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「終わり」なんてない。一つの「区切り」があるだけだ。/今週の、いちばん。90

最近、しばしば「終わり」について考えていた。
僕にとって、いま、そしてこれからも大きな意味を持つだろう「終わり」を、相次いで体験したから。

5月から通っていた「企画メシ」という講座が、先週、最後の回を迎えた。
ここで、「爪痕を残せた」なんて書けたらいいんだけど、実際には何もできなかったに等しい。
編集者が考える「企画」というものが、どれだけ狭く、またその「企画力」とやらが、どれだけちっぽけなものかを思い知らされた。
自分の爪の脆さに気づき、ただ、その爪をどこに立てるべきかだけは、改めて考えることができた半年間。
すごい講師や、優秀な仲間に囲まれた、得難い期間だった。
(来年も開催予定なので、参加希望の方は、ぜひ「企画メシ」公式サイトを定期的にチェックしてください)

「企画メシ」の最終回を翌日に控えた深夜、友人からのメッセージで、もう一つの「終わり」を知った。
同じ業界で働く、Iさんが急逝したという。
Iさんと自分の関係をどう言い表すかは難しい。
もしも、会った回数で「友人」かどうかを分けるのなら、僕らは友人とは言えないのだろう。

でも、少なくとも彼は「恩人」だった。
その死にさいして思い出すのも自分勝手な話だけど、僕がビジネス書をつくる人たちのあいだで知られるようになる、いくつかのキッカケは、彼がくれたものだ。
彼が、僕のどこを気に入ってくれたのかはわからない。
けれど、自分がいた会社とは関係ないところで、認めてくれる人がいるというのは、本当にありがたいことだった。

「いろいろ、終わってしまったなぁ」
この一二週間、締め切り間際で仕事に追われて、気が張り詰めていたものの、内心は、そんなふうに腑抜けていた。

でも、あるとき、それは自分がそう考えるからに過ぎない、ということに気づいた。
「企画メシ」のことも、「Iさん」のことも、自分が終わらせ(ようとし)ているだけなのだ。
本当は、「終わり」じゃない。ただの「一区切り」に過ぎない。

「企画メシ」のメンバーとは、引き続き会う約束が目白押しだし、Iさんとの思い出はまだ僕の中に残っている。
あのときとまったく同じ時間は過ごせないだろうけど、まだ続くものはあるし、これから生まれるものもある。
昔好きだった映画のセリフのように、人生は、「まだ始まっちゃいねえ」ことばかりだ。

ここに書くことで、改めて「区切り」をつける。
けれど、それは「終わり」じゃない。
「。」を打ったあとも、続けようと思えば、新しい文章を書き始めればいい。二つの区切りに、ありがとう。明日からも、走り続けます。


今週(先週)のいちばん、「区切り」をつけた瞬間。それは10月16日、「企画メシ」の仲間と飲み明かし、早朝の桜木町駅で、東京駅の電車に乗り込んだ瞬間です。

*「今週の、いちばん。」は、その1週間で僕がいちばん、心が動かされたことをふりかえる連載です

「書かないよりは、まし。」という文章も、たまに更新しています)

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