見出し画像

『新版 広告の基本』—テレビCM、BtoBにとっての交通広告

買って良かったマーケティング本をリストしていくnote、その9冊目。

テレビ・ネットを中心に広告チャネルを俯瞰して捉える

法務担当として初めてテレビCMの契約に関わったのは、2社目の時でした。

広告会社と契約書を締結するにあたり、「スポット/タイム」「GRP」などのテレビ広告用語、発注手順など、広告を出稿する側として知っておくべきことを正確に理解するための広告の入門書を探してたどり着いたのが、本書の旧版だったのを覚えています。

マーケティング担当として10年ぶりに改版された本書をあらためて読み直してみると、テレビ広告・インターネット広告という二大チャネルを中心に、その周辺の新聞・雑誌・ラジオ・OOH(交通・屋外)まで俯瞰して捉える本書は、広告を勉強する1冊目にふさわしい、タイトルどおりの「基本」書にふさわしい1冊だとあらためて感じます。

テレビCMの知識と業界構造を抑える

俯瞰的とはいえ、特に本書が強いのが、やはりテレビCM出稿に関する解説です。

・市場規模
・接触時間の推移
・地方局を含めた各放送局の関係
・視聴率の計測方法
・スポット・タイムそれぞれの出稿手順
・クリエイティブの制作進行手順
など、広告主として知りたい情報のすべてが、見開き完結型の構成でコンパクトにテンポよくまとまめられています。

インターネット広告がテレビを凌駕するほどの存在となり、アドテクブームとあいまってその専門書も増え続けています。一方で、テレビ広告をその出稿手順まで初心者向けに正確に解説する本はそう多くなく、本書ぐらいしか見当たりません。

著者が電通・博報堂といった大手広告代理店に所属していない独立のコンサルタントということもあり、広告会社の業界構造から客観的に分析しているのも、特徴の一つです。

BtoBにとっての交通広告

10年前に旧版を読んだ当時は、BtoCの広告主に所属していたため、広告出稿量も少なく、そのありがたみをよく理解できていなかったのが、「交通広告」という存在です。

BtoBに身を置くと、商品・サービスの決裁者にどうリーチするかにひたすら苦労します。技術的にはネット上で行動ターゲティングができるようになったとはいえ、忙しいビジネスマン、特にその決裁者はネット上で広告を見る人たちではありません。かといって、テレビ広告を大量に打つのも予算に限界があります。

そこで現在、SaaS企業を中心に注目を集めているのが、電車・タクシーを中心とした交通広告です。交通広告をOOH(Out of Home、交通広告と屋外広告の総称)として広くとらえた上で、テレビCMと同様出稿手順を含めて解説しています。


SaaSに限らず、BtoBビジネスでマーケティングに携わることになった方がまず10冊本を買うなら、そのうちの1冊として買っておいて損はない本です。


サポートをご検討くださるなんて、神様のような方ですね…。