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社会の末端で働きながら、ニュースや本を読んで感じた世界のことについて徒然に書いています。

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『失敗の本質』から読み解く、コロナ禍に学べない日本的組織 ②

・・・続き 組織的学習機会の喪失日本的集団主義の構造的問題は、個々の事象から学びを得るという体制が取れていないことでもある。本書では、二つの問題点を挙げている。 1)科学的視点の欠如 個々の事象の成功・失敗に関わらず、その要因を科学的に分析を通して理論化し、次の意思決定につなげるという体制ができていない。その点、当時の米軍はパールハーバーでの敗退、英軍はマレー沖海戦での敗退から大型戦艦建造計画を中止し、航空母艦と航空機を中心とした機動部隊中心に切り替えた。一方で日本軍は

    • 『失敗の本質』から読み解く、コロナ禍に学べない日本的組織 ①

      戦時日本の組織的欠陥を考察した名著『失敗の本質』からコロナ禍における日本組織の問題点を考えてみたい。 そもそも本書の優れている点は、「精神論に流れてしまう日本人」というほぼ一般化した日本人論で締めくくるのではなく、(1)組織的欠陥を示したこと、(2)欠陥を補うための行動指針を示したこと、だと考える。つまり、精神論に流れてしまう日本人という"精神論"ではなく、再現性を生み出すための解決策を提示してくれているのである。 しかし、戦後約80年となる現在においても本書で示された解

      • 今さらですが、アドラー心理学をまとめ

        『嫌われる勇気』がブームを起こしてから数年が経ち、アドラー心理学の考え方も一般化してきた。私自身も定期的にアドラー心理学に関する本を読み返して人生の糧としている。ここでは、そんなアドラー心理学の重要概念をまとめたい。 ●重要概念 目的論アドラー心理学の中核をなす重要概念がこの「目的論」である。ほかにも重要単語が出現するが、全てこの概念に通じる。そして、アドラー心理学がフロイトと対をなすといわれる所以でもある。 心理学の一般的な学派であるフロイトによれば、人は過去の出来事

        • 信念と執念に勝る秘訣はない『成功はゴミ箱の中に』~マクドナルド創業者の自伝~

          本書は、52歳にしてマクドナルドという世界的なファストフードチェーンを作り上げたスーパーパワフルな男の成功物語である。成功者の自伝である故、過去の出来事にはどこまでが事実か疑問が浮かぶ箇所もあるが、泥臭く成功に向けて力強く邁進する姿からは、資本主義の世界での生き様を学び取ることができる。 行動が成功への一歩になるペーパーカップの営業、ピアノを弾くアルバイト、ミキサーの販売会社経営、そして52歳には飲食業界に挑戦をする。そんな男の信条は「チャンスを逃すな」。儲かると思った時の

        『失敗の本質』から読み解く、コロナ禍に学べない日本的組織 ②

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        • 信念と執念に勝る秘訣はない『成功はゴミ箱の中に』~マクドナルド創業者の自伝~

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        記事

          凡人の弱点を捉えた名著『失敗の科学』

          成功するためには、努力が必要であると人は言う。しかし、ただ単に努力をしろと言われてもできるものではない。努力できる成功者と挫折してしまう凡人とは何が違うのだろうか。それは失敗との向き合い方だった。 ❝成功へのプロセスに「失敗が欠かせない」と強く認識しているのは、こうした成功者であることが多い❞ p290 失敗に対して前向きにオープンマインドで向き合えるかどうかが、努力を継続できるかどうか、しいては成功できるかを左右するのである。 失敗に対する組織のマインドセット本書では

          凡人の弱点を捉えた名著『失敗の科学』

          『両利きの経営』から考えたオーナー企業の強さ

          ひとつ前の記事でオライリー教授・タッシュマン教授著の『両利きの経営』についてまとめた。ここでは、それを実際のビジネス世界に当てはめて考えてみたいと思う。 両利きの経営に向いた組織の姿物事を極めることが得意な日本社会においては、知の深化が歴史的にも強みである。そんな日本型組織が今後も生き残っていくためには、知の探索も併せて行っていく必要性が同書から読み取れる。 知の探索を上手く取り入れることができる組織とはどのようなものか。それは、オーナー企業ではないかと思うのだ。私が今勤

          『両利きの経営』から考えたオーナー企業の強さ

          『両利きの経営』についてまとめ

          スタンフォード大学のジェームズ・マーチ教授が発表した論文『Exploration and Exploitation in Organizational Learning』で発表した知の探索と深化という考え方がもとになっている。この概念を実務に適用する形で研究を続けたチャールズ・オライリー教授とマイケル・タッシュマン教授が書き上げたのが本書である。 ざっくりとまとめると、「企業がイノベーションを起こして生存をしていくためには、既存事業の深堀だけでなく、新しい分野を開拓すること

          『両利きの経営』についてまとめ