iPadを活用した3スクリーン在宅勤務
オフィスと比較して生産性が悪化しがちな在宅という環境では、オフィスにいる時以上に効率を追求し、オフィスでは当たり前に実現できることを自宅においても再現するための、具体的な「構え」が必要です。
ナレッジワーカーにとって、その「構え」の中でも特に重要となるのが、自宅において準備すべきスクリーンの数・枚数ではないでしょうか。
在宅勤務に必要なスクリーン数
オフィスではシングルスクリーンでなんとかなっていたとしても、在宅勤務では、以下3つのスクリーンを、それぞれ独立して準備しておく必要があると考えます。
スクリーン1:成果物作成用
社内外のリソースにアクセスして情報収集し、成果物を作成する
┗ Google Chrome・Safari
┗ Box・DropBox・GoogleDrive・iCloud
┗ G-Suite・MS office・Keynote
スクリーン2:社内外とのテキスト連絡・タスク管理用
社内外と報連相する
┗ メール
┗ Slack・Teams・Chatwork・Messenger・LINE
┗ Google Calendar・Trello・Backlog
┗ Salesforce・kintone
スクリーン3:対面・肉声打ち合わせ用
対面や肉声で行なっていた会議、商談、打合せ、おしゃべりを代替する
┗ Hangout meet・Web-Ex・FaceTime・Zoom
┗ Discord
以下、なぜ3つに分けるべきかについて、説明します。
スクリーン1の独立による集中環境の確保
ナレッジワーカーが在宅で仕事をするとなると、オフィスでの対面の会話はもちろん、内線電話や会社固定電話の利用が不可能となり、社内だけでなく社外とのコミュニケーションの多くを、スクリーンを通じて行うことになります。
メールの量が増えるのはもちろん、急ぎの連絡などではこれまで以上にMessenger等が使われます。すでにSlackなどのチャットツールを入れている企業も、このやりとりの量が激増しているはずです。Google CalendarやTrelloにも、細かく予定やタスクが入ってくるようになることでしょう。
困ったことに、こうした報連相に関する通知はそのまま、スクリーン1で行なっているもっとも集中すべき成果物作成作業に遠慮なくカットインしてきます。
この他者との連絡で発生するカットインをコントロール可能な状態にするのが、スクリーン1とスクリーン2を分ける意義です。
加えて在宅勤務に慣れない方にもっとも見過ごされがちであり、はじまってみて必要性に気づかされることになるのがスクリーン3の存在です。普段は意識していなかったような軽いおしゃべりや、ちょっとした相談、会議まで、対面で行なっていたコミュニケーション量を確保するには、それなりの構えが必要となります。
利用ツールとしてはzoom、Hangout meet、Discord等がありますが、2020年2月から始まった日本での在宅勤務ブームで、一気にzoomの存在が知れ渡りました。初めてオンラインミーティングを体験した方も多いでしょう。
しかし、こうしたオンラインミーティングツールを作業用ノートPCのウインドウで開いてしまうと、自分の作業スペースがスクリーン上からほとんどなくなってしまうことに気づくはずです。これでは、会議室での対面の打合せにパソコンも手帳も持たずに手ぶらで参加しているようなものです。
だからこそ、スクリーン3をスクリーン1・2いずれからも独立させつつ、コミュニケーションの質と量の両立を担保する必要があります。
ナレッジワーカーであれば、このような「構え」をもってはじめて、オフィスと同等の執務環境を準備したと言える状態になります。
スクリーン2・3はディスプレイよりもiPadがベター
しかし、自宅に3枚もスクリーンをおく場所はないよ、という方がほとんどだと思います。そういう方におすすめしたいのが、複数枚のiPadの活用です。
私は、
・スクリーン1 MacBookPro 13インチ(正面・ノートPCスタンド)
・スクリーン2 iPad Pro 12.9インチ(手前・平置き)
・スクリーン3 iPad Pro 10.5インチ(右手奥・SmartKeyboard)
の3つに分けています。
とくに効果的だったのが、iPad Pro 10.5インチをスクリーン3に割り当てたことです。
普段はBeats Solo ProやHarman Kardon Aura Studio 2と接続して音楽再生用端末にしていたこのiPad Pro 10.5インチ。スクリーン3を専用端末で独立させることで、常時ホットスタンバイ、かつ安定したzoom・Hangoutでの接続が可能となります。相手の顔が映るスクリーンとしてのサイズ感、デスクトップPCと違いフロントカメラが一体化されている点、PC・Macでの接続と違って端末の挙動が不安定にならないという点もメリットです(もちろん、zoom等で繋がる必要がない時間帯は、いままでどおりBGM再生端末として使えます)。
そして、通知系コミュ二ケーション・タスク管理アプリを集約したスクリーン2を、iPad Pro 12.9インチモデルにしているところもポイントです。
Split ViewやSlide Overで複数のコミュニケーションアプリを並べることができ、そうして通知系アプリが乱立しても、iOS連携で(iPhone経由)重要な通知だけを選別してApple Watchに飛ばせます。スクリーン3でつなげたzoomでオンラインミーティングをしていても、それとは独立した画面とCPUで調べ物をしたり、手書きメモを機動的に取ることができます。スクリーン1のメインPCがMacであれば、必要な時にSideCar機能でシームレスなダブルウインドウ化もできます。
MacやiPhoneでは実現できない、真の「デジタルデスクトップ(机の上)」を現状唯一実現できるデバイスが、iPad Pro 12.9なのです。
大きいシングルスクリーン1枚に集約せず、デバイス(CPU)も独立させる
近年、横長ワイドスクリーンの価格も低廉化してきました。
こうした1枚の大スクリーンにすべてのアプリケーションを集約した方が効率がいいのでは?という意見には、私は反対です。
何より、スクリーン2の連絡(通知)要素がスクリーン1での作業中に視界に入ることは避けるべきですし、加えて、スクリーン3の対面打合せ要素はさまざまな作業を大きく分断し、かつ動画であるためにリソースを食い、マシンを不安定にもします。カメラを別途接続し設置するのも面倒です。
また、スクリーン3枚分のアプリを一台のPC・Macで動かすのは、フリーズという最悪の事態を招きます。
普段からiPadを使っていると当たり前すぎて気が付かないかもしれませんが、PCやMacと比較し、iPadの安定性は群を抜いています。iPadがオンライン会議中にフリーズして落ちることはほとんどありません。どんなに酷使してもPCと違い発熱もせずファンも回らず静かです。
常時コミュニケーションと集中を両立させるために
在宅勤務は、コミュニケーションの常時接続性がより求められるだけに、メインのスクリーン1をスタンドアロンな集中環境にどれだけ追い込めるかが重要です。それには、あえて機能・役割別にスクリーンを分ける、できればデバイス(CPU)も分けるべきだと考えます。
在宅勤務が当たり前な時代になったとしても、プラス2枚の専用スクリーンを自宅に常設するのは非現実的です。それでも集中できる環境と円滑なコミュニケーションを両立できる環境を実現しようとすれば、複数のiPadを購入することが最善策です。