続々・JTNC「パクリ」問題〜謝罪はしてもパクリは止めないの?!

前回のエントリーを書いた時点で、Jazz The New Chapter(以下、JTNC)の版元シンコーミュージックさんと、その表紙デザインをパクったAkatsuki inc.さんがまだ揉めてる、という話は聞いていました。でもそれはお金の話とかそういうことなんだろうなぁと思っていたのですが、呆然とする事態が。

なんと、謝罪したにもAkatsuki inc.はパクリを辞めないつもりらしいです。

ちなみにこちらが本家のCD。

そういうわけなので、前回書き漏らしたことや、その後に関係者筋(関係者ではない)から聞いた話を書いてみようと思います。

謝罪はなんだったのか?

続きを書くにあたり、まずは以前にも掲載したAkatsuki inc.の謝罪リリースを見てみたいと思います。

ここで大事なのは、
・パクリではなく「オマージュだった」こと
・事前に相談することなく制作したことでJTNCの関係者に不快な思いをさせたことについて「深くお詫び申し上げます」と書いていること
・「今後、制作過程において参考にさせていただく文献は、著作者への確認を徹底するよう、細心の注意をはらい運営してまいります。」と書いていること

これらを総合して鑑みるに、今後はパクリ路線はしませんと言ったように普通は見えるじゃないですか? ところが堂々とAkatsuki inc.はJazz-On!の第3作CD(3月25日発売)にやはり似たようなデザインを使い続けているんですよね。

百歩譲って、1つ目2つ目のCDデザインにはパクリという意識がなかったとしましょう。それならば「たまたま似ただけです、問題はないと思っています」と言い切るべきで、「著作者への確認を徹底する」なんて言うことはないですよね。たとえ謝罪文の中の「オマージュ」が言い訳だったとしても、これが問題になっていることは、すでに会社同士で話し合いが持たれていることからも明らかなわけで、「オマージュ」路線はもうヤバイとわかっていたはずではないのでしょうか?

関係者筋から聞いたJazz-On!の方針

さてここで、とある関係者筋(関係者ではない)から聞いた話を書いてみたいと思います。シンコーとAkatsukiとの間での話し合いでは、一応の謝罪はするものの(ただし上の謝罪リリースは話し合いとは関係なく出されたものだそう)、ジャケットの差し替え、CDの回収などは行うつもりはなく、一切の金銭的補償も行わない、つまり謝るけど具体的な対応は何もしませんという内容だったそうです。

そもそも、JTNC監修の柳樂さんとしては過度な要求は求めていない様子。

過度に金銭的負担になるような対応を求めることはお互いにとって禍根になるし、両方のファンにとって好ましいことではない、という考えが根底にあるのだと思います。そんな中で第3弾のCDが相変わらずのパクリ路線で行くことは、そんな柳樂さんの配慮も、これまでの両社の話し合いをも無にする行為だと思いませんか?

JTNC表紙に似せたのはJazz-On!側の指定だった可能性

前回、Jazz-On!のCD2枚のデザインを担当した城内さんの話を掲載しましたが、そこで書かなかったことがありました。それは、CD2枚以降のデザインは城内さんは担当していない、ということです。私がそれを書かなかったのは、続きが出るとは思っていなかったからなのですが、まんまとその予想を裏切る事態になっています。

ここで一つの疑問が湧きます。この「オマージュ」路線を継続したJazz-On!第3弾、これはデザイナーの意思で行われたデザインだったのでしょうか? 違う人がデザインして同じになるというのは、同じ路線でお願いしますというクライアントがいて成立するわけで、これは明らかにクライアント側の指定があったと見るべきではないでしょうか?

さらに関係者筋(しつこいですが関係者ではない)から聞いた話を紹介しますと、どうも間に入ったコンテンツプロデューサー?が城内さん提案の初期デザイン案に対して、JTNCの現物を渡してこういうデザインにしてくれと言ったらしいというのです。これが事実かはわかりませんが、第3弾が同じデザインになっていることからしても真実味があります。

じゃあ城内さんは嘘を言ったのか、というところですが、守秘義務ということで、内部の経過を話すなと言われた時点で、クライアントの求めに応じてデザインを改定した行ったらこうなった、という風にしか言えなかったのかもしれません。あるいは、ダイレクトにJTNCをパクれと言ったのは絶対に話すな、と言われているのかも。

ちなみに第3弾のデザイン、問題になる前のものだから直さなかったのだろうという指摘に対しては、2月末に謝罪リリースを出したのだから、それからデザイン修正する(またはペンディングさせる)時間的余裕はあったことは指摘しておきたいと思います。

Akatsukiさん、ディズニー相手でもそれやりますか?

思えば、ソーシャルゲーム界隈は以前から色々な問題を起こしています。一番有名なのはDeNAが運営していたニュースサイトがデタラメ・パクリ記事で大問題になった件です。それ以外にも、ガチャ課金が射幸心を煽りすぎる、などという問題もありました。

ソシャゲは当たれば大きい一方で、ゲームバランスの調整やユーザーサポートで運営は手間ですし、コンテンツの仕入れなど、人手も金もかかります。成功するために売れるコンテンツを安く仕入れるという方向は、ある意味ではビジネス上、必然的な帰結です。DeNAの事例からも明らかなように、パクリは批判や倫理さえ気にしなければ誰もが思いつける安価で当たりやすい方法なのです。

きっとAkatsukiは、裁判になったとしても著作権的にグレーな部分だし、そんな面倒で金にならないことをやらないだろう、とたかをくくっているのかもしれません。でもたとえばAkatsukiさん、ディズニー相手でそれやりますか? きっとやらないでしょうね。ジブリやコナミにも絶対に手を出さないでしょう。

柳樂さんはこの問題がもっと知れ渡って欲しいという趣旨のことをツイートしていましたが、それはきっと、こういうモラルに劣ることが許されていいのかという問いかけなのでしょう。モラルに劣ること、言い換えればオリジナリティを貶めるようなことが社会的にNGでないとしたら、アートやエンターテインメントはどうなるのでしょうか。オリジナリティは創作の根源的な価値の一つだと思いますが、そこをないがしろにされるとしたら、誰が新しいものを作ろうとするでしょうか。

余談。私もかつてモバイルコンテンツ業界に3年ほどいたことがありますが、こいつら絶対に反社だろうな……という連中が入り込んでいるのを見てます。特に広告系。もちろんこれはAkatsukiさんがそうだと言っているわけではないのですが。いろんな中間制作会社や子会社が絡むと、不思議なことに「これはヤバそうだけどうちが指摘することじゃないし」というのが「問題だって誰も言わないからOKなんでしょ」になるのです……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?