見出し画像

『ビジネスの未来ーエコノミーにヒューマニティを取り戻す』を読んだ感想•要約など。

振り返ればタイトルで核心を語っている本だと気づきます。『ビジネスの未来ーエコノミーにヒューマニティを取り戻す』。山口周さんの本は何冊も読んでいるのですが、「いまという時代」を理解する上で、あるいは個人の幸せを考える上で本書は大事な本だと思い何度も読んでしまいました。

それでは『ビジネスの未来ーエコノミーにヒューマニティを取り戻す』から、特に気になった箇所を3つ抜粋して備忘録noteとします。

ビジネスはその歴史的使命を終えつつある。

本書が秀逸だと感じる点は、「いまがどんな時代か?」を的確に述べている点。冒頭で著者は、「ビジネスはその歴史的使命を終えつつある」と述べた後、このように語ります。

本書で後ほど示すさまざまなデータは、私たちが過去200年にわたって連綿と続けてきた「経済とテクノロジーの力によって物質的貧困を社会からなくす」というミッションがすでに終了していることを示しています。

出典:『ビジネスの未来ーエコノミーにヒューマニティを取り戻す』

ここを私なりに理解したのは、モノを生み出し、課題を解決するいわゆる“ビジネス”は歴史的使命を終えつつあるということ。多くの課題は過去の偉人たちによって解決され、その結果、モノで溢れた今。薄型テレビがもっと薄くなる、みたいな改善はあれど、とりたて大きな不便はないし、大きなビジネスチャンスもなくなってきている。そう言われると、ちゃんとした反論はできない私です(仮想現実、NFT・・・フロンティアは確かにありますが)。

日本は長らく「低成長」だと言われ、「停滞」しているとか、「失われた30年」といった言葉で表現されますが、「ちょっと待ってね。モノが増えて課題が減って、社会が成熟してきたのだから高成長って必要ないよね?」というのが、まずひとつ著者の言わんとすることかなと。そして著者はさらにこう述べます。

だからといって「資本主義は終わった」「社会の発展はここで止まる」などと乱暴に断ずるつもりはありません。現在の社会は「物質的不満の解消」についてはゲームを終了した状態にありますが、「生きがい」や「やりがい」といった「意味的価値の喪失」といった問題をはじめとして、貧困や格差や環境といった、これまでのビジネスでは解決の難しい社会的課題がたくさん残っています。端的に言えば、世界は大多数の人々にとって「便利で安全で快適に暮らせる場所」にはなりましたが、まだまだ「真に豊かで生きるに値すると思える社会」にはなっていないのです。

出典:『ビジネスの未来ーエコノミーにヒューマニティを取り戻す』

「真に豊かで生きるに値すると思える社会」。私は、これがとても大事だと思います。確かに私たちはモノで溢れる世界に生きていて、洗濯も掃除も料理もお皿洗いだって昔に比べれば遥かに楽です。

でも、私たちがいるのは「真に豊かで生きるに値すると思える社会」でしょうか?

モチベーションの源泉は「人間性に根ざした衝動」

「豊かな社会」ってなんでしょうね。そして「生きるに値すると思える社会」とは。ここですこしだけ私自身の話をさせてください。

Vannという会社は、創業8年目。フリーランスが集って現在20名くらいのチームを成しています。創業の経緯など、長いストーリーはこちらで読んでいただくとして、チームの人数も売上規模も増えてきた最近よく思うのは「稼げるようになった=幸せなのかな?」ということ。稼げない時も経験しているから、もちろん稼げる方がいいのですが、でも「稼げる=お金がある=幸せなのか?」の答えはNOだと思う。人生、そんなに単純な話じゃないです。

この「幸せとは?」という話は別noteにゆずるとして、ここで言いたいのは「お金のために〜」というモチベーションには限界があるということ。では、何なら限界はないのかというと、著者の言葉を借りると「人間性に根ざした衝動」だと思うのです。

著者は、この「衝動(そうせざるにはいられない強い気持ち)」こそ現代に必要なもので、損得勘定や経済合理性を超えて自己を駆動し、根深い社会課題を解決するものだと説かれています。

労働から得られるもっとも純度の高い報酬はなんでしょうか。それは、自分の労働によって生み出されたモノ・コトによって喜ぶ人を見ることでしょう。

いつの間にか報酬=「金銭的報酬」になっているけど、なぜなのか。それは著者いわく以下の通りです。

なぜこのような不健全な状況になってしまったかというと、自分の生み出した価値を受け取って喜ぶ人を直接には見ることができない社会構造になってしまったからです。

出典:『ビジネスの未来ーエコノミーにヒューマニティを取り戻す』

私、けして「人の喜ぶ顔が見れれば、お金なんていりません」。なんて聖人君子のようなことは言いませんし、選択肢が増えるという点においてお金があることは素晴らしいと思う派です。

でも、やはり人が喜んでくれると嬉しいわけで。もっと大きな枠組みで考えると、社会に良いインパクトを生み出すことができたら起業家冥利に尽きるわけです(もちろん、お金がある方が人の喜びをつくる機会が増えると思うので、両輪が大事かなと思うわけですが)。

感想というか、よもやま

個人にフォーカスしたミクロな話になってしまいましたが、本書はマクロな視点で現代を再認識するのにも重宝します。

個人的なまとめをすると、「会社をつくる」「ブランドをつくる」「YouTube番組をつくる」といったアクションにも、より意味を問われる時代だなと実感しています。特にブランドビジネスは、モノづくりももちろん重要なんだけど、どんな意味があって、社会にどんな影響を与えたいのかを問われるなと。まあ、当然の話なんですけどね。

Vannは僕自身が個人で稼げるフェーズを超えて、チームで働いて稼げる人を増やしていくフェーズかなと思っています。フリーランスな方で気になる人がいれば、気軽にDMしてください。それでは!

Vannについてはこちらのnoteをどうぞ。





この記事が参加している募集

読書感想文

ありがとうございます!好きな本を買うか、旅に出ます。