たちはHIV/AIDSを含めた性教育を行うための教科書の作成を始めました。

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教科書の作成には、HIV/AIDSなどをはじめとする若者のリプロダクティブ・ヘルス・ライツ(生殖に関する健康と権利)に関して専門的な知識を持ち合わせているレネット・オコレさんに教科書の監修のお手伝いをお願いしました。

教科書の草案ができた後に、先生や他の関係者を集めてミーティングを行いました。ミーティングでは、先生たちから「内容量が少し多すぎるのではないか?」というフィードバックをもらったため、より内容を精査し、子どもたちでもわかりやすいように内容を調整し、デザインをし直しました。実際には学校の先生たちがこの教科書を使って指導する立場になるわけで、先生たちからの直接のフィードバックはとてもありがたかったです。

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先生たちとのミーティングの様子

その後、先生たちからのフィードバックをもとに教科書を完成させ、86冊を印刷し、344人の子どもたちに教育を届けました。対象は小学校高学年と中学生です。教科書を届けた学校とそのコミュニティは、このプロジェクトの実施をとても喜んでくれて、また、さらなるプロジェクトの実施を希望してくれました。

ですが、教科書を使った性教育の授業を受けたい生徒は他にも多くいたにも関わらず、人数の関係ですべての生徒には授業を届けることができませんでした。学校の子どもの数に対して、教科書の数が足りなかったのです。希望する生徒全員に教科書を渡すことができなかったのは残念でした。

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ーー現在、活動において直面しているチャレンジや困難はありますか?

主に人手不足と資金不足です。現在は、私を含めて2人のスタッフで活動をしていますが、まだまだ人手が足りないことを感じています。協力してくれる島の病院のスタッフとフィールドワークに行くこともありますが、資金が十分にないため、給料を彼らに渡すことができていないんです。

現在、新たに数名スタッフを雇いたいと考えています。チームのジェンダーバランスを保つためにも、女性を3名、男性を1名、将来的に活動のために雇って活動の幅を広げたいです。

ーーHIV/AIDSの問題の他にムファンガノ島にはどのような社会問題ありますか?

ビクトリア湖における魚の収穫量の減少は最近大きな問題になっています。ムファンガノ島はビクトリア湖にある島で、島の主な産業は漁業ですが、最近、魚の収穫量が著しく減っているため、人々の収入源がなくなってしまっています。

2日前にも湖へ漁に行ったけれど、魚は一匹も捕まりませんでした。具体的な原因は今のところわかっていませんが、①水位の上昇、②魚の乱獲、③湖の汚染、④周期によるもの、などではないかとみんなで話しています。島の人たちは農業もしていますが、商業目的ではなく、コミュニティ内の自給のためにしているため、収入源にはなっていません。

また、一部の女性が性交渉によって魚を取引していることが問題になっています。このような行いが、新たなHIV/AIDSの被害者を増やしてしまっています。

これを止めるためにも、女性のエンパワーメントが必要だと考えています。女性が安定した収入源を得ることができれば、そのような取引をする必要がなくなるからです。ただ、女性たちが収入を得るためのビジネスを始めるためには資本が必要ですし、何より、教育が必要です。そのための活動も、今後にしていきたいと考えています。

たしかに、取り組むべき課題は私たちの目の前にたくさんありますが、

“Anything born big is abnormal”
「(何も最初から大きくは生まれてこない)」

なんでも、最初から大きくはないけど、少しづつ大きくなります。私の娘も生まれたときはとても小さかったけど、だんだん大きくなりました。もし、生まれたばかりの赤ちゃんが3時間後に「ねえ、パパ早く帰ろうよ」と話しかけてきたらおかしいでしょう?それは普通じゃない(笑)。私たちの活動も一緒です。たしかに、今は小さい活動かもしれないけれど、少しづつ自分たちの活動を大きくして、島のHIV/エイズの問題を解決したいと考えています。

ーーケビンさん、本日はありがとうございました!

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いかがでしたでしょうか?

ケビンは非常に真面目な人で、熱意を持って現地のプロジェクトを推し進めてくれています。彼のような人が、「アフリカ」や「途上国」のイメージをきっと変えるのだと僕は信じています。「貧困」のレッテルを引き剥がすのは、彼のように「現地を変える現地の人」なのだと信じています。いつか、エイズゼロの世代を、援助のない世代を作ってくれる人はこういう人なのだと信じています。

まだまだ僕の力が及ばず、彼に不憫な思いさせることが多いです。特に活動資金のところでは、本当にまだまだ何もできないな、、、と活動していて思います。

現在、イベント開催などで資金を集められることがわかってきたので、これからも続けていこうと思っていますが、やはり継続した安定的な支援が活動には欠かせません。

そこで、現在この活動を継続させるためのマンスリーファンディング(月額寄付型クラウドファンディング)を始めました。毎月500円から支援できます。

まだまだ未熟なところもたくさんありますが、ケビンがAnything born big is abnormalと言ったように、最初から大きく始まるものはありません。僕らはまだまだアリンコみたいなもんですが、これからどんどん大きくなって、最後は像くらいになります。例えヘタか。

なので、これから大きくなっていく僕たちと、ケビンと一緒に明るい未来を創るために一緒に前に進んでいただけないでしょうか!

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