見出し画像

「Webサイト作ります!」はもう厳しい

先日以下のようなツイートをしました。

自分のアカウントの規模からするとびっくりするくらいの反響だったので、こういう現実の状況について気になってる人が多いのかなーと思って記事にしてみます。

①Webって本当に伸びているの?

私も訓練校時代から「Webは伸びる産業だ!」と言われてきました。同じようなことを見聞きして、Web業界を目指している人も多いのではないでしょうか。

2017年度ですがこんな調査も出ています。

調査方法等、いろいろ見なければならないところはあるかもしれませんが、ここで考えてみたいのは「Web(業界)」と表現するときの「範囲」です。

・Webインテグレーションの定義
本資料で定義するWebインテグレーション市場とは、Webサイト、モバイルサイトの戦略立案、設計・制作から運用・更新と上流から下流まで全てのソリューション提供を行う業務と定義している。

もし、あなたの働いている環境がここでいう「Webインテグレーション」の範囲全部であれば、今後も伸びていくのかもしれません。
ですが、例えば「制作」だけ、「運用」だけ、といった下流工程しか担当していないようであれば、気を付けて周りを眺めたほうがいいかもしれません。

②上流工程と下流工程の違い

Webサイト制作の一連の工程の中で、もっとも価値を持つのは「戦略立案」と「設計」という上流工程です。というよりも、価値のほぼすべては上流にあると思って良いでしょう。

上流の工程には絶対の解答がありません。解答がないということは、まず間違いなく「成果報酬」の仕事に向かっていくことになります。市場に出て初めて効果が検証されるので、事前に見積もるということが基本的には難しいからです。

一方、下流の工程は必ず解答があります。実際に作成する、決められた内容を更新するという工程では「能力×時間」という考え方の仕事になります。
作成するのに必要なスキルが明確で、作成にかかる時間も算出することができるからです。「できるorできない」ということは事前に必ずわかり、金額を見積もることができます。

誤解しないで頂きたいのは、下流の工程に価値がないといっているわけではないということです。

上流工程では、投下した資本に対して凄まじく効果が出る場合も、赤字になってしまう場合もあります。
つまり、価値は変動します。

下流工程では「能力×時間」で算出するため、投下した資本と同じ価値の成果を受け取ることができます。
つまり、価値は固定されています。

ここが、上流と下流の1番の違いになっています。

**③下流工程でなにが起きるか **

価値が固定されている状況ではどのようなことが起こるでしょうか。
例えば、100万円でWebサイトの制作を行う仕事があるとします。

どのようなものが出来上がるかはあらかじめ上流の工程で確定しており、制作における「100万円」という価値に変動はありません。
言い換えると、誰がやっても能力さえ見合えば「100万円のWebサイトが制作される」という結果になります。

この仕事に対して多数の応募があった場合、メリットとして提示できるのは、金額を下げる(能力を安く売る)、納期を早める(時間を減らす)、依頼主の要望にすべて答えた上で納期に間に合わせる(付加価値をサービスする)、くらいしかありません。

応募数が多くなればなるほどオークション方式でさらに厳しい条件になっていきます。
これがまさにレッドオーシャンという状態です。

少し極端に制作へフォーカスした例を挙げましたが、実際に現場で働いている人にとっては心当たりのある状況なのではないでしょうか。

「能力さえあれば、誰でも参入できる」ということは「同じ能力で拮抗した場合、身を削る競争が避けられない」ということです。




誰かを楽にして、自分も楽になれる文章。いつか誰かが呼んでくれるその日のために、書き続けています。 サポートするのは簡単なことではありませんが、共感していただけましたら幸いです。