【読書ログ】2020年7月読んだもの

一瞬で7月が過ぎ去り、驚くばかりです。色んな意味で我慢の時間かなと思わされた7月でした。


2020年7月読んだもの(3冊)

モンク, Y. [那須耕介・栗村亜寿香訳](2019)『自己責任の時代―その先に構想する、支えあう福祉国家』みすず書房.

議論が非常にシンプルにまとめられていて分かりやすい。最初の2章は目から鱗というよりも、「うん、確かにそうだよね」くらいの感想に近かった。しかし、「責任否定論」は、前制度的に決定される「相当な報い」を追随する形で決定される「懲罰的責任像」を否定することを意図しているが、両者は実は同じ「責任の枠組み」での議論に終始している、という第3章の議論はかなり面白かった。筆者の「肯定的な責任像」によれば、責任は、因果論的な考えかたで誰かに帰するようなものではなく、その責任実践が関連する価値を明確にし、当該価値への貢献を目指して帰されるべきであるとのこと。ある帰結や行為に対して当人に責任があると認めることと、責任があると認められたから当人への処遇や福祉制度の待遇などもそれに沿って変化させるべきと認めることとは全く違うことというお話しや、「罰するためではなく、エンパワーするために責任を語ろう」という本書のメインメッセージは本当にその通りだと思った。末尾の訳者解説がまた分かりやすい。


磯野真穂(2019)『ダイエット幻想―やせること、愛されること』筑摩書房.

kindleで読んだ。これはいわゆるダイエットについての本ではなく、他者、ないしは自分自身との付き合い方に関する本。インゴルドを引き合いに出して言及する「タグ」は、ゴフマンの言う「アイデンティティ・ペグ」に近いかなと思った。


ハウ, K. R. [大桃敏行・中村雅子・後藤武俊訳](2004)『教育の平等と正義』東信堂.

なんで3年前くらいに読んでおかなかったんだよ、というちょっとした後悔とともに読んだ。比較的平易な言葉で訳されているし、平等と公正の概念を知るにはもってこいの一冊だと思う。

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