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【ネタバレ】サブカルおじさんVSエヴァンゲリオン シン・エヴァンゲリオン劇場版高速レビュー【加筆中】

まさかのパーフェクトサブカルおじさん仕様。
MCUも宮崎も新海もぶった切る、全く新しい大人向け映画でした。
アニメ含む現代の日本映画でこの達成は思いつかない。

要旨
①日本アニメ・映画の次のフェイズである。
世界に類を見ない大人向けの「エンタメ」アニメを作り出した。
アートでも、懐古でも、ディズニーでもない、新たな選択肢。
MCUへの回答でもある(そして MCUを完璧に超えている)。
ディズニーが全年齢に開こうとする一方で、日本アニメはエンタメとして大人に向き合うという宣言。

②テーマは「加齢と成熟」
ターゲットをあえて閉じている。
共感できるのはリアタイでエヴァファンだったサブカルおじさん。
人口ピラミッドの変化とともに永遠の思春期おじさん・おばさんを養分に、一方では若者相手に軟弱で「エモい」トレンド造物として、縮小再生産を続ける日本アニメに引導を渡す存在だ。

つまり、自身の年齢を受け止めること。

例えば、前半の「第三村」の描写はまさに「丁寧な暮らし」。
田植え、自家製梅干し、釣り、伐採作業を通して、挫折から生の肌感を取り戻す境地は、なかなか若い人にはわかりづらそう。

③開き直った私小説
オタクの恥ずかしさに加え、心からのベタをやっても、そして私小説として振り切って自身の人生を晒し出して、わかりやすく真摯に作ればオープンだし、新しいものを作れる、という創作論の新段階。

(余談だが、家族と故郷をルーツとして描いたところや、制作姿勢に、恐らくは庵野秀明の根にある「骨太な、イデオロギー論に堕さない保守思想」も見え隠れした。筆者は家族愛で映画の解決を図る作品=大多数の泣ける映画たち、が苦手なのだが、そんな次元を飛び抜けていた)

④旧劇場版のリメイクであり、オタク批判の言い換えでもある
旧劇場版のセルフオマージュ、多数。

そして、パチンコ産業と重課金オタクに寄り添った破やQから意趣返し、旧劇で冷や水のように浴びせかけた「オタクよ、現実に還れ!」のメッセージを進化させている。
オタクも生活も「受容する」境地で、さわやかなる人間礼賛。

⑤『シン・ゴジラ』の続編として
『シン・ゴジラ』で描かれなかった復興シーン。しかも1時間に及ぶ長尺。
Qの閉塞感を一気に断ち切る、トウジとケンスケの再登場。

⑥男性性のリビルド
開き直りとも謙虚とも取れる、素直な、真摯な男性性への向き合い。初めてゲンドウが意図、生い立ち、気持ちを吐露したのは、今までのエヴァを突破していた。


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