見出し画像

デンマークにおける学びの素描⑤ー高校訪問その2(No.9)


◯インタビュー「先生という仕事」

今回は、"NÆRUM GYMNASIUM"という高校に訪問させていただいた。        《訪問させていただいた学校HP [https://www.nagym.dk/] 》

担当をしてくださった先生に、「先生という仕事」に関して率直なところを伺った。

1)「働き方」について

関心を強く惹いたのが、「働き方」である。
その中で以下2点で、カルチュラルショックがあった。

1つ目は、「残業」は基本的に無い、という事実である。
労使協定がしっかりしているため、労働環境に関する決まりは遵守される。
週37時間の労働時間の上限が守られている、ということであった。

2つ目は、働き方に柔軟性がある、という事実である。
週37時間の労働時間を、各自が調整できる、ということであった。
ある週の労働時間を減らし、別の週にその時間を回したり、その逆を行ったりすることが可能である、ということであった。

また、その労働時間には、職場の「外で」働く時間も含まれる、ということであった。
家庭で授業準備をしたりすることも、労働時間として計算されるのである。

その前提に、教員間の互いの信頼がある、と言っていた。

働き方が、非常にクリーンであり、フレキシブルであるという印象を抱いた。そして、ここで「信頼」という言葉が出てきたことに、デンマークらしさを感じた。


2)「専門性」について

次に、教員の「専門性」の捉え方に、関心を惹かれた。

教える内容や教え方について、各自の教員の裁量権が非常に大きい(quit extremely freedom があるという表現をされていた。 )と述べられていた。
カリキュラムは、非常に抽象的な形でのみ、作用をするのだそうだ。

その根拠としては、"Self-Leading"(自己自身を導く)こそが教師の重要な力量であるからだ、と述べられていた。
"Self-Leading"に心を砕く教員が、その人にとっての、"the best way"を選択する。
結果的に、教員一人ひとりの教え方や内容は、それぞれに大きく異なり、ユニークなのだそうだ。

そして、教員同士、お互いがお互いに、各々の教え方にリスペクトをもっている、ということであった。


デンマークでは、教員として、その人の「個性」と「人間性」、そして「主体性」こそが大切にされている、という印象をもった。
その三つを、先生方がそれぞれに、”自由に”発揮してこそ、子どもたちとその先生との間に、良い相互作用が生まれるのではないか、と想像した。




※デンマークでは、大きな教育改革が近年行われた。その影響で、教員間で負担や心理的なプレッシャーが増している、という事実もあるそうだ。この点は、整理をして追記する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?