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#疑似Duotone への招待

こんにちは、Takuma-san (@takuma3_) です。

この4月に発売された新カメラ SIGMA fp L に搭載されているカラーモード「DUOTONE」にガツンとやられました。

3月25日に fp L が発表されて以来、DUOTONE っぽい写真を fp L 無しでも簡単に作れないかと挑戦していました。

まずは、その取り組みの一部をご覧ください。

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いかがでしょうか?
SIGMA本家の DUOTONE や、元来の Duotone (出版業界における2色印刷) とは風合いが異なりますが、味のある画に仕上がったと思います。

これを「疑似Duotone」と名付けました。
今回は 疑似Duotone の作り方を共有したいと思います。

なお、以下は Adobe Lightroom を利用した場合の手順説明です。同じ機能をもつソフトウェアであれば、他のものでも問題ありません。スマホなら写真加工アプリをインストールする必要があります。iOS や Android の純正の写真アプリでは、今回利用する編集機能の一部が無いように思います。

Lightroom 相当のソフトが使えれば良いので、 SIGMA fp / fp L 以外で撮影した写真でも 疑似Duotone は作れます。

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■ はじめに

SIGMA fp L に搭載された カラーモード DUOTONE の写真をご紹介します。アレクサンド・ソエテ (Alexandre Souetre) 氏の作例を見てみましょう。

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(画像引用元「SIGMA 公式サイト」)

多くの言葉はいりませんね。なんと美しい!

SIGMA fp L には全部で10種類の DUOTONE が搭載されています。どの2色の組み合わせも美しく、どれを選ぶか悩んでしまいますね。

しかし、世の中には美しい二色刷の組み合わせが他にもたくさんあります。そもそも SIGMA fp L (と従来機のfp)以外の写真でも DUOTONE にしたい。

DUOTONE をなるべく簡単に写真に適用してみたいと考えるようになりました。

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■ そもそも Duotone って何?

元々は紙媒体で用いられてきた技法です。日本語にすると多色刷りの技法の中の「2色刷り」にあたります。2色のインクを使って1枚の紙に印刷をします。

フルカラー印刷と比較して印刷コストを低減しつつ、単色より可読性を高め、インパクトも与える、機能的な技法です。

Web全盛の現代においても、その機能美から Duotone のデザインが多く採用されています。皆さんもどこかで 2色のデザインを目にした事があると思います。

Duotone を生かした広告、デザイン、印刷物の作例について、こちらの本「2色デザイン」に詳しくまとまっています。150例以上の豊富な写真と、それがどの色を使って構成されているのか明記されている点が素晴らしいです。非常に参考になる本ですので、オススメです。

この本も良いと聞いているのですが、悲しいかなAmazonでは中古本のみが流通している状況です。


また、下記のサイトで販売されているポスターも、Duotone の理解の参考になると思います。網掛けやグラデーションなどを、設定値を変えながら何通りも印刷しています。(こういうデザインポスターって萌えますよね?)

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■ Adobe Lightroom で 疑似Duotone 現像しよう

さて、今回の本題です。

ふだん私は Abode Lightroom でデジタル写真を現像しています。
このため、Lightroom を用いた 疑似Duotone の現像方法をお伝えします。

Adobe Photoshop には本物の Duotone を適用する機能があるのですが、操作ステップが多いし、写真ファイルを1枚1枚 Photoshop で開くのは苦痛です。
今回は、なるべく手軽に適用することを考えていますので、取り込んだ写真を管理する Lightroom 上で作ることを目指しました。

1. カラー写真はグレースケールに変更します
   ショートカットキー(v)での変更が楽です。
2. 写真のトーン (Tone) を微調整します
   Duotone は 写真の明暗がはっきり分かれている方が印象的な画になります。
   具体的には、
   ・写真全体の露出が(Exposure)適正ならむしろ少し上か下に変更します
   ・コントラストを少し上げます
   ・ハイライトとシャドウの調整を組み合わせても良いです
以降の手順がキモです。「カラーグレーディング (Color Grading)」 項目を調整しながら、好みの2色を選びます
3. シャドウ (Shadows) 項目で、1色目の色を選んで適用します
    経験的に、シャドウを先に適用した方が全体の見通しが良いと思います。
4. ミッドトーン (Midtones) か、ハイライト (Hilights) 項目に、2色目の色を選んで適用します
5. 写真全体の雰囲気を見て、残ったミッドトーンかハイライトにも色を割り当てるか、そのままにするか、調整しながら決めます
6. 配色がイマイチなら色を変えて試行錯誤してみます
7. 各明るさの輝度レベル(Lminance)を調整します
    たいていの場合、シャドウを明くする方向に振り切って設定すると Duotone ぽさが増して良いと思います。
8. 改めて、全体の各パラメータ(トーン)を微調整します
9. 完成!
   お気に入りの組み合わせができたら、プリセットとして保存します。
   次回から適用が楽になります。

何パターンか好みの色の組み合わせをプリセット保存しておくことで、どんどん 疑似Duotone な写真を作れるようになります。


では、実際に写真を現像しながら手順をみてみましょう。

元の写真はコチラ。真ん中あたりに観覧車が小さく写っています。

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1. カラー写真はグレースケールに変更します

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2. 写真のトーン (Tone) を微調整します

手前の木々をより暗くしつつ、明るさを落として雲の形を引き出しました。

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3. カラーグレーディング (Color Grading) のシャドウ (Shadows) 項目で、1色目の色を選んで適用しま

おもむろに赤くしてみます。シン・エヴァの影響かもしれません。

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4. ミッドトーン (Midtones) か、ハイライト (Hilights) 項目に、2色目の色を選んで適用します

ミッドトーンを緑色にしました。

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5. 写真全体の雰囲気を見て、残ったミッドトーンかハイライトにも色を割り当てるか、そのままにするか、調整しながら決めます

最も明るい雲(ハイライト)は白っぽさが残っています。分かりやすく Duotone にするために、ハイライトも緑色にしてみましょう。

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6. 配色がイマイチなら色を変えて試行錯誤してみますは省略。

7. 各明るさの輝度レベル(Lminance)を調整します

シャドウの輝度レベルをMAXに上げました。明るい赤に変化して、より2色刷りっぽい雰囲気が出てるように思います。

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8. 改めて、全体の各パラメータ(トーン)を微調整します

中央の山が赤と緑の混合になるくらいに再調整しました。

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9. 完成!

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不思議な雰囲気の立ちこめて、良い感じではありませんか。

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■ 疑似Duotone 作例集

これまで作ってきた 疑似Duotone をいくつかご紹介します。

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■ 応用例 (Tritone)

シャドウ、ミッドトーン、ハイライトにそれぞれ別の色を割り当てるとTritone (3色刷り) を演出できます。

Duotone の中間色を設定してグラデーションをなだらかにしてみたり、全く別の色を当ててさらに奇抜な写真にしてみたり。可能性は無限大です。

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■ 参考

Photoshop での 本物の Duotone 適用については次の note が分かりやすくまとめてくださっています。

記事自体は分かりやすく素晴らしいのは前提として、Lightroom で調整しおえた後に Photoshop でDuotone 化する分にはこちらの方法が良いのですが、いざ Duotone化 したあとに露出を変えたくなったり、シャドウやハイライトを修正したい、となると操作手数が増えてしまうのが難点です。
また写真の現像時に一括適用するためには Photoshop のマクロを書かないといけない点はちょっとハードルが高いと感じます。

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■ おわりに

いかがでしたでしょうか?
疑似Duotone の作り方や作例のご紹介は以上となります。

今回の取り組みを通して、自分の知らない面白い表現方法がたくさんあるのだということを再確認しました。

皆さんの写真ライフの、何かヒントになれれば幸いです。


また、この記事を読んで、 「疑似Duotone 面白そうだな。自分でも試してみようかな」と思っていただけたなら、ハッシュタグ「#疑似Duotone」をつけて、Twitter や note に投稿していただけると飛んで喜びます🥳

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SIGMA fp L。オススメです。6100万画素の高精細な写真をこのコンパクトなカメラで撮れると思うとわくわくします。

ですが、愛器 fp も捨てがたい魅力があります。私はあと1万枚、fp で撮影したら、fp L を追加購入しようと思っています😉


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