レコードについてあれこれ

昭和48年生まれの自分にとっては、レコードという媒体は一番身近な音楽を聴くメディアでした。

古くは童謡のレコードを聴き、習っていたピアノの曲集を聴き、思春期には貸しレコード屋さん(これは、今でいうレンタルCDです。音楽好きのお兄さんがバイトでレジにいて、返す時はお兄さんが検盤するというシステムです。中坊の頃、お兄さんに「お父さんとか兄弟が借りたレコードお使いで返しに来たの?(ビートルズとかストーンズとかばっかり借りてるから)」ってよく聞かれてました)や、チャリンコの前かごに横浜の元町タワーレコードで安価に入手した輸入盤突っ込んで爆走したり…もちろんカセットにダビングして常日頃はそっちを聴くのですが、レコードをターンテーブルに載せるという行為は非常に楽しいものでした。

高校生ぐらいになって、CDが普及し始め、貸しレコード屋さんにもうやうやしくCDが置かれるようになってきました。あくまでレコードの上位変換みたいな形で。今のハイレゾとか、そのあたりを想像してもらえたら分かりやすいかと思います。3つ、4つ下の世代だと、CDラジカセが普及したあとに音楽を聴き始めた人が多いんじゃないかな。

高校を出る頃にはほとんどCDだった気がします。その時に「もう時代は終わったよ」みたいな空気で投げ売りされてたレコード、今でもちょっと持ってるんですが、結構市場で良い値段すると思います。

それよりも、中学の時に入っていたビートルズシネクラブ(ファンクラブ)の会報の広告で、「プリーズプリーズミー」から「ホワイトアルバム」まで、オリジナルマスターから盤起こしした「モノ・ボックス」っていう赤盤プレスのボックスものがありまして、こればっかりは親に泣きついて入手したのですが、高校の頃に手放してしまったんですよね。実はこれ、非常に音が良くて、かつボックスで流通した数が少ないらしく、現在物凄い価格で取引されてます(アルバムごとのバラだったら7~8000円で買えます)。今にしてすごく手放したの後悔してます。ただ、とにかく1日12時間以上めちゃくちゃ聴いたので、未だに脳内再生されるビートルズの音はそのモノ・ボックスの音だと思います。

その後、ややあって、次にレコードに多く触れたのはDJを始めた2000年代初頭~中盤でした。特に2000年代中盤は当時JUICEの編集部は宇田川町にあって、エレベーターを降りると日本有数のレコード街があるという恵まれた環境でした。CISCO、DMR、マンハッタン、毎週入荷するDJ用のアナログを買って、そのまま事務所に置いてあるレコードバッグに放り込んでDJに行く、というレコード自転車操業状態でした。めちゃくちゃDJのスケジュールが入っていたので(週2~3本は普通にやってた)、毎週駆け込んで何かしら買ってた覚えがあります。

エレクトロというジャンルが確立され始めた頃、アナログでのDJを一切やめたことがあります。アナログでは相変わらずクラブ系、ロック系を中心にリリースされていたけど、CDJの使い勝手が非常に良くなり、さらに週末帯で回していたクラブが非常に良いシチュエーションではなく、メインのスピーカーそばにDJブースが垂直にあったため、ちょっとでも低音を手元で上げると針とスピーカーがハウリングを起こしブワーン!!とノイズが鳴ってしまうためです。これは非常にイヤだった。

で、お手持ちの音源をCDRに焼いたりしてDJしていたのです。結構長年。今でもやってるけど。

JUICEも解散してしまって、今のFIXを始めるかもう始まっているか、という頃、たまたま通りがかったブックオフ的なところに入ったんですよね。

そうしたら、¥1000以下でビートルズのアナログが投げ売りされてたんですよ。「ああ、アナログで改めて聴くの、いいよな」と思って、数枚買って帰って、いろいろネットで調べてみたら、70年代の盤で意外といい盤だったんですよね。そのまんままた取って返して他に売ってるやつも買ってきて、プレイヤーも改めて結線して、聴いてみたらめちゃくちゃ生々しく感じて、自分的には「第3期アナログレコード時代」が到来して今に至るんですけど。

一時期はめっちゃくちゃ凝って、毎日レコード屋さん行ったり深夜に起きてebayで落札したりとか色々やってたんですけど、今は落ち着いてきました(笑)。欲しいレコード(主にビートルズ)は天文学的値段をつけたもの以外はだいたい揃った。たぶん。

これはひとえにUK在住のディーラーのおっさんのお陰です。最初、ebayでのやり取りだけだったんだけど、「こいつはビートルズのオリジナルファーストプレスを集めてるやつだ、しかもそんなに金持ってないぞ」って事に何度かやり取りしてる取引中に気がついたらしくて(笑)、「おいタク、元気か、ところでサージェントのオリジナルモノ入ったぞ、あんま状態良くないけど」とか「ウィズザビートルズのMAT7Nだけど要るか?」とか安価なレコードの情報を流してくれるようになったので非常に助かりました。

それでもどこかに行ったりすると、レコード屋さんにいるのが楽しかったりします。個人経営だったりするとすごくアクの強い店主だったりして楽しい。それほど多くはないけど、なじみのお店は凄く良くしてくれるし、ありがたいです。

この間、バンドのメンバーと話してて、「本当に僕、どこにいてもレコード屋か古着屋、楽器屋に行けば満足なタイプの人間なので」って言ったらメンバーは爆笑してたんですが、本当にそうなんですよ。

今はCDがなんとなく「時代じゃないし」って感じになってますね。ひょっとしたら今投げ売りされてるCDが「帯付き!」とかで高くなったりして(笑)。


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