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教育

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記事一覧

「あなたのためを思って」は、空想を見て相手を見ていない

「関係から考えるものの見方」(社会構成主義)たぶん第23弾。
「お前のためを思って言っている」「あなたのためを思って言っているのよ」という言葉は大概、「いや、自分にとって都合がいいから言ってるんでしょ」と感じるのはなぜだろう?

これはこいつにとっていいことに違いない、と「決めつけている」ことが、やられる側からしたら迷惑でしかない、ということが多い。ただ、本人は本気で「お前のためを思って」言ってい

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教育虐待:被害者が加害者になるとき

教育虐待:被害者が加害者になるとき

先日、佐賀県鳥栖市に行ってきました。鳥栖両親殺人事件の起きた場所です。福岡県の博多の通勤圏内で、郊外の住民の意識は、佐賀よりも都市である博多に、経済的に豊かと思われている土地に向きがちな地だと聞きました。

いくつかのメディアと事件の関係者にお会いすることができ、いろいろと考えさせられました。ここのところ、教育虐待に関する取材が続き、1月22日にNHKあさイチ「人に言えないハナシ、教育やりすぎ?!

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正解主義問題

正解主義問題

何にでも正解があると信じ、求めることを私は「正解主義」と呼んでいます。この正解主義は受験やテストなどでは有効な考えですが、社会に出ると害が大きくなります。

正解は問いがなければ成立しません。正しい解答なのですから、当然と言えば当然です。ですから正解主義にとって考えることは「誰かに問われること」で始まります。しかし、綺麗にお題を出してくれることなんて社会ではほとんどありません。

もう一つの弊害は

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助長ではなく環境を整えること

私は、子育ては朝顔に棒の一本を添えるようなものだと考えている。あくまで育つ力は朝顔自体がもつ力。もし無理やり伸ばそうとしたら、茎が折れたり根が切れたりする。伸びる力は朝顔自身が持っていると信じ、祈るしかない。こちらができるのは、適切な位置に適切な棒を添えること。

棒が遠すぎても朝顔は巻き付けない。近すぎて根を潰されても困る。朝顔自身が棒を認知し、巻きつくことを祈って、適当な距離に棒を挿すしかない

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「教える」の多くは幼児的欲求?

面白い体験を伺った。とある女性が初めてテレビゲームをやってみたら、普段からやってる息子が「そこはこうしたほうがいい」「次はこうなるから気をつけて」と教えてくれて、かなりうっとうしかった、と。他方、やったことのない夫は一緒にドキドキしながらうまくいくと驚いてくれて、嬉しかったという。

その経験から、人間には教えたがる本能があるのではないか、という指摘がなされていた。これは大変面白い話だと思う。教え

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日常をゲーム化する

子ども(幼児)が歯磨きしようとしない、着替えようとしない、とお嘆きの声を頂いた。これはうちでも苦労したし、どこの家でも苦労されていることと思う。Eテレ「すくすく子育て」という番組では、様々な育児上の工夫が紹介されてるから、ご覧になることをオススメ。で、そうした工夫の共通点は。

「楽しいこと」に変えている。うちでは、娘がなかなか着替えようとしなかったのだけど、それに対して一計を案じた。「まだ娘ちゃ

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イジりを肯定する意見に対する反駁

「イジられキャラはいじられることでコミュニティの仲間入りができるのだから恩恵であり、いじり芸は肯定されるべきでは」という意見が複数。
この主張、私から見るといくつもの点で粗雑に過ぎるように思う。その点を考えてみたい。

まず、最大の過ちは「いじり」という屈辱的な形でしかコミュニティに入れないと前提しているその発想の貧困さ。
私の教え子で長年不登校状態だった引きこもりの子が。その子は当然、人の輪に入

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言語化とは、言葉を道具として使い倒すこと

言語化する上で気をつけていることがある。自分の紡いだ言葉に囚われないこと。これは一見、矛盾しているように思われるかもしれない。物事を把握するために言葉を紡いでいるのだから、言葉を重視しているように思える。でも、言葉に縛られたら言語化はできなくなる。
どういうことか?

自分は強者である、と言語化したとしよう。すると、強者であるフリを始めるクセが、人間にはあるらしい。自分の紡いだ言葉通りの存在になろ

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自分を理解してくれる人はいない。たとえ親であっても。

これを投稿していまバズってるけど、実は子育てにおいては、「親といえどわからんものはわからん」という接し方をしている。
https://note.com/shinshinohara/n/nba47fd9a030c?sub_rt=share_b&d=ta1
塾を主宰していたとき、必ず親子に来てもらって三者面談をしていたのだけど、入塾のときはほとんどの場合、親(ほとんどが母親)がしゃべる。

自分の子ど

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「過読」考

読んだ内容を誤解するのが「誤読」とするなら、書いてもいないことを勝手に想像膨らませて「そうに違いない」と思うのは「過読」と呼んでよいかもしれない。
人間は書いてもいないことを勝手に想像膨らます不思議な機能がある。そしてこれはあながち悪い面ばかりでもない。

短歌や俳句は、わずかな文字数しか書くことができない。俳句だとわずか17文字。で、優れた短歌・俳句は、読み手にありありと想像を膨らませ、情景を思

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体験欠乏症

「お金もらうわけにいかないし、晩飯だけ食べさせて」という約束で家庭教師をしていたことがある。指導することになったその子の状況について、家族全員に説明していたところ、その子の妹が不思議そうに「なんで文章みたいに話せるの?」と聞いてきた。

その家族の会話は、ほとんど単語で終わっていた。「ねえ、○○は?」「おい、△△しろ」その場の状況から察することができるから、単語で事足りる生活をしていた。状況から察

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「成功体験」考

失敗を楽しんで観察するとよい、と提案すると、「成功体験を積むことも大切」という指摘を頂くことが多々。私も成功体験を積むことには賛成。でも、指導する側が成功体験を積むことに意識をフォーカスさせることは、いろいろ不都合が起きやすいと考えている。

成功体験を積ませようと指導者が意識すると、子どもからしたら成功を急かされる感じになりやすい。指導する側も、早く成功させようと急かしたくなる気持ちになり、失敗

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「勉強できない子」は難しく考えすぎ(指導の言葉多すぎ)

勉強できない子は一般に、理解力がないからだとされることが多い。塾で主に「勉強できない子」とされる子らを見てきた私からすると、そうは思わない。むしろそうした子の9割は「考えすぎて混乱」していることが多い。糸がもつれてこんがらがって、イヤになってるという感じ。

「勉強できない子」は、しばしば分数でつまづく。そもそも、分母と分子が区別ついてない。これには指導者側にも問題があって、私にも覚えがあるけど、

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「営業力=人生力」である理由と、営業力を日常的に鍛える為の3つの鉄則

「営業力=人生力」である理由と、営業力を日常的に鍛える為の3つの鉄則

私のnoteでは営業関係の投稿が結構多かったりするのですが、それは単に売り込みに成功するという狭義の営業ではなく、自分が考えることを相手に伝え、相手にも動いてもらえる(対価を支払ってもらうというのも相手に動いてもらえた結果の一つに過ぎない)ということを目指すことであります。

これは人生において不可欠であり、我々が群れをつくって生活するようになった有史以来、多少との間で営業を日々行うことで生きてき

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