税意識と宗教観に関する考察

こんばんは。たくたくです。先日は現在の日本の衆愚化に対する記事を書いてみました。今回はその記事を読んでいた際にふと気に立った部分を深堀します。今回は推測が主なので確定したソース等はありませんのであしからず。

まず普通の日本人の宗教観を考えてみましょう。テレビやネットでも言われるように初詣は神社、観光でも寺社仏閣クリスマスにハロウィンも楽しんだうえで不幸があればお寺へ。敬虔な人はともかくとして一般的な方だとこういった生活をしているひとが多いかと思います。

これと対比して世界ではキリスト教に見られるような一神教が多数派であり、多神教もなくはありませんがそれぞれが生活にまじりあってここまで混沌としている国はそうないでしょう。

おそらくではありますがこのような状況の背景には日本の「八百万の神」という意識が根底にあると思われます。これは非常に原始的、プリミティブでアニミズムと言われるような宗教観でそこかしこに、あらゆる現象や場所に神が宿るという考え方です。おそらく地域が変われば神ではなく精霊といった言葉に変わるでしょうが本質は同じです。このアニミズムが根底にあると他の宗教としては非常に親和性は良くなります。ある宗教の神様もほかの宗教の神様もあるいは仏様もみんなまとめてえらいんだぐらいに考えられます。さすがに大雑把な説明ではありますが本気で大半の日本人の意識としてはこのぐらいだと思います。これには自分や自分の家族がどんなものかを考えて確かに当てはまっています。


さてここまでは現状の日本の宗教観の説明でしたが税意識の話に入る前に少しだけ別の話をします。

皆さんは、「天使の分け前」という言葉はご存じでしょうか。英語では"Angel's Share"と言われます。こちらはウィスキーの蒸留後、樽での熟成を行っているうちに少しずつ量が減ることについて、その減少分につけられた名前です。人間がだけが楽しむのではなく天使にもその楽しみが分け与えられて少しずつ持って行っていると、洒落た考え方だと思います。

この「天使の分け前」の話を持ってきたのはただ僕がウィスキーが好きだからではありません。この話で気になったのは勝手に減っていくものに対してそれを良しとしたうえで宗教観に結びついていることです。残念ながらこの名称の正確な由来は不明ですが、熟成中に量が減ることに相当苦労しつつ色々な苦慮をしてもそれでも減ってしまうからそれはもう天使が持って行っているのだと考えたのだろうと思います。

これ、名前を変えたらアニミズムそのものです。こういう説明に変えてみましょう。「酒好きな神様がいて、人間には酒を造るための色々な恵みを与えるがその代わりに熟成中に少しずつ飲む」と、こんな感じにするといかにも日本っぽい感じですよね。僕は日本の神様にそこまで詳しくはないですが探してみたら本当にいるんじゃないかと思えるぐらいです。

さらにこの「酒」の部分を「お金」に変えてみたらどうでしょうか。色々な利益はあるものの勝手にお金をとっていく神様がいる、そんな考え方になりますよね。これって現状の日本の税意識に似ていませんか。

前回の記事で気になったのはそこです。これだけ税として持っていかれているのに気にしていない人が多すぎる、それは何故なのかを考えたときにこのような推測が出てきました。宗教観として根本的に存在する「八百万の神」と同様に徴収される税金をある種神と同様の存在と認識しているのではないかと。

ここでいう神と同等の認識とは、神だからえらいとかそういうことではありません。古代の人間が科学がないゆえに雷を神の怒りと称したように、自分の理解の及ばない、考えが付かず触れられないものとして認識しているということです。実際、前回の記事で触れたように勉強しない社会人が多数である以上、知識がないことだけでいえば古代人と雷の関係には非常に近い部分があるといえます。

するとどうでしょう、日本人は非常に根源的な部分で納税を当然だと考えてしまっています。しかもその考え方はそうそう抜けるものではありません。戦前がどうとか以前に、日本の歴史とほぼ同等レベルの宗教観です。

こうなると問題は非常に厄介です。納税を当たり前と考えてしまう認識があるのであればそれを変えるのは厳しく、さらにそれが洗脳でもなく根源的意識と結びついているのです。

かつてから言われる言葉に「三方良し」というものがあります。これは商人としての売り手、消費者としてのお客、最後に納税により恩恵を受ける者、この三者全てが良くなる、というような意味です。つまり事業者は売上があって嬉しい、消費者はモノが買えてうれしい、国民は税金でインフラや保障が整って嬉しい、とも言いかえられます。

この「三方良し」には大きな仮定があります。それは税が適切にそして国民のために使われるというものです。そんなのは当たり前だ、と言われるかもしれません、しかし現状の政府はどうでしょうか。少なくとも現状での増税は悪です。加えて消費税では法人税等の減税の埋め合わせに使っています。それでもこの仮定は当たり前といえるでしょうか。少なくとも僕にはとっくに崩れたものだと思えます。

しかしこの言葉も先に書いたアニミズムと結びつくとさらに効果が増します。当たり前に思っていることが良いことだという後ろ盾を得るのです。言ってみれば、良くやっている通販番組の商品に良いなと思ったときに○○大学教授が、とかの言葉が足されるようなものです。それが本当か、学界や論文でもきちんと実証されているかはともかくとしてそれを権威として信用してしまうのです。

現在の日本がここまでの状態になっている以上、税意識をすぐに変えるのは非常に難しいでしょう。しかしまだ完全にその道がないわけではないです。

かつて雷は神の操る超常の現象でとても人の手の届くものではありませんでした。しかし物理はその神を人の手の届くところまで引きずり落としました。そして夜に光をともすようになったのです。現代において本気で雷を神がどうとうと説明する人はいないでしょう。それだけ一般人にも理解できるほどに広がっているのです。

だからこそ少しずつでも税について学び今の状態がおかしいという認識を持ってさえくれれば変えることはありえないことではないのです。そのために自分も始め多くの人が税について学ぶことが必要だと思います。そしてその輪が広がっていけば本当に変わることも不可能ではありません。

少なくとも義務教育での税についての教育は当てにするべきではありません。幸いにしてyou tubeなどの媒体が発達しているのでそちらをうまくつかうべきでしょう。

些か長くなってしまいましたがこれで結びとしたいと思います。

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