見出し画像

「持ちパス解消」には「サイドセット」がお勧め &「スイングブロック」@高校女子

今日は富山県内某高校女子チームに招かれて、講習を行いました。
新チームになって、セッターの「持ちパス」が気になるので見て欲しいという依頼でした。2時間余りの練習の中で、大変楽しい経験をさせていただきました。指導者の先生からコメントをいただき、公開の許可をもらえたので、紹介したいと思います。

最初にウォーミングアップでブロックステップをやっていたので、「スイングブロック」に取り組んでみてもらいました。
これまではブロック練習は余り行っておらず、サイドステップやクロスステップの練習に取り組み始めたところのようでした。

「持ちパス」については、あえてハンドリングのことは言わず、(全日本男子のように)「全員がトスを上げられるように、オーバーパスのコントロールの原理をつかもう」をテーマにしました。中身は徹底した「サイドセット」の練習です。
ハンドリングをなんとかしたいわけですが、これまでやってきたことを否定したくないので、「持つのは反則だよね」と言うのはまともなオーバーパスを十分自分のものにしてからでいいかなと思いますし、ハンドリングの問題として取り組むとこじれてしまうことが多いんですよね。
サイドセットでパスの感覚をつかむ原理というのは、おなじみのこちらの動画「天使の輪」なんですが、今回も十分満足できる結果でした。

それにしても、本当に素直にいろんなことにチャレンジしてくれて、素敵な選手たちでしたね。

練習内容<ブロック>

・ネットに平行に助走して、全力ジャンプでアンテナタッチ(左方向へ助走・右手でタッチ)
・同じ助走・ジャンプから左手でタッチ
・同じ助走・ジャンプから空中で回転(180°以上)
・同じ助走・ジャンプから両腕で白帯タッチ
ネットに向かう動きの成分があるとタッチネットにつながるということを強調しました。

・2人ずつ、ぶつからないような距離を取って、タイミングを合わせてスイングブロック
★期待に違わず、それぞれのペアであれこれ言い合いながら、だんだんシンクロしていくのが素敵でした。

指導者の感想<ブロック>

・全員が、これまでブロックを習ったことがなかったが、簡単に「スイングブロック」に取り組むことができ、かなり高位置に手が届くということが分かった。本人たちもびっくりしていた。

・常にサイドステップで跳んでいたので、クロスステップを習得し、ゲーム中に使い分けられたらと考えてフットワークの練習を取り入れていたが、スイングブロックの練習だけで良いかも?

・二人組のスイングブロックも、こちらの想像以上にスムーズに取り組んでいて(もっとビビるかと思っていました)、自然と会話が生まれていた。こういう場面を増やしたい。

・これから2枚ブロックに挑戦するにあたり、丁度良いタイミングで「跳べる」「できそう」だと感じてもらえたのではないか。

・私自身が「できないのではないか」「難しいのではないか」と、勝手にハードルを上げていたことに気付けた。

練習内容<オーバーパス>

三角パス

・普通に三角パス(3人でパスを回す)
・ボールの来る方向に正対したまま三角パス(サイドセット)
★ここで「どこでとらえれば目標に向かって飛ぶか」を見つけること、そのためには「ボールをとらえた位置に向かってそのまま腕を伸ばす」を徹底すること、「持って方向を変えると、とらえた位置が合っていたのか、どのくらいずれていたのか分からなくなり、どこでとらえればいいか一生分からなくなる」ということを強調しました。
「持つのは反則」と言いたいのを我慢して、あくまで「どこでとらえればどこに飛ぶかをつかむために」、今の練習では、とらえたところでそのまま押しだすことでやってみようという場にしました。
持ってしまっている場合も、「今、ここでとらえたけど、ここ(別の場所)で押したから、これだと分からなくなるよね?」という声掛けに留めました。

全員でセッター練習

(球出しも自分たちで循環してやっていました)
①スロット0のアタックライン辺りに立ち、レフトに正対してレフトにトス、そのままの向きでライトにトス(サイドセット)を2回繰り返して交替
②バックライトから走り出てきて、そのままレフトを向いてライトにトス
③(リベロのつもりで)バックレフトから走り出てきて、そのままライトを向いてレフトにトス
★球出しについて修正が必要なときは、理由を説明して修正してもらいました(環境設定)。

バックアタックラリーでヌガペる

・スパイク練習の後、3対3(セッターなし)のバックアタックラリー
①特に制約なし
②2本目で打つ(返す)
③何とか打てそうなボールは2本目で打つ、ナイストスはジャンプトスして他の人に打たせる(ヌガペる
★ヌガペるには、それもバックアタック→バックアタックにはサイドセットが必要だから、というねらいでした。

指導者の感想<オーバーパス>

・「持ってはいけない」と指導するより、「三角パス」や「サイドセット」の練習において、「ボールを捉えるポイントを自分で掴む」、「ボールを持って修正しない」という点にポイントを置いて練習をしていけば、そのうちに自然と持たなくても飛ばせるようになる・・・その様な導き方をしたい。

・ゲームライクな練習の中で、ジャンプトスに挑戦したり、ヌガペったりする駆け引きを楽しんで欲しい。

・常に「失敗しても良いんだよ」という雰囲気づくりを心掛けていたが、初心者の選手が、失敗を恐れず、様々なことに挑戦し、今日一日でメキメキ上達したのを見て、改めて挑戦することの大切さや、必要な失敗を重ねることが大事だと分かった。

・指導者が何かを強制したり、ミスをしたら叱られるからミスを恐れるという選手にはしたくない。選手には、常に楽しみながら上達して欲しいので、その様な環境整備ができるよう、私自身も様々なアプローチ方法を試行錯誤していきたい。私自身も、選手と共に楽しみながら取り組んでいきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?