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【僕らはSNSでモノを買う】SNSマーケティングは個人を有利にするのか?

オススメ度(最大☆5つ)

☆☆

SNSが世の中に誕生してから久しい。誰でも気軽に発信が出来るのが当たり前になっている。
人々はテレビを見るよりもインターネットで検索するよりも、勝手に流れてくるSNSの情報を得るのが当たり前になってるし、それを利用して個人でも自分の活動や事業について広く宣伝する事が出来る。

こんな文章を書くのも恥ずかしいくらい、SNSというツールは僕らの生活に欠かせないものになっている。

本書はそんなSNSを使ったマーケティングに関する入門書、と言える。

〜特効薬と思ってはいけない〜

まず、僕がこの本を手に取った理由が、かなり欲に溢れた理由だった、という事を告白したい。
僕自身、takoという名前でギタリスト活動を細々とやっており、その宣伝や広告は主にTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを利用している。
宣伝は頻繁に行なっているものの、SNSそのものでファンが増えたり、ライブに来てくれるお客さんが増えたりした実感は皆無だ。
ライブで出会ってフォローしてくれた人たちへの、活動報告、みたいなものに現状はなっている。

SNSそのもので自分の活動を広げる、という事が僕には出来ていなかった。

そのSNSの活用について、悩んでいた時に、この本が書店に並んでいるのを見つけた。

「SNSでバズるためのヒントがこの本にあるかもしれない…」

読み終えて僕は、こんな甘えた考えを持ってしまった事を反省した。

この本は「SNSマーケティングの入門書」である。
そして、その中身は、「SNSにより拡散させる"方法"」ではなく、「SNSにより拡散していく"過程"」について書かれている

そう、この本では僕の悩みを解消する特効薬にはならない。

特効薬などやはり無い(あったとしても、疑うべきだ)。

誠実で堅実な著者は、SNSマーケティングはすぐに効果が出るものでは無い、時間をかけて検討・試行錯誤して結果が出るものだ、と僕をマーケティングやビジネスの基本に引き戻してくれた。

〜「資本が要らない = ハードルが低い」とは言い切れない〜

著者は、SNSマーケティングは個人でも多くの人に拡散することが可能である、夢のある方法だ、と書いている。

確かに、広告、というものはかつては、テレビで頻繁にCMを流すことであったり、街中に大きな広告看板を設置したり、資本が無ければ広く人々に発信する事が出来ないものだった。
現在では、SNSの発達により、SNSから多くの情報を発信する事が誰でも可能になった。その発信には資本は要らない。アカウントさえ持っていれば良い。

資本がいらないから誰にでもチャンスがある。
果たしてそれは本当だろうか?

著者は、SNSマーケティングに対して希望に満ち溢れているが、読んでいる僕は、SNSでモノを売り出すハードルは、資本があれば他よりもチャンスを生み出す可能性が高くなる、という単純な構造だった時よりも、遥かに高くなったのではないか、と思ってしまう。

〜人々が求めるモノが厳選される時代〜

本の内容についての話に戻る。
本書では、SNSにより情報爆発を起こし、発信される情報の99%は消えていく、という事について言及している。この世に残り拡散していく情報は1%ほどかそれ未満である。
その上で、本書の主題であるUGCが重要である、と述べている。

UGCとは「User Generated Contents」の略であり、企業が大々的に作り出すコンテンツではなく、ユーザー自身が作り出すコンテンツの事。
つまり、ユーザー自身が口コミで拡散するコンテンツを指す。

そして、そのUGCを生み出すためにコンテンツを考える事が、SNSマーケティングにおいては重要だ、というのが本書の主な流れである。

僕なりに解釈するなら、ユーザーが拡散したくなるようなコンテンツを作り出すことで、UGCが発生し、SNSで拡散されていく、という流れとなる。

つまり、SNSによる情報の拡散はユーザーにより発生する
良いモノはユーザーが決めるのである。

著者が本書でも締めているが、施策ありきではなく、商品やサービスを中心に考えるべきであり、いい商品いいサービスを作る事が究極のマーケティングである。
SNSマーケティングは手段でしかない。
やはり、特効薬ではないのだ。

さて、情報の99%が消えていく社会の中で、UGCが発生するたった1%の情報になるための良いモノ(商品やサービス)。果たして、大企業に対して個人事業主がそんな凄いモノが出来るのか?
商品やサービスにも資本がかかる。個人が大企業に下克上を起こす難しさは、形態が変わっても変わらない、ように僕には思えてしまう。

しかし、SNSが中心になった社会で良いと思える事は、ユーザーがいい商品いいサービスを決める事が主となった事だ。
資本にものを言わせて、良くない商品を大々的に広告し多くの人が対価に合わないものも持ってしまう、という事はかつてより少なくなったのかもしれない。

事業主や企業が、現代はユーザーがモノを厳選する時代、という意識を持つようになる事で世の中のモノは良いものが増えるのだろう、という希望は生まれた。

SNSマーケティングを学ぶつもりが、SNSが中心になった社会について考えてしまった一冊だった。

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