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スポーツDXとデータ~経験と勘か?データか?~

こんにちは。GNUSデリバリー部門の瀧澤です。
私はプロ野球チームやプロ野球選手をデータという切り口でサポートしてきた経験から、今回はスポーツにおけるDXとデータの関係性について考えていこうと思います。DXや新規事業などでデータ活用を検討されている方のご参考になれば幸いです。

1.野球の世界にもDXの波

野球中継で打球速度や打球角度、ボールの回転数などを目にする機会が増えてきています。ドップラーレーダーや高性能カメラでボールや選手の動きをトラッキングするシステムがプロ野球チームを中心に5、6年ほど前から導入され始め現在では、ほぼ全ての球団に導入されています。
日本では詳細のデータは公開されていないですが、MLBはデータが公開されています。↓ご興味ある方はこちらから↓
https://baseballsavant.mlb.com/

2.データの使い方は立場で異なる

球団のフロント陣、監督、コーチ、選手、ファンなどデータを見る目線によって、データの指標は変わっていきます。
フロント陣はより良い選手のスカウト、年俸を算出など、選手を評価しチームを強化していく為にデータを使用します。
監督はチームの戦術を構築し、コーチは選手の能力を伸ばす為、トレーニング方法の考案やコンディション確認にデータを使用します。
選手は対戦相手の分析や自身のプレイ内容を客観的に把握し、強み、弱みなど分析をする為にデータを使用します。
ファンは打率の他、OPS、バレルなど色々な指標が出てきており、楽しむ為にデータを見ます。
↓バレルは詳細はこちらから↓
https://www.mlb.com/glossary/statcast/barrel
このように立場によって目的や指標が異なる為、誰の為のデータなのか、どのような目的でデータを活用したいのか、まず設定する必要があります。

3.データから知見を得るには

データから知見を獲得する為には2種類の手法があります。
1つ目のパターンは仮説を立て、分析フェーズでデータの項目を洗い出し、
解析、検証のサイクルを繰り返し仮説の有効性を確認し、指標化していくパターン。
2つ目のパターンは良い成績の選手のデータを解析し、なぜ良い成績を残しているのかをデータで明らかにし、結果が出る要因を特定し指標化していくパターンです。

セイバーメトリクスと言われるプレイの結果データを指標とする為には
なぜこの結果になったのか、その経緯を見る必要があります。
結果に至った経緯まで分析することで知見が本質的になり、チームの優位性を向上させます。

4.データの分類

結果の経緯を分析するには選手の目線に立つ必要があります。
ここでは、投手の分析方法を考えてみたいと思います。
まず投球のデータを分解すると以下の図のようなデータ分類になります。

エネルギー

投手は地面からエネルギーを得ています。そのエネルギーをフィジカルに変換し、フィジカルからボールにエネルギーを伝え、ボールを投げています。
結果から逆算して順序立ててエネルギーの伝わり方をデータ化し連携させることでフォームやフィジカルの本質的な課題が見えてきます。

5.知見を探る

関連するデータを紐付けることで、仮説を検証していく手法を記載します。

例えば、以下のような事象に疑問を持ったとします。
・A投手は130km/hの平均速度で防御率が良い
・B投手は150km/hの平均速度で防御率が悪い

→なぜA投手は130km/hの平均速度で防御率が良いのか?
 なぜB投手は150km/hの平均速度で防御率が悪いのか?

仮説は130km/hの投手でも打者のボールの見え方によって打ちにくい球質になっているのではないか、
この打ちにくい球質はボールの回転や腕の振りによって実現されているのではないか。など考えられます。

結果データとボール速度を紐付けるだけでは本質的な知見は得にくいですが、ボールの回転数や回転軸のデータも結果データと紐付けることで130km/hでも回転数が速く、回転に影響する回転軸を持ったボールが
打者を打ち取れる確率が高く、防御率に影響していると仮説を立てることが可能になります。BIツールを使用すれば検証コストを下げながら、検証スピードも上がっていきます。
仮説と検証を繰り返すことで仮説の精度も向上していきます。

ビジネスにおいても結果の分析だけでなく、経緯まで分析対象とし、関連付けることにより本質的な知見を得ることができます。

6.経験と勘か?データか?

素晴らしいコーチは選手のフォームを見ただけで適格に修正点を指摘します。私たちがデータを分類して計測して、解析し、ようやく得られる知見を”見る”だけで見つけてしまいます。経験と勘のスピード感と精度は感動します。

ただ一方、その知見がコーチの主観となっている為、選手が理解しにくいことが課題として上げられます。
フォームの映像やデータを選手と同じ目線で見ることで、リリース位置を調整したり、数字による客観性が生まれ、経験や勘を言語化していくツールとしてデータを使い経験と勘から得たの知見を分かりやすく伝えることができます。

また、経験から得られた勘もデータ化することにより、コーチは合理的な指導が可能になり、選手のコンディションを数値で判断したり、客観的に選手の課題や目標を分かりやすく設定できます。
データを基にトレーニングをパーソナライズ化できます。選手も自身で課題を設定し、成果に繋げていくことが可能になります。
『データを基に自走するチームの実現』これは、野球に限らずビジネスでも求めれていると考えています。

DXをデータの分析で終わらせるのではなく、
『データを基に自走できるチームの構築』が
DXの本質的なゴールではないでしょうか。

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