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【ホテルログ⑥:CENTRAL HOTEL & CAFÉ】 不便が愛おしさを生む、世界一小さなホテル

こんにちは。井澤卓です。

6回目のホテルログ。
今回は、今から約2年程前、2018年8月に泊まった、コペンハーゲンのCENTRAL HOTEL & CAFEをピックアップ。

世界で最も小さいホテルとしてメディアで度々取り上げられているので、聞いたことがある方もいるかもしれません。

ブティックホテルの要素を何一つ持たない12㎡の極小空間。
高額な宿泊費にも関わらず、なぜ世界中からゲストが殺到するのか。
その理由を自分なりに紐解いてみました。

独立直後に行ったこともあり、ここでの宿泊体験は、自分のビジネス、というか生き方を考える原点になるほどインスピレーションを得られたホテルでした。

Central hotel & cafe, Copenhagen, Denmark

このホテルを知ったのは、何年前かもう思い出せないくらい昔、K5の立ち上げにも関わった、メディアサーフのマットさんから。
マットさんはストックホルムと日本の2拠点生活をしていて、スウェーデンの隣国であるデンマーク、コペンハーゲンに面白いホテルがあると教えてくれました。

調べてみると、小さなカフェの上に、一室だけある世界で一番小さいホテルというパワーワードが。この文言とこの写真を見たら、絶対泊まりたいと思いますよね。

それからずっとコペンハーゲンに行ったら必ず泊まると決めていて、2年前にようやく夢が叶いました。

個人的な学びの感想多めでお伝えします。

カフェ&エントランス

CENTRAL HOTEL & CAFEは、コペンハーゲンのヒップなエリア、Vestebroにあります。ハイセンスなセレクトショップや小さな個人店が並ぶエリアですが、ファミリーも暮らしていて、閑静な雰囲気。
東京でいうと中目黒に近いですね。

(僕が好きなホテルはだいたい各国の似たようなエリアにあります。Vestebroもそうですが、必ずと言っていいほどAesopが近くにあるので、Aesopの出店場所と僕の好みが完全マッチしてるみたいです笑)

アパートの間にちょこんとたっているホテル。

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チェックインは1Fのカフェで。
とても小さいお店ですが、地元の人で賑わっています。

チェックイン時にカフェでのウェルカムドリンクもサービス。お洒落な店員さんが、美味しいコーヒーとともに迎えてくれます。

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こじんまりとした地元のお店。気持ちよく滞在出来ます。

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一見してどこにあるかわからないホテルへの入り口は、お店を出た隣の建物にあります。
実はこの建物は2Fだけ繋がってるんです。面白い導線。

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階段を登っていくと、こんな感じで部屋への入り口が現れます。
拍子抜けするほど普通のドアなのもまた良いんですよね〜。

ドアを開けるとギャップがすごい!
そこにはキャンピングカーの中のような不思議な空間が広がっています。

ROOM / 客室

世界で最も小さいホテルと言われる通り、部屋はたったの12㎡しかありません。実感としてもかなり狭くて、スーツケースを広げると歩く場所がないくらい。

そんな狭さが、誰も知らない秘密の部屋に来たみたいで、逆にテンションを上げてくれます。

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インテリアはヨーロッパのビンテージテイストで、ハンドクラフトのぬくもりが感じられる空間。

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部屋の大半を閉めるベッドの周辺には沢山のアートワークが。
ベッド脇のライトもアンティーク。小物類にもかなりこだわっています。

天井も低くて、まるで秘密基地のよう。

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ベッドの向かいには小さなデスクスペースがあります。
キャンピングカーの室内のようなインテリア。

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窓の手前には折りたたみの小さな椅子があります。ここで外を眺めながらお酒を楽しむのも冒険みたいで良い感じ。

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ベッド横の壁を隔ててシャワールームがあります。

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アメニティはオリジナル。シンプルだけどかわいい。

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幼い頃の自分の部屋にいるようで、どことなく懐かしさを感じる空間。
宿泊した日は夜に雨が降っていて、雨が屋根を叩く音が心地よく聞こえてきました。

僕が生まれ育った家は、隠し階段を下ろして上る屋根裏部屋があり、幼い頃はその部屋で寝泊まりしていたのですが、その時の記憶を思い出しました。

天井からはしごをおろして登っていく瞬間は、慣れてても凄くワクワクするんです。
キャンピングカーの中に入るのも、非日常的で、気分が高揚しますよね。あれに近い感覚。

そんな秘密基地感がこのホテルの最大の魅力だなと思います。

朝食もついてます。
ホテルのオーナーが経営するカフェ、Café Granolaで、「どのメニューでも、いくらでも好きに頼んで良い」という特別待遇!

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これに加えてスムージーみたいな飲み物を頼んだら、物凄い大きなグラスで出してくれました。

もともとカフェを経営していたオーナーが、2店舗めのコーヒースタンド兼ホテルとして始めたのがCENTRAL HOTEL & CAFEのようです。

前回のHotel Covell のケースもそうですが、小さなクラフトホテルのホテリエは飲食出身の人が多いですね。


欠点は武器に変わる。セオリーを外れたことでも、工夫次第でビジネスは成り立つ。

僕がこのホテルに泊まった時は、ちょうど独立直後で、この先どうしようか考えながら旅をしていたタイミングでした。
将来必ずホテルをやりたいと思ってはいるものの、実現方法はまだ見えず、遠い夢のように感じていた頃。

そんなタイミングで宿泊したこのホテルで強く印象に残ったことは、小さな個人で、資金が限られていても、工夫次第で夢は形にできるということ。

普通は、「一部屋だけのブティックホテル」なんて成り立たないと思いますよね。

しかも、たったの12㎡の極小空間は、エレベーターもないし、チェックイン時間も限られている。

便利とは程遠いにも関わらず、このホテルの宿泊費は一泊4.5万円
ブティックホテルと同等かそれ以上の値段がします。

それでも、大体の日が世界中からのゲストで埋まっているそうです。
「小さなカフェの上に、一部屋だけある、1日一組限定のホテル」と聞けば、誰だって泊まってみたいと思っちゃいますよね。

一見すると狭くて不便な木造空間も、一部屋しかないとなれば、その不便な要素が愛おしく感じられてきます。

重い荷物を抱えて登る階段、歩く度にキシキシと音づく木の床、低い天井が、この空間の特別感をより強くする。

誰もが幼い時に体験した、屋根裏部屋のワクワク感。
あの冒険してるような感覚を、大人になった今体験させてくれる空間はなかなかありません。

実際、滞在の特別感を考えると、4.5万円でも十分な満足感がありました。

特別な体験に価値を感じ、金銭の投資を惜しまない人々は必ずいます。
世界にその価値観を持つ人が1%しかいないとしても、日々コペンハーゲンに何千人とくる旅行者の1%が共感すれば良いのであれば、一部屋だけのホテルなら高い確率で埋まる。

4.5万円の部屋が8割稼働すると考えると、月の売上は約110万円。固定費を考慮しても、しっかりビジネスとして成立しそうです。

尖ったコンセプトは、マーケティングの助けにもなります。
このホテルは、「世界一小さなホテル」というタグラインとともに、オープンからずっと、世界中のメディアに取材されているそうです。

欠点を活かせば、武器に変わる。
セオリーを外れたことでも、アイデアとデザイン次第でビジネスは成り立つ。

どんなビジネスにも言えることかもしれません。
そんな心強い事実を学ぶことができて、個人的には4.5万円以上の価値がある滞在でした。

※余談ですが、この旅から3ヶ月後の2018年11月に、僕は自ら経営するバーLOBBYの物件を契約しました。ホテルを作るという目標に向け、まずは飲食店から始める形になりましたが、このホテルでの体験が、一歩を踏み出す後押しになったのは間違いありません。

滞在情報

最後に滞在情報です。

宿泊代金は、一泊2,500クローネ。今のレートだと日本円で約4万円でした。
少し高いですが、コペンハーゲンはそもそも物価が物凄く高いので、ホテルだと一泊単価4万円は仕方ないかもしれません。

体験としての価値は十二分にあるので、僕は強くおすすめします。

コペンハーゲンは、とにかく食とデザインのレベルが物凄く高いです。
食はnoma等ファインダイニングはもちろん、通りがかりで入るビストロやレストランもめちゃくちゃ美味しい。

デザインは、HAY等世界的ブランドをはじめとした北欧家具が最高。

そして、世界一美しい美術館、ルイジアナ美術館は天国でした。
早くまた行きたい。

<CENTRAL HOTEL & CAFE>
HP:http://www.centralhotelogcafe.dk/
Instagram:https://www.instagram.com/centralhotelogcafe/
Address:Tullinsgade 1, 1618 København, デンマーク
Price:一泊 2,500クローネ

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