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ブレンド珈琲 きりんのゆめ

エチオピアは僕にとって、いや珈琲好きならば誰にとっても特別な珈琲だろう。

その花のようなエキゾチックな香りは他の珈琲にはない。

そして珈琲を焙煎する人にとっては一度はおとずれてみたい場所。

なぜならエチオピアは珈琲発祥の地なのだ。

エチオピアの西部には珈琲の木が生えている原始の森が存在する。何百年、何千年と命を受け継ぎながら脈々と生き続け、樹齢200年ともいわれる珈琲の古木もあるそうだ。

当然、森の珈琲の木はいまだ現役で一粒一粒手作業で収穫される。

収穫された珈琲の果実はまるで真っ赤な宝石のよう。

現地の人たちの手で精選されたのち乾燥棚に広げられ、エチオピアの強い日差しのもと乾燥していく。

僕たちがなにげなく飲んでいる珈琲は日本からはるか遠く離れたところで育ち、収穫・精製されて、長い旅を経たのち僕らの手元にやってくる。

僕は焙煎するとき、いつもその珈琲がやって来た現地のことを思いながら焙煎している。

(もちろん飲んでくれる人のことも)

きりんドリップ

きりんのゆめ。

いつか行ってみたいエチオピアのことを思って、エチオピアの豆のブレンド珈琲にそう名前を付けた。

でも実際は珈琲が育つような標高の高い場所にはキリンは生息していないんですが(笑)

きりんのゆめ。

もう一つの由来は谷川俊太郎さんの「朝のリレー」という詩からいただいている。

以下 谷川俊太郎さんの「朝のリレー」

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谷川 俊太郎

朝のリレー

カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

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この詩はうちの奥さんが教えてくれたものだが、読んだときとても感動して、何かブレンドの名前を付けるときにはここからいただこうと思っていたのだ。

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そう。だから「きりんのゆめ」はキリンが見ている夢でもあるかもしれないし、僕がみたキリンの夢でもある。

夢のキリンに会いに、いや、原子の森に生えた珈琲の木に会いに、いつかエチオピアに行くぞー!

きりんのゆめは僕にとってスペシャルな珈琲だ。

ぜひ一度みなさんにも飲んでもらいたい。


参考文献:珈琲の表現 蕪木祐介

この本は本当にいい本です。蕪木さんのお店にも行きたい!







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