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「教育実習」って「よくできた仕組み」な気がする

こんにちは。
公立高校教員のたこぽんです。

うちの学校でも教育実習が開始。

今年度は私も指導教諭として一人、学生を受け入れます。

よくよく考えるとこの「教育実習」という仕組み、学生のキャリア教育という観点からも、教員の職場改善の観点からも、とてもよくできていると思います。
実習生を指導してくださっている大学の先生方には、本当に頭が下がる想いです・・・。

さて、私自身は教育実習受け入れ中の高校教員として、感じたことを書いていきます。

働いたことがない生徒が「やりたい仕事がわからない」は当たり前

まず生徒に対して進路指導をしている際、「やりたい仕事がわからない」と言う生徒がいます。
というか、そういう生徒がほとんどです。

それって、ある意味当たり前だと思うんですよね。
まだ一度も働いたことがない生徒が「自分のやりたい仕事がわかる!」と言う方がおかしい
大人でさえ、社会人として働きはじめた後も「この仕事で良かったのか?」と思うわけです。
(私も5年後には教員を続けているかどうか・・・)
だからこそ、生徒や学生が働く経験ができる機会を増やすことが大事です。

教育実習は教員の仕事を「表からも裏からも経験」することができます。
私たちが学生時代に見えていたのは教員の「表」面です。
授業をしてくれたなーとか、部活を見てくださったなーとか、クラス担任としてお世話になったなーとか。

授業をするにもその倍以上の授業準備時間をとっていますし、
部活指導についても顧問として自分の専門外のことについて勉強を進めます。
クラス担任についてもHRのための準備や、保護者に対しての電話や出欠席の確認など、実はやっていることはたくさんあります。
実習生として学校に入ることで職員室の内側にから教員の「裏」面を見ることができるのです。

この経験から、教員という仕事が自分にとってやりたい仕事なのか、実感することができます。
この実際に働いてみた経験、実感を得られるのが、生徒や学生にとってのキャリアにとってはとても大事なことだと思います。

授業準備の負担が軽くなる+α

授業準備の負担って、教員の仕事の中で負担の大きいものの一つですね。
教育実習の期間、実習生に授業を任せることになるので、その分の授業準備はせずに済むわけです。
もちろん実習生の指導をする必要はあります。
しかし、そうであっても生徒の前に立って授業をする時間が減るのは大きく負担が軽くなりますね。
(このあたりは、来てくれた実習生によってもかなり違いが出るかも・・・)

さらにもう一点。
それは後ろから教室を見ることで、いつもと違った視点で授業を見ることができる
これは新しい発見でした。
実習生の授業を見ながら・・・

「この言い方は伝わりにくいな・・・自分も気をつけなきゃ
「なかなか生徒の活動を見られていないな・・・自分も気をつけなきゃ
と、自分自身を顧みることができました。

やはり「自分が授業をしない余裕」がある状態で教室を見ると違った発見をすることができるものですね。

「○○実習」他業界でも広がればいいのに・・・

このような「○○実習」という試み、もっと他業種でも広げればいいのになぁと思います。
もちろん、学校と他業界(特に民間企業)は異なる部分が大きいです。
利益を出さなければいけないからこそ、民間企業は「学生なんて受け入れている余裕はない」というのもよくわかります。

しかし、学生を入れることで新しく見えてくる部分は大きいと思います。
例えば、初めて入ってきた学生が働く上で「わからない」ことは、新入社員にとっても「わからない」こと。
これは新入社員の離職率を下げるためにも、重要な視点を得ることができるはず。

さらに、企業のリクルーティング活動としても活かすことも。
実際に働いていく中で、企業側が「この学生だったら一緒に働きたい!」と思える人物を、
新入社員として採用する、という流れをつくることができます。

これらの活動は、いわゆる「インターンシップ」です。
しかし現在、まだまだ「インターンシップ」をやっていない企業も多いですね。
もっとこのような活動が一般化していくと、学生のためにも、企業のためにも、社会のためにもいい循環になるかと思います。

指導教諭として気をつけていること

さて。最後に私が指導教諭として気をつけていること。

それは「定時退勤」です。

というのも教育実習生が、17時以降も残っている教員が多い現状を見たら、どう思うでしょうか。
私は、せっかく学校に実習に来てくれた学生に対して
「やっぱり教員は長時間労働のブラック職場だな・・・」
と思われたくない
のです。

教育実習の学校現場にとってのゴールは
「できる限り多くの人が教員採用試験を受けてくれること」だと思います。
そんな「将来の仲間を増やす」ために、教員という仕事の魅力をしっかりと伝えていきたい。
さらに、新しく入ってくる仲間が「教員は長時間労働当たり前」という考えでは働いてほしくないのです。

もちろん教員という仕事の魅力の一つに「教員という働き方の多様性」があります。
教員の仕事は、やりたい人はたくさん仕事ができるし、
やりたくない人は最低限でも抑えるができる「自由裁量」にある
(と少なくとも私はそう思っています)。
だからこそ、部活指導をバリバリやりたい人は残業してやってもいいし、仕事を効率的に終えて帰る人は帰って良い。

実習生にはしっかりと「自由に働ける職場」を見せたい!
そんなことを思って、今日も定時退勤を無事完了し、この記事を書いています。

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