【#12】意味があるテクノロジー活用とは。無人店舗「SECURE AI STORE LAB」に行ってみた!
こんにちは、たきさんです。素敵なユーザ体験(UX)に寄与しているデジタル活用事例@日本、を自分がいちユーザとして体験し、楽しく解説しています。似た中国事例の参照や比較もしてます。
今回は、無人店舗「SECURE AI STORE LAB」が2020年7月13日に、住友新宿ビル地下1階でオープンしたとのことで行ってみました!
顔認証で入店・決済が行えるだけではなく、手に取った商品の口コミの確認も出来る「新体験型ストア」とのこと。
行ってみましょう!
事前登録してみた!
公式サイトを見ると事前登録が必要とのことで!
色々入力します。ここでクレカ登録もします。
登録しました!
初回はログインしたら出せるQRコードを読み込ませて顔を登録するらしい。
とりあえずこれで完了なのでお店に行きます!
入店してみた!
はい!店舗にやってきました!自動改札機のようなゲートがあります。
初回は左側にある機器のところで顔登録をします。上述のサイトにログインしてQRコードを出して読み込ませ、
顔登録をします。
そうすると!もう入場ゲートの前に立つだけで、顔が認識されてゲートが開き入店できるのです!
買ってみた!
中に入ると、こんな感じで棚が三つ並んでいます。
ここは様々な企業とコラボした期間限定ストアとのことなのですが、
第一弾は、化粧品・コスメ情報「アットコスメ」を運用している株式会社アイスタイルグループのアイメーカーズが開発した「@cosme nippon」とのコラボらしい。
そういうわけで、日本の素材を使った健康に良さそうなパックやスキンケア製品、化粧品が並んでいます。
試しにルースパウダーを手に取ると、棚上部のスクリーンに商品が表示されました。店内のカメラと棚の重量センサーで、誰が何を持っているかを認識しているようです。
口コミも見られるようです。これは良いかも。
また、棚についている商品QRコードをスマホで読み取ると・・・!
そのままオンラインストアに!これで後から買いたい場合もらくらくですね。
ちなみに、商品を手に持つと、画面右側の「MY CART(あなたのカート)」エリアに、今自分が持っているもの(複数だったら複数個全部)が表示されます。
お会計は、商品を手に持ってゲートの前に行くだけ。
確認して、初回登録時に登録したPINコードを入れればゲートが開きます。支払いは、登録してあるクレカから精算されています。
思ったこと①コスメ系店舗は顔認証会計との親和性はそこまで高くはなさそう
まず、「顔認証でサッと買える」という点に着目すると、「入店から退店までのプロセスが短くなる」というのがユーザ側として最も大きいメリットかなと感じます。
「レジに並ぶ」「レジでスキャンされるのを待つ」「お財布を出す」あたりのプロセスが全部なくなるわけですね。とにかく時短!
ただそれらを最もメリットと感じる時って、「朝急いでいる時、一刻も早く買って店を出たい」というような状況かなと思います。
コスメ買う時の状況って、あんまり時短ニーズはないかなーと。むしろゆっくり選びたい状況が多そう。真逆な気がします。
この店舗は「テクノロジーの実証実験の場」という位置付けなので、ここはツッコミどころではないのかなと思いつつ、
このシステムの拡大フェーズにおいては、コンビニのような「早く買って出たい!」という状況が発生しやすそうなタイプの店舗への導入の方が親和性は高い(顔認証会計のありがたみを感じやすい)だろうなと感じました。
思ったこと②:商品解説と口コミ見られるのは嬉しい
上記は会計シーンに着目した話でしたが、もう一つのポイントである「手に持つだけで商品の解説や口コミが見られる」というのは、「コスメを買う」という状況に合っていると感じました。
化粧品選ぶ時に、その場で口コミを調べる、って結構やりがちな行動ですよね。後押しや、不安の払拭になるので、口コミをすぐ見られるのは良いなと感じます。
気になることがあるとすると・・・
ディスプレイがやや高い位置にあり、ちょっと触りにくい感じもします。
また、このモニターを自分が占領してしまうことへの申し訳なさを感じたり、自分のスマホで見た方が見やすいと感じることもありそう。
棚の前面に設置されている各商品QRコード横に「QRスキャンしたら口コミが見られる!」旨の訴求があっても良いかなと感じました。
▼スキャンしたら公式サイトの商品ページに飛ぶので、そこでも口コミ見られます
思ったこと③「無人化」を目的にしていないのは素敵
無人でもお買い物が完結できるシステムですが、店舗には店員さんがいて、化粧品について色々説明をして下さいました。
▼店員さんに商品を色々試させてもらっているの図
この店舗を運営している株式会社セキュア取締役 事業開発部 部長の平本洋輔さんによると、(Impress Watchの記事より引用)
平本氏は、店舗では人と人とのふれあいや接客体験が不可欠と考えているそうで、SECURE AI STORE LABを通して構築するシステムについても店舗運営の省力化を高めることが主目的と説明する。
ということで「無人」にこだわっているわけではないんですね。
特にコスメ系は「店員さんのアドバイス」によって、選択の納得度が上がったり、購入が後押しされやすい商材だと思います。
私も今回、店員さんの説明と、店員さんがお試しさせてくださったことで、当初買う予定がなかったパウダーを買いました!笑
行く前はてっきり完全無人店舗かなと思っていたのですが、店員さんがいたことでより良い体験になりましたし、
上記記事のインタビューを読んで、運営されている企業さんは、「無人化」や「テクノロジーを使うこと」を目的にせず、テクノロジーと人の強みを生かして良い体験を作ることを志向されているんだなあと感じました。
中国の事例
中国ではこのようなテクノロジー活用による「無人店舗」ブームが2018年頃にありました。
「無人」とつくものに、多くの投資がついたので多くの店舗ができたのですが・・・2020年現在、その頃の無人コンビニでうまく行っているものはほぼありません。
「無人」にこだわることでユーザ体験を置き去りにしてしまい、ユーザに選ばれるものにならなかったのです。
そもそも、店舗で何かを買うとき、私たちはお店に何を期待しているでしょう。
おそらく、このようなコンビニ的な店舗に対してに期待するのは「価格の安さ」「立地の便利さ」「品揃えの良さ」「商品の品質の高さ/自分の好みとの一致」などかなと思います。
「無人か無人ではないか」は本質的にはどうでも良いですよね。
「無人であること」による「テクノロジー感」「物珍しさ」は、普段使いのお店に期待することではないかな、と。仮にそのようなもので集客できるとしても、最初の数回だけのように思います。
この話は以前こちらの記事で書いているので、ご興味がある方はどうぞ。
中国はテクノロジー面で色々進んでいるところもあるので、参考になる部分も多いと感じますが、それを導入することが目的になると、ユーザ体験を毀損しますよね。
ユーザにどんな体験をしてもらいたいか?ということから考えるのを忘れないようにしたいものです〜。
本日は以上です!
今後も日本のデジタルスポットについて、中国の状況と比較しながら書いていきたいと思います。
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中国のデジタル・IT事情についてはYahoo!ニュースなどでも執筆を行なっているので良かったら読んでみてくださいませ〜
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