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鉛筆画から叙情とファンタジーがあふれ出る。土田圭介さんの個展がよかった

6月上旬の話なんですが。
弊社が運営する『美観堂 吉祥寺店』に仕事で行った際に、『武蔵野市立吉祥寺美術館』で鉛筆画家の土田圭介さんの個展に立ち寄りました。

それがとてもよかったので、書き記しておきます。

鉛筆画家・土田圭介さん

1974年生まれの鉛筆画家、土田圭介さん。
僕より5歳上ですね。

個展に行くと毎回こうした作家さんのステートメントを熟読してしまうのですが、途中は社会人もされていたとか。

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文章からも、いかにも作家気質の方なんだろうなあと感じるので、こうした作品展という場にたどり着かれたことを、なんだか自分のことのように嬉しく感じました。

個々人が作品を世に出して表現ができる世界は、やっぱりよいです。

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ここに出てくる『AKIRA』、そしてRPGやファンタジー小説にハマっていたというのがストレートに感じられる作風。
そこがまたとても好きでした。

(公式サイトには『ゲド戦記』や『イース』のことも書かれていました)

僕が特に好きだった7つの作品

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受付の方に確認したら、SNSのほかこういうブログへのアップもOKだったので、僕が特に好きだった作品を7つご紹介したいと思います。

「リラックス」

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すごい対比。
重々しい甲冑や胸板とは正反対に、地から飛び立っている軽やかさや、細い足からは女性らしさすら感じる。

現実にはありえないその対比が鮮やかで、そういう意味で一枚の絵の中にファンタジーの醍醐味がぎゅっと詰まった作品。

これは入り口の外に飾られていたのですが、土田圭介さんを象徴する作品の一つとして、とても腑に落ちました。

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「PIECE」

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ここからは展示されていた順にご紹介。

人間のようにも悪魔のようにも見える人物が、寂しさや諦念を醸し出しながら見つめる球体は、地球のことを表しているんでしょうか。

自分に欠けているものも、相手に欠けているものも、同じ形のピース(欠片)。

そこに諦念を感じているのか、もしかしたら共感を感じているのか。
様々な具体に落とし込んで解釈を楽しめそうな、抽象画。

「黄昏の巨像」

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見て、すぐに切なくなる絵。
僕もファンタジー好きだからでしょうか。

ボロボロになり、朽ち果てようとしている巨像。
彼の心臓から漏れる光は、もう尽きようとしているのでしょうか。

それでも彼はきっとなにか大事なものを守ったのだと思います。

「魂の器」

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さっきの「黄昏の巨像」が思いきり「情」を感じる作品だとしたら、こっちは一転して冷酷さや冷たさを感じます。

この振り幅、ファンタジーの中を縦横無尽にかけるような作風からも、土田圭介さんの空想力の幅を感じます。

未来の原住民のようなこの人が手にしているのが、おそらく「魂の器」なのでしょうか。
これは、自分の内面をえぐり取って出した(見つけた)ものなのか、それとも魂が欠けていた彼がこのジャングルの奥地まで来てようやく見つけたものなのか。

いずれにせよ、それを見つめる姿勢と視線の冷酷さがとても印象的な作品です。

「ボクらの翼」

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いやー、これは実物の絵を見てほしいんですよねえ。

美しいんです。

鉛筆で塗られた漆黒や、その奥で光が登ろうとしている地平線が。
そして、その中で希望のほうを見上げる子どもたちの視線や、彼らが乗っているいくつもの翼も。

絵全体から美しさを感じて、それがそのまま希望というポジティブなエネルギーをくれるような、これもまたファンタジーの良い部分を表現してくれている作品です。

「プロローグ」

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ここまでずっと、タイトルの言葉のつけ方がまためちゃくちゃ上手いというか、それによって絵の魅力を整理しながら倍増させているような巧みさですよね。

この絵も、これで「プロローグ」なんで言われた日には、心が踊りまくりませんか。
この女の子は、これから世界を救うのでしょうね。

いやもう、ファンタジー万歳!
ゲームだとしたらこれからもう何十時間もハマろうか!
ていう気分になります。

「あの日の約束」

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ご紹介する最後は、また切ないやつで終わるんですけれども。

誰でも感じたことのある喪失を、土田さんらしい世界、人物像で描いている作品。
この中では「黄昏の巨像」と通じるものがありますが、このように心が動かされる作品はとても好きなんですよね。

今は横浜で個展、今後は銀座でグループ展を予定

今はみなとみらいの『art Truth』さんで個展を開催中。
(と言ってももう明日までのタイミングになってしまいました)

今後は7月に愛知での『ZEROTEN』や銀座でのグループ展も予定されています。

やはりこの鉛筆画、生で鑑賞された方が絶対にいいので、ぜひおすすめします。

土田圭介さんのウェブサイトはこちら。




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